音楽とフードカルチャーを繋ぐ、クールなイベント「CONCENT」@表参道【FRATELLI PARADISO】
2018年春先、表参道ヒルズの【フラテリ パラディソ】で開催された「音楽×食」がテーマのディナーイベント「CONCENT」。参加シェフは、原宿【kiki harajuku】の野田雄紀氏、代々木上原【Gris(現:sio)】の鳥羽周作氏、国領【Don Bravo】の平雅一氏、今年【鮨さいとう】から独立する遠藤記史氏だ。同じ思いをもった4名のシェフたちが10皿の料理を振る舞った。
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若者のカルチャーシーンに寄り添う、音楽と食を繋ぐイベント「CONCENT」
4名のシェフたちが織り成す、10皿のコラボレーションコース
シェフが語る、フードカルチャーの未来とは
若者のカルチャーシーンに寄り添う、
音楽と食を繋ぐイベント「CONCENT」
今回の会場となったのは、表参道ヒルズ2階の【フラテリ パラディソ】
レストランは一部の食通が楽しむ場ではなく、「ちょっと着飾って遊びに行く場所」、「おしゃれな若者たちが集まる場所」でもいいんじゃないか。「CONCENT」はそんなシェフたちの思いが聞こえてくるようなイベントだった。
イベントが開催された3月20日、エントランスのバーエリアにはDJブースが設置され、WONK長塚健斗氏、jan and Naomi氏、Maika Loubté氏、Kotsu氏など、注目のアーティストたちがターンテーブルを回した。
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当日はDJブースが設置された。写真はKotsu氏
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多くのゲストで賑わうバーエリアは、エントランスフリー
会場に響く音楽と一緒に楽しめるワインや日本酒は、【フラテリ パラディソ】のソン・ユガン氏と【LA BONNE TABLE】の戸澤祐耶氏の2名のソムリエ、そして【JOE'SMAN2号】のオーナー高崎丈氏が選んだもの。
会場は、ワインや軽食を片手に会話しながら、音楽に身をゆだねるゲストで賑わいを見せた。
これだけでも十分に楽しめるのだが、今回のイベントのメインは、さらに奥のレストランフロアにある。
4名のシェフたちが織り成す
10皿のコラボレーションコース
予約者限定のコース料理が提供されたレストランフロア
レストランフロアでは、4名のシェフがコラボレーションした10皿のペアリングコースが、予約者限定で振る舞われる。
着席すると、何やらテーブルには大きさの違うグラスがたくさん並んでいる。料理が進むにつれて、順にペアリングドリンクが注がれていくのだ。「次のグラスにはどんなドリンクが入るのだろう」と期待させてくれる演出だ。
また、ペアリングはノンアルコールも選べる。お酒が飲めない人でも楽しめるよう配慮されているのだ。
計8杯のペアリングドリンクが、左から順に注がれていく
そして、料理に腕を振るうのは、今注目の4名のシェフたち。10皿の中でも、特に印象的だった4品と一緒に各シェフを紹介する。
苺 桜 トマト水
【kiki harajuku】野田雄紀 氏
まずは原宿のフレンチビストロ【kiki harajuku】より野田雄紀氏。裏原という様々な文化が根付く地で、リーズナブルにフードカルチャーに触れられる場を提供している。
果物を使った料理が特徴的で、この日の一皿は『苺 桜 トマト水』。ピンクのジュレは苺と桜、そしてトマトの果汁を固めたもので、トマトの旨味と桜の塩味、苺の甘味と酸味がそれぞれを引き立て合う、野田氏らしいスペシャリテだ。
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野田雄紀氏「このイベントを通じて、面白いシェフたちがいることを知ってほしい。それが浸透して、レストランに興味を持つ人がもっと増えてくれれば嬉しいです」
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ペアリングドリンクは、人気酒造(福島)『Rice Magic スパークリングレッド』
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鰹 ゴルゴンゾーラ メープルシロップ
【Don Bravo】平雅一 氏
続いて、調布市の国領にあるイタリアン【Don Bravo】より、平雅一氏。イタリアの伝統的な技法を大切にしながら、和の食材を用いてお皿に表現するのが得意なシェフだ。
写真の『鰹 ゴルゴンゾーラ メープルシロップ』は平氏のスペシャリテ。メープルの甘味にチーズの塩味、そして“肉々しい”鰹の旨味が口の中でひとつにまとまる。
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平雅一氏「いつもは都心から少し離れた国領の地で料理をしています。このイベントでは普段お会いできない方々に料理を届けられて、そして喜んでもらえて光栄です」
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ペアリングドリンクは、Gotsa(ジョージア)『15 Rose Tavkverii』
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横山さんの鰻
遠藤記史 氏
三人目は、六本木の名店【鮨 さいとう】から今年独立する遠藤記史氏。イベントでは敷居の高いイメージとはまた違う、“身近に感じられるような鮨”を提供した。
写真の『横山さんの鰻』は、鰻を醤油、みりん、砂糖で煮付けたもの。蒲焼きではなく煮ることで、素材の繊細さを更に引き出した。生産者の名を冠した料理名からも、遠藤氏の素材に対する敬意が感じられる。
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遠藤記史氏「鮨ってどうしても“お固いイメージ”がありますが、もっと身近に感じてほしくて。今回の音楽と食を絡めた新しいイベントで、僕も何か新しいことができればという思いで参加しました」
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ドリンクは、ひとつ前のお皿から木戸泉(千葉)『2012 Afruge“Ma Cherie”』をこの後に続くメインディッシュにも合せて
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モンドール ハーブ
【Gris(現:sio)】鳥羽周作 氏
最後は代々木上原のフレンチ【Gris】より、鳥羽周作氏。同店は、鳥羽氏がオーナーシェフとなり、今年7月より内装も新たに【sio】としてリニューアルオープンする。フレンチをベースに、枠組みに囚われない発想や、生産者に焦点を当てたメニュー、ゲストに楽しんでもらえるよう趣向を凝らした料理が印象的なシェフだ。
写真はこの日のコースを締めくくった『モンドール ハーブ』。濃厚な甘味とコクの深いアイスにハーブをあわせることによって、あっさりとした口当たりになり、しつこさを感じることなく食べられる。
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鳥羽周作氏「若い子に、ファッションを語るようにあのレストランのあの料理いいよね、と話してほしい。そんな“レストラン文化”をもっと身近に感じる環境をつくっていきたいです」
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ペアリングドリンクは、枡田酒造(富山)『満寿泉 貴醸酒 生酒』
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まだまだ紹介しきれないが、そのほか併せて10皿と8杯のペアリングドリンク、そして締めのコーヒーは【オニバスコーヒー】から『エチオピア チェレレクツ』が振る舞われた。
当日のメニュー(右)と、ペアリングドリンクのリスト(左)
シェフが語る、フードカルチャーの未来とは
イベントの最後に、シェフやソムリエたちが登壇し、挨拶とそれぞれの思いを語った。
鳥羽氏は、少し前までの料理業界には、鮨職人とフレンチシェフのような異なるジャンルの料理人が一緒に料理をつくる機会が少なかったと話す。
──鳥羽氏
一つのお皿をいろんなジャンルの料理人たちが、高いレベルを目指してつくる時代が、そろそろ来ているんじゃないかと感じます。技術や情報、知識をよりオープンソースにしていくことが、これからの料理業界にとって重要です。
そして、カルチャーとしての料理や音楽が密接に繋がっていって、若い子たちにもレストランがもっと身近な存在になったらいいなと思っています。
今後もこのイベントは行われるそうで、第2回目の「CONCENT」は今秋に開催される予定だ。
食と音楽、そして様々なジャンルの料理人たちによるコラボレーションが何を生み出していくのか、次回も見逃せない。
この記事を作った人
関口 潤(ヒトサラ編集部)
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