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更新日:2021.07.09食トレンド

「おすすめは?」を脱却。ソムリエと対話をしながら自分でワインを選ぶ楽しみに目覚める大人のビストロ 【アララト(ARARAT)】虎ノ門

最近ペアリング頼りになり、自分でワインリストを見る機会が減っていませんか? 「相性も大切かもしれないけれど、自分が飲みたいワインを飲む。これが好き!と思えるワインを見つけることもワインの楽しみ」とオーナーソムリエの東原教人氏。「うんちくを語るよりも純粋にワインと料理を楽しんでほしい」という思いで開いた大人のビストロにさっそく行ってみました。

ワイン

厳密な相性よりも、まずは自分が飲みたいワインに出会う喜びを

    ジョークを交えながらの楽しい会話で対応してくれる東原教人氏。気さくな雰囲気ながら、ボルドーの国際的ソムリエ学校で最高の教育を受けたエリート

    ジョークを交えながらの楽しい会話で対応してくれる東原教人氏。気さくな雰囲気ながら、ボルドーの国際的ソムリエ学校で最高の教育を受けたエリート

「私が考えるレストランでの楽しみ方は、店の都合や料理との相性を強調したワイン選びではなく、『今日はこんなワインが飲みたいな。じゃあ、料理はなにを食べようか』とワインありきで料理選びをする。あるいはメニューを見て料理を決めてから、『じゃあワインは……』とソムリエと話し合って決めていく。ワインも料理もお客さま主導。そのほうが満足度は高いのではないかと……」と熱く語る東原氏。

たしかに、高級店ではおまかせコース、ペアリングがあたり前のようになった昨今。自分で料理を選ぶ、リストをじっくり見てワイン選ぶという機会が減ってきています。東原氏は「厳密な相性よりもまずは飲みたいワイン、食べたい料理。そういう昔ながらの美食スタイルを楽しんでほしい」とこの店を開いたのです。

お客さまと対話を重ねて好みのワインを見つける手伝いをするのが仕事

    ブルゴーニュのDRCをはじめ、フランスの銘醸ワインを中心にコレクションされたセラー

    ブルゴーニュのDRCをはじめ、フランスの銘醸ワインを中心にコレクションされたセラー

自分でワイン選び、といってもリストを見ただけで味わいが想像できるようになるには時間と経験が必要です。

「リストをお持ちして、”はい、ここから選んでください”ではソムリエがいる意味がないですし、AIに取って代わられてしまいます(笑)。ボルドー滞在時代に出会った友人の三好もフロアで一緒に働いています。私たちは、ピンにボールを寄せていくゴルフのように、お客さまと対話を重ねて好みのワインを見つける手伝いをするのが仕事。なんでも聞いてください」と東原氏。

とにかく「ワイン好きを増やしていきたい」というワイン愛に溢れています。

渾身のスペシャリテ・ボルドー名物の薄切りステーキを食べてほしい

    東原氏の思い出の味でもあるボルドー名物の牛リブロース肉の薄切りステーキを再現

    東原氏の思い出の味でもあるボルドー名物の牛リブロース肉の薄切りステーキを再現

料理は、将来的にはアラカルト中心、お客さまの食べたいものに対応できるようにしていく予定とのことですが、なにせコロナ禍の2021年3月オープンゆえ、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」が続いているため、現状は3皿8600円、5皿12000円で予約を受けています。

メニューが絞り込まれているからこそ「これは絶対に食べてほしい」という、渾身のスペシャリテとして生み出したのが「薄切りステーキと自家製ポムフリット」。一度食べれば虜(とりこ)になる味わいです。

    アンチョビバターソース、付け合せのポムフリットのこだわりも半端ない

    アンチョビバターソース、付け合せのポムフリットのこだわりも半端ない

このステーキは、ボルドーで60年以上続くステーキハウス【アンタルコート】の名品を再現したもの。「ほかにもステーキを出すお店はありますが、ここはつねに行列ができているんです。万人に愛される味なんですね」。

ソースは、バター、アンチョビ、エシャロットやハーブ数種をバランスよく合わせたもの。ポムフリット(フライドポテト)は、6㎜角に切り揃えられるフランスのマシンを使い、茹でて、乾かしてから下揚げ、本揚げと手間をかけている。「本場に負けないおいしさ」と東原氏。
その言葉どおり。一度食べたら忘れられない一皿になること間違いなしです。

フォンをひくなど手間暇をかけたクラシック料理を出していきたい

    「甘鯛のうろこ焼き フランス産ポワロー アメリケーヌソース」 12000円のコースから

    「甘鯛のうろこ焼き フランス産ポワロー アメリケーヌソース」 12000円のコースから

いい土壌で手間ひまかけてつくられた上質のワインには、やはり手間ひまかけた料理でないとバランスが崩れます。「食事だけで成り立つのではなく、ワインとともにあるガストロノミーでありたいですね」。

料理を担当するのは、東原氏が飲食の世界に入ったときから親しくしている先輩であり、10年来の友人でもある松本元太氏。「新しいことよりも、まずはクラシックの基本の完成度を上げていきたい」と、東原氏がフランスで感動した味を再現しています。

いいものに触れて感性を磨く。「日常に上質を」がコンセプト

    アララトの内観

ボルドーの【ジョエル・ロブション】やパリの【トーゥール・ダルジャン】など若くして本場のグラン・メゾンで経験を積んだ東原氏。日常的にいいものに触れる機会が大切と、グラスはロブマイヤー、カトラリーはクリストフル、食器はベルナルドなどを揃え、シンプルながらも優雅で美しい雰囲気でまとめられています。

店名【ARARAT】は、旧約聖書に登場するノアの方舟が大洪水ののちに漂着した終着地とされる実在の聖山から名付けられています。「お客さまが飲みたいワインを豪快に飲みながら、シンプルなお料理をほおばれる終着点、というイメージ」と東原氏。

    ワイン

ワインは同じ地域、品種、つくり手、ヴィンテージだったとしても、保存されていた状態で熟成の度合い、味が違ってきます。とくに高価なワインほど繊細。信頼できるインポーターから仕入れるなど、店にやってくるまでの道筋がわかっていることはとても大切。ワインを愛するからこそ管理に気を配り、抜栓をして、飲みごろの温度で提供してくれる。そんなソムリエがいる店選びも大切です。

東原氏のワインのコレクションを見ると敷居が高いと感じるかもしれませんが、懐は深く、愛好家だけでなくワインに興味はあるけれどなにを飲んだらいいかわからない、というゲストも歓迎してくれます。ワインの本当の魅力を理解したいと思うなら、真剣かつ楽しくワインに浸れるこのお店をおすすめします。

この記事を作った人

撮影/岡本裕介 取材・文/藤田実子

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