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更新日:2017.06.19食トレンド 連載

ハレの日に訪れたい、和の名店へ from「ヒトサラSpecial」

新年を迎えるなら、着物を着てお出かけしたいですよね。そんな時に似合うのは、和の名店。ハレの日の食事こそ、和の情緒をご堪能ください。

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【小熊】

食材の旨みを徹底して活かした、真っ当な味わいに和食の粋を実感

 器は人間国宝が手がけた一点物や、骨董品としての価値もある年代物がズラリ。食材も、他店ではめったにお目にかかれない逸材が揃う。【小熊】は、すでに食通の間でも評判の日本料理店だ。腕を揮う主人の小岩浩高氏は言う。「料理は素材がすべて。やり過ぎないことが最も大切だと思っています。その分、ごまかしのきかない仕事をしなければなりません」

    ハレの日にふさわしい、しっとりと落ち着いた空間

 なかでも熟成は、【小熊】が得意とする仕事のひとつ。魚種に応じて冷蔵で寝かせる期間を見計らい、各々の旨みを最大限に引き出している。「今日の白川(白甘鯛)は3.8kgの大物。これで19日、寝かせています」。脂の上品な甘さは唸るほど。熟成させて初めて醸せる旨みもあるという。熟成は魚に限らず、肉も同様に実行。驚くべきは米も寝かせているという点で、研いだ後で冬なら一週間ほど、低温で寝かせている。「そうすることで、お米の粒立ちが良くなり、甘みも増してくる」

  • 『鯨のコロの白味噌仕立て』。コロは皮でコラーゲンもたっぷり。生を2日かけてアク抜きし、トロトロに炊き上げた

  • 『白川の造り』。白川は驚くほどの旨みがあり、脂も上品。甘酸っぱい竜皮昆布と幾層にもなっており、一緒に食す

  • 人間国宝が手がけた備前や唐津、カンボジア人作家、イム・サエム氏の南蛮手など、希少な一点物も店内に飾られる

  • 食材が持つ本来の滋味を大切にし、「最後に調味料を打って仕上げるのでなく、出汁の段階である程度の美味しさに持っていくのが私の流儀」と主人の小岩氏

 なぜ、その仕事が必要か。ただ漫然とセオリーを踏襲するのでなく小岩氏は成果を見据えた上で仕事を施しているのだ。それこそが食材の持ち味を丁寧に引き出し、そのものの繊細な旨みを楽しむ、日本料理の粋。
「今回は正月に相応しい料理をご用意しました」。器やあしらいで季節を愛で、口に運んで今、この素材を食す必然性を実感する。日本人としての誇りまで甦る。

【日本料理TAKEMOTO】

名店仕込みの熟練の技がカウンターを舞台に輝きを放つ

 日本を代表する名店【金田中】で修業を重ね、向島の料亭【水野】では料理長も務めた武本賢太郎氏が、独立後に選んだ舞台はカウンター。「お客様の声を直接聞きながら、味だけに留まらない満足を提供したい」そんな思いが、自身の名を冠した【日本料理TAKEMOTO】に凝縮されている。箸の進み具合に合わせた料理提供、合わせる酒との調和、そしてさりげない会話。カウンターならではのライブ感が、和の趣のなかに穏やかな雰囲気を加えているのだ。

    ゆったりと余裕を持った席間隔で、カウンターでありながらプライベートな気分で食事が楽しめます。店内には6人まで利用できる個室も完備

 そんな心地よい空間ではあるが、料理は伝統に則った正統派。とくに日本料理の要である出汁は、武本氏の実力を如実に表している。基本は最上級の鰹と昆布を基本にしつつ、合わせる食材に応じてまぐろ節、宗太鰹、日本酒などを加えて微調整。絶妙な塩梅で使い分ける出汁が、四季折々の旬魚をはじめとした食材をいっそう引き立てている。厳選した旬食材と、その根底を支える出汁。その堅実な組み合わせが、一見地味な見た目のなかに奥深い旨みを潜ませるのだ。

  • 鱈の白子と百合根の玉地蒸し。柔らか目の茶碗蒸しといった印象。上質な出汁の風味が全体をまとめあげている

  • 鱈の白子と百合根の玉地蒸し。柔らか目の茶碗蒸しといった印象。上質な出汁の風味が全体をまとめあげている

  • 趣味を兼ねて集めたという酒器や食器。陶器、磁器、塗り物など幅広いが、とくに土の力強さが感じられる器が多い

  • 名料亭で鍛えた武本氏の技は健在。流れるように無駄のない所作で料理を仕立てつつゲストに気を配り、ときに会話に花を咲かせる

 名店仕込みの技と最高の食材が織りなす正統派日本料理を、気軽なカウンターで堪能する。そんな贅沢が許される、稀有な一軒である。

 

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