更新日：2018.06.20食トレンド

とあの「新・３大クラフトビール」ベルギービール編／新宿【ブラッセルズビアプロジェクト新宿】

世界的なムーブメントとして盛り上がりを見せている「クラフトビール」。土地の違いや造り手のこだわりで、多彩な色をみせるクラフトビールですが、今飲むべき注目のビールは何なのか。ビールに関する著書を発行し、ビアイラストレーターとしても活躍中のとあさんに伺いました。

いま、注目のクラフトビールとは

　様々なメディアで目にする「クラフトビール」。今や、コンビニでも手軽に手に入るようになりましたが、このクラフトビールブームは日本だけでなく全世界で起きており、造り手の思いが詰まった個性的なビールが生まれ続けています。

そのなかでも特に注目すべきなのは、伝統と革新が融合する「ベルギービール」、遊び心満載のアートな「北欧ビール」、若手醸造家が造る瑞々しい感性の「奥多摩ビール」の3つ。この連載では、3回に渡り“今こそ知りたいクラフトビールの魅力”をイラストを交えて解説。第1回目の今回は、伝統に新しい風を吹き込む「ベルギービール」についてご紹介します。

伝統と革新が融合するベルギービール
「ブラッセルズビアプロジェクト」

　ベルギーと言えば、チョコレートやワッフル、ビールなどが有名な美食の国ですね。中でもビール醸造に関しては、14世紀（日本だと奈良時代！）から現在まで続く醸造所もあるほど、圧倒的な歴史を誇る国なんです。

ベルギービールの魅力は、その歴史に裏打ちされた質の高さですが、近年、伝統的な良さを残しながら新しいベルギービールのあり方に挑戦する「ブラッセルズビアプロジェクト（以下＝BBP）」という取り組みが行われています。

創設者は、自宅でビール醸造を行うほどのビールマニアであるセバスチャン氏とオリビエ氏。二人は、生物化学や醸造学を学び、2013年にBBPを立ち上げました。

BBPの目的は、ベルギービールの巧みな技術とクラフトビールの新しい流れの両方を取り入れ、型にとらわれないビールを造りだすこと。基本的に同じ銘柄のビールを造らず、年間約30種類もの新しいベルギービールを生み出し続けています。

BBPの取り組みのなかで特におもしろいのが、「消費者自らが投票してビールを選ぶ方法」を採用している点と、一見ビールとは関係なさそうな「異業種とコラボレーションした商品造り」をしている点。

そんなBBPの取り組みについて、イラストで解説します！

そんな、常に革新的なビールを造り続けるBBPのビールが日本でも堪能できるんです！

世界で３店舗しかないBBP直営店
【ブラッセルズビアプロジェクト新宿】

　今回ご紹介したいのは、世界にベルギー、フランス、新宿の３店舗しかないBBPの直営店の1つ、【ブラッセルズビアプロジェクト新宿】。今年で創業32周年を迎えた、日本のベルギービールのパイオニア、ブラッセルズ株式会社が運営しています。

老舗ならではの徹底されたサービスで、現地と変わらぬおいしいビールが味わえるのはもちろん、知識も豊富なスタッフが常に対応しているため、「ベルギービールってよく分からない……」そんな方でも安心して利用できます。

こちらの店舗では、BBPのビールは常時8～10種類程を提供。投票で選ばれた定番商品に加えて、ベルギーから輸入した、新宿店限定の実験的な試作ビールも飲むことができるため、まさにベルギービールの旬な味に出会うことができます。

1階は、見通しの良い奥行きのある空間。壁一面の黒板には、丁寧にビールのメニューが書かれています。カウンター席からは、ビールが注がれる様子を目の前で見ることができます。2階は光がたっぷりと差し込む、のびのびとした空間。早めの時間に訪れれば、この上ない開放感を味わえるはず。

初夏を軽やかに楽しめるベルギービール3種

　今回は、初夏にぴったりのベルギービール3本をご紹介！　創設時からある定番モノから最新作まで、BBPらしさを感じられるラインナップです。

とあ推し！ベルギービール
その①『デルタIPA（アイピーエー）』

　IPAは、アメリカを筆頭に世界的人気を誇るビールの種類です。アメリカのIPAといえば、グレープフルーツのような華やかな香りとガツンとくる強烈な苦味が特徴的ですが、『デルタIPA』はそれに比べると全体的にまろやかな印象。BBPが初めて投票イベントを行った2013年に選ばれた、記念すべき第一号の定番ビールで、入れ替わりの激しいラインナップの中で、今も不動の人気を誇っています。

グラスに注ぐと、初夏に吹く風を思わせる爽やかな柑橘の香りが広がります。麦芽の柔らかなコクが口の中に広がり、最後に優しい苦味が残ります。暑さで疲れた体をリラックスさせてくれるような、心地よい味わいです。

この味をイラストで表現してみると……

とあ推し！ベルギービール
その②『ソレイユ・ルヴァン』

『ソレイユ・ルヴァン』はジャスミン、バラ、オレンジブロッサムの花を使用した“祝福の花束”のようなビール。本来なら一度だけ生産される予定でしたが、人気の高さに後押しされ定番化された銘柄です。毎年、花のレシピを変えながら年１回醸造しています。
日本とベルギーの友好 150 周年であった 2016 年に安倍晋三首相がベルギーを訪問した際に振舞われたビールでもあります。

まるで花束の香りを胸いっぱいに吸い込んだかのような優雅な香り。口にした瞬間から最後までパリッとした苦味が続く軽快な味わいです。夏の日差しを浴び、生命力たっぷりに成長する草花を連想させるような、いきいきとしたビールです。

この味をイラストで表現してみると……

とあ推し！ベルギービール
その③『ジャングル・ジョイ』

　2017年に行われた投票イベントで見事１位を獲得した『ジャングル・ジョイ』は、パッションフルーツとマンゴーを使ったビール。

生い茂った植物のラベルから受けるイメージ通り、ジャングルを連想させるような濃厚なパッションフルーツの香りと瑞々しい口当たり。甘い香りとは裏腹に、果物を思わせる強い酸味が全体をキュッと引き締める、甘くない大人のフルーツビールです。

この味をイラストで表現してみると……