【赤坂 らいもん】焼肉通しか知らないお店! 昼はタンシチュー、夜は極上の焼肉店 | ヒトサラBグルマン部 #14
“B級グルメ美食家”たちが集い、愛するお店を熱く語る「ヒトサラ Bグルマン部」。今回紹介するのは、ランチはタンシチュー、ディナーは極上の焼肉が味わえるお店【赤坂 らいもん】。ほとんど告知せずにひっそりと営業する、そのメニューとは。生粋の焼肉通しか知り得ない情報を、焼肉関連の書籍やTV出演も多数の小池克臣さんが、こっそり教えてくれました。
Bグルマン部 今回のテーマ
「焼肉通がこっそり教える、期待の超新星」
今年の熱すぎる夏は、夏バテ対策として例年以上に焼肉を食べまくったのですが、気温が下がった今の季節は牛肉が旬を迎えようとしているので食べるペースが全く落ちない小池です。和牛は人間以上に暑さに弱いので、やはり夏より冬の方が旨いですね。
今回は「日本一予約の取れない焼肉屋のDNAを受け継ぐ超新星」ということで【赤坂 らいもん】を紹介したいと思います。
白金高輪の伝説から、新たな伝説へ受け継がれるDNA【赤坂 らいもん】
東京の白金高輪の住宅街にひっそりとたたずむ焼肉屋【金竜山】。10年以上前から1ヵ月待ちや2ヵ月待ちの予約困難店として知られていて、この奇跡の焼肉を味わえるのは1日僅か8組だけ。しかも、ここ数年は新規のお客さんの予約を一切受け付けないことから、その予約は更に狭き門となっている。肉汁が溢れるタン塩や口の中で蕩けるカルビとロースを求めて、全国の焼肉好きがこのプラチナシートを奪い合うのだ。
常連さん以外には幻の存在となっている【金竜山】だが、この味を感じるチャンスが訪れた。娘さんご夫婦が、2018年7月、赤坂見附駅から徒歩1分という場所で【赤坂 らいもん】という焼肉屋を始めたのだ。
【赤坂 らいもん】があるのは、飲み屋が多く入るビルの4階。お店への経路は階段のみだが、食前食後の軽い運動と思えば何も苦ではない
店内はカウンター4席にテーブル10席というこぢんまりとした作りで、ご夫婦とのコミュニケーションが取りやすく、不思議と話が盛り上がる。メニューはアラカルトだが、種類は多くないので黒板に書かれたものを順番に上からお願いするのがオススメだ。
東京中の焼肉屋が憧れる
“圧倒的な仕入力”が伝わる『特選タン塩』
一般的なタンのカットは繊維に対して垂直に包丁を入れるが、【赤坂 らいもん】は斜めに包丁を入れることで旨みを引き出す
『特選タン塩』は【金竜山】を彷彿させる独特な斜めカット。生の黒タンの柔らかな根元部分だけを惜しげもなくふんだんに盛り付けてくれる。【金竜山】にいるのかと錯覚しそうなタンは【金竜山】のような炭ではなく、ガスロースターで焼く。網の鉄板部分で焼かれたタンは香ばしさをまとい、旨味をぎゅうぎゅうに詰め込んだ肉汁を口の中で一気に解放させる。
超貴重な黒タンでありながら、他店よりもお手頃な価格で、しかも何枚でも食べられるなんて、これだけでも奇跡と言っても過言ではない。全国の焼肉屋が、喉から手が出るくらい欲しがる黒タンが何本も揃う、その“仕入れ力”にはただただ驚かされる。
オーダー必須の
『レバ塩』と『炙りシンシン』
鮮度抜群のレバだからこそ、生食ではなく焼くことで甘みが引き立つ『レバ塩』
『特選タン塩』の次は『レバ塩』と『炙りシンシン』という流れが最適だ。『レバ塩』はねっとりとした舌触りと甘みにうっとりしてしまう。軽く炙った『炙りシンシン』を卵黄の入ったタレにつければ、濃厚な旨みを味わうことができる。
『炙りシンシン』はその名の通り、サッと炙る程度で卵黄の入ったタレにつけて頬張りたい
見る者全てを圧倒する
大迫力の『骨付きカルビ』
網からはみ出す『骨付きカルビ』には、注文ごとに丁寧に包丁が入れられていく
排煙設備の関係で霜降り部位をあまり使わないとのことだが、【赤坂 らいもん】の定番になりそうな霜降り部位として『骨付きカルビ』がある。
昔は特上カルビなどとして提供されていた三角バラに、肋骨付きで包丁を入れ、1枚の長いお肉に開く。その断面は見惚れてしまうほどの美しさで細かなサシが散りばめられている。トングで掴むのも難しいので、お行儀は悪いかもしれないが手掴みで網に乗せるのがオススメ。
香ばしく焼き上がった骨付きカルビはハサミで切り分け、更につけだれにたっぷりと漬けて食べて欲しい。甘みの強いお肉の脂と、脂の重たさを和らげてくれる秘伝のつけだれ、そこに白米が加わればこれ以上ない最強の焼肉が完成する。このマリアージュこそが【金竜山】らしさを最も感じさせるところかもしれない。
焼肉好きは頼まずにはいられない
『シャトーブリアン』
ヒレのど真ん中の『シャトーブリアン』は上品な味わいと、シルクの様な繊細な食感が特徴
お腹に余力がある人は『シャトーブリアン』も食べるべきだ。いや、余力が無くても食べるべきだが。タレがからまった分厚い『シャトーブリアン』は、卓上のガスロースターではなく、カウンター内で炭火を使い店主自ら焼いてくれる。表面はカリッと、中はレアで焼き上げられた『シャトーブリアン』は、舌の上で肉の繊維がほどけるように崩れ、究極の繊細さを教えてくれる。
〆は店主の友人から送ってもらっているという手打ちの『冷麺』で決まり。コシの強い盛岡冷麺で、焼肉の余韻として残った脂をキレイさっぱりと流してくれる
ご夫婦ともに今でも【金竜山】で働いているので、【赤坂 らいもん】の夜の営業日は【金竜山】の定休日を中心に月に数日のみ。ご夫婦がまったく告知をしない関係で、オープン当初は予約が取り易かったが、だんだんと予約が取りにくくなってきている。このまま順調に軌道に乗れば、営業日数は増えていくそうなので、ぜひこの機会に伝説の味の一端に触れて欲しい。
ちなみに、水木金の週3日はランチ(タンシチューのみ)もやっているので、まずはランチに行って夜の予約を取れる日程をface to faceで相談するのが一番スムーズだろう。ちなみにこの『タンシチュー』は、【金竜山】で大量に余るタン筋を丁寧に煮込んで作られる。水木金と順にシチューが濃くなっていくので、好みの濃さを見つけて、その曜日に通うのも面白い。
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アクセス:東京メトロ「赤坂見附」駅から徒歩2分
営業時間:[ランチ]11:00~14:00(水木金のみ営業)、[ディナー]不定(月に数日程度)
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小池 克臣
横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がず肉を焼く日々。焼肉やステーキを中心に、最高の牛肉を求めて年間200軒以上を焼き歩く。さらには食べるだけでは飽き足らず、生産牧場や食肉市場にも足を運ぶ肉の求道者。
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