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フェスを楽しみながらミシュランの味を堪能。2日間限りの野外プレミアムレストラン【Reborn-Art DINING】

【L'Effervescence】の生江史伸シェフや【Sincére】の石井真介シェフなど、全国から世界を知るトップシェフ達が集結し、石巻で腕を振るいました。そんな2日間限りの幻のレストラン【Reborn-Art DINING】の全貌はいかに。

フェスを楽しみながらミシュランの味を堪能。2日間限りの野外プレミアムレストラン【Reborn-Art DINING】

フェス×宮城県のいきなり美味しいもの

 2016年7月29~31日の3日間、宮城県石巻市雲雀野地区では、Mr.Childrenやスガシカオ、WANIMAやクリープハイプといった豪華アーティストが集結する、音楽と食とアートの祭典「Reborn-Art Festival 2016」が開催されました。

 牛タンや焼き牡蠣など、いきなり美味しいご当地グルメが満喫できる屋台(※いきなり:宮城県の方言で「とても」という意味)、さらには夏らしいジリジリと照りつける太陽とが掛け合わされ、最高に盛り上がるフェスの完成!

 そんなフェスを目当てに音楽好きが集結する中で、名シェフたちの料理をコースで味わうプレミアムレストラン【Reborn-Art DINING】が開催されました。それはそれは、いままでのフェスでは味わったことのない新しい食の体験でした。

Reborn-Art DINING -Dinner-

 海と共に生きる街をコンセプトにした白く大きいテント型のレストラン会場。ディナーがスタートする18時に合わせて、チケットを持った300名のお客様がどっと押し寄せます。1つのコースで名シェフ7人の味が楽しめるというだけあってかなりの人気ぶりが伺えました。

 コースのはじまりを飾るのは、「アジアのベストレストラン 50」に選出されるなど、輝かしい経歴を持つ【L'Effervescence】の生江史伸シェフ。食事のスタートを切る前菜を華麗に担う姿は、シェフの中でも頼れる兄貴といった印象です。

 肉料理は【nacrée】の緒方 稔シェフが担当。宮城県に店を構える彼にメインを任せるのは、メンバーからの期待と、地元のファンからの信頼が感じられます。そんな、互いの長所を最大限に活かしあうシェフ達からは「Reborn-Art DININGを最高の舞台にするぞ!」という情熱的な意識が汲み取れます。

  • 【L'Effervescence】生江 史伸シェフより「銀王のマリネ-ムール貝のスモークと仙台味噌のエミルションを添えて-」

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  • 【METZGEREI KUSUDA】楠田 裕彦シェフより「テリーヌR.A.D牡鹿」

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  • 【villa AiDA】小林 寛司シェフより「石巻で獲れた穴子のフレーゴラ」とパン職人 岩永 歩さんより、ミシュラン常連のレストランにもパンを提供している【LE SUCRÉ-COEUR】のパン

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  • 【オテル・ド・ヨシノ】手島 純也シェフより「牡鹿半島で獲れたホタテのムースとスズキのパイ包み ハーブの香りと白ワインのソース」

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  • 【nacrée】緒方 稔シェフより「石巻産仙台牛とブラータ」

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  • 【Sincére】石井 真介シェフより「時を経て生まれ変わった“ずんだ”」

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“食”という名の舞台

 ひとつひとつのメニューから、このイベントに懸けた想いが伝わってくるようでした。美味しいのはもちろんですが、震災の爪痕を感じさせないほどに、人々の笑顔とエネルギーが伝わって来るようで、感動すら覚えました。フェスというイレギュラーな環境の中で、ここまでのレストランを実現させたシェフたちに、思いの丈を聞きました。

手島シェフ:「環境も設備も普段とは異なります。人員も専門職種もみんなバラバラ。つまりは練度が異なる状態で、ハイクオリティな料理を出さなければいけません。もし、このメンバーで出てくる料理がしょぼかったら?お客様の落胆は計り知れないでしょう。お客様にとってみれば、対応人数や設備も関係ない話。それを感じさせないクオリティを提供するのが今回の役割です」

緒方シェフ:「普段自分の構える店で肉料理を提供する際は、何度も何度も温度や時間を調整して、じっくりと焼き上げますが、一度に百単位の人数分ともなるとそういう訳には行きません。いつもの100倍くらいの負荷をかけて旨味を閉じ込める方法や、常温の状態で、塩気のあるものを美味しいと思わせる力なんかはかなり勉強になりました」

 そんなシェフたちの奮励が滲むメニューはどれも抜群に美味しく、2時間があっという間に過ぎました。石巻の海風を感じ、アーティストの生演奏を聴きながら満喫するダイニングなど、他では類を見ないのではないのでしょうか。

 音楽好きが集うフェス会場の中で、本格的なコース料理を振る舞うという初の試み。シェフ達の熱い眼差しと、妥協のない後姿からは、寝る間も惜しんでこのイベントに挑んだ努力が滲んでいました。

 全国から名立たるシェフが一同に集い、料理を振る舞う様子は、まるで舞台を観ているかのよう。【Reborn-Art DINING】は、音楽と食と人のチカラが一体になった、宮城でしか味わうことのできない“幻のアート”でした。

取材協力

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この記事を作った人

遠藤麻矢 ヒトサラ編集部

宮城県仙台市出身。2011年3月11日、宮城県にて東日本大震災を経験。その後、東北エリアのヒトサラを2年間任い、震災後のリアルな飲食業界を目の当りにする。現在は生産物や生産者、料理人の想いを届けるべく、食にスポットをあてた取材を続けている。

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