ジャン=ポール・エヴァン17/18コレクションのテーマは「アネ トラント(30年代)」! メゾン創立30周年を迎える軌跡と新作を発表
MOF(フランス国家最優秀職人章)をはじめ、数々の栄誉に輝く世界最高峰のショコラティエ、ジャン=ポール・エヴァン氏が来日。毎年恒例となる新作発表会が都内で行われました。今季のテーマを紹介するとともに、メゾンの歴史について振り返ります。
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今年のテーマ「アネ トラント(30年代)」に込められた思い
1930年代を代表するクリエイションへオマージュを捧げた作品『ビュッシュ ドゥ ノエル』
これまでの30年と、これからの30年
今年のテーマ「アネ トラント(30年代)」に込められた思い
【JEAN-PAUL HÉVIN ジャン=ポール・エヴァン】のチョコレートといえば、独創性溢れるテーマの作品が注目を集めています。毎年この新作発表を心待ちにしているスイーツ女子も多いことでしょう。今年のテーマは「アネ トラント(30年代)」。ジャン=ポール・エヴァン氏にとって、特別な意味や思いが込められているというテーマについて探ってみました。
エヴァン氏がパティシエとしてのキャリアを始めた頃、ホテル・ニッコー・ド・パリにて経験を積みました。その時に出逢ったのがフレンチ界の巨匠“ジョエル・ロブション氏”。「正確性、素直な気持ち、一つの仕事にたいしてひたむきに向き合う心。デザインにたいしても細かいところまでこだわりぬく精神をすごく鍛えられました。クリエイティブな発見がたくさんありましたね」とエヴァン氏は師匠と過ごした日々を懐かしそうに振り返ってくれました。その後、パリに自身初となるメゾン【ル プティ ブーレ】を立ち上げます。ここからショコラティエとしての活動が始まりました。
親日家であるエヴァン氏が、国外初の出店先として選んだ国はもちろん日本。一号店となった伊勢丹新宿本店のブティックは、待ち時間が6時間を超える長蛇の列ができたほど。瞬く間にファンを魅了し、表参道ヒルズをはじめ全国にブティックが展開されていきます。
ショコラティエとして活動してきた30年にちなんで、今回テーマに掲げたのが“1930年代”という時代。世界的な不況のなか戦争の足音が近づく時代に生まれた、創造性あふれる美しい芸術からインスピレーションを受けた、エヴァン氏の新作コレクションを紹介しましょう。
1930年代を代表するクリエイションへオマージュを捧げた『ビュッシュ ドゥ ノエル』
Bûche 『Bûche Géometrik(ビュッシュ ジェオメトリック)』 6,000円(税別)
ビビッドな赤色がモダンな印象を与える『ビュッシュ ジェオメトリック』は、1930年代を代表するデザインの一つになったアームチェアから着想を得た作品です。20世紀オランダの建築家であるヘーリット・トーマス・リートフェルト氏がデザインした「赤と青のいす」をモチーフに創作されています。
ペルー産のカカオを使用したムースは、ブナの木でスモークされていて苦味と酸味を力強く感じます。アーモンドやヘーゼルナッツの芳ばしい甘みの中で、フィヤンティーヌのサクサクとした食感がクセになります。チョコレートの奥に潜む薫香や、ローリエのスパイシーさといった“香りの妙”を感じて味わっていただきたいです。
Bûche『Bûche O’clock(ビュッシュ オクロック)』 5,750円(税別)
大きな時計がモチーフの『ビュッシュ オクロック』は、1930年代に生み出された美しい宝飾時計へのオマージュから生まれました。フレッシュな果実味を感じるマダガスカル産のカカオに、フランボワーズの酸味、柚子の優しい香りが広がるハーモニーが魅力的。3種のビスキュイとフレッシュな果実の酸味と甘みが、きめ細やかなムースに包まれた優しい口当たりです。
Bûche 『BûcheGatsby(ビュッシュギャッツビー)』 5,750円(税別)
クリスマスツリーがあしらわれている『ビュッシュギャッツビー』は、1930年代を代表するニューヨークの高層建築“エンパイアステートビルディング”のエレベーターの鉄柵からインスピレーションを得たとエヴァン氏は言います。ハリウッドの黄金時代でもあった30年代。「偉大なるギャッツビー」を思わせるクラシカルなデザインと、繊細に表現された樹皮が美しい作品です。グルテンフリーで作られたビスキュイに栗とヴァニラの気品ある甘みが豊かに香ってきます。大の栗好きと話すエヴァン氏の、カカオと栗の組合せ方に注目です。
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Macaron『Drop』290円(税別)
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Bonbon chocolat『Drop』418円(税別)
マカロン『ドロップ』とボンボン ショコラ『ドロップ』は1930年代に栄えたアールデコを代表する画家、ジョアン・ミロの絵画からヒントを得た作品です。しっとりと重みのあるガナッシュは、キューバ産のカカオにブナの木でスモークした生クリームを合わせています。鼻腔から抜ける薫香が、デザートタイムを妖艶に演出してくれます。
「アネ トラント」コレクションの発売は、2017年11月を予定。エヴァン氏にとってアニバーサリーイヤーとなる特別なショコラを見逃すわけにはいきません。
これまでの30年と、これからの30年
「この30年で感じたことは、お客さまたちの味覚がどんどん研ぎ澄まされてきているということです。より新鮮なものを求めるお客さまが満足できるよう、僕も材料や鮮度にこだわり続けています。より複雑味の増した【ジャン=ポール・エヴァン】のショコラを届けていく…という流れができましたね」と、自身がクリエイターとして活動してきた30年間で感じた“時代の流れ”について語ってくれました。
9月には上海、10月4日には名古屋にブティックをオープンするのに続いてパリにも新しい店を展開する予定。三越名古屋栄店では、地元の特産品である赤味噌を使った限定ショコラが目玉となるそうです。節目を迎えたエヴァン氏ですが、挑戦への意欲はますます旺盛です。これからも想像力豊かなショコラでファンを愉しませ続けるのでしょう。
【ジャン=ポール・エヴァン 伊勢丹新宿本店】
電話番号:03-3352-1111
住所:東京都新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿本店 本館B1
アクセス:メトロプロムナードB5・B4・B3出口、東京メトロ丸ノ内線「新宿三丁目駅」徒歩1分、都営新宿線「新宿3丁目駅」徒歩3分、JR「新宿駅」(東口)徒歩5分
営業時間:10:30〜20:00(L.O.19:30)
定休日:不定休
この記事を作った人
植木 祐梨子(フードライター)
幼少期からチョコレートの魅力に心奪われ、原料であるカカオの勉強を始める。22歳の時にバリ島のカカオ農園にて収穫や栽培を経験。帰国後、日本の食・食文化を世界に発信する親善大使“第5代 食のなでしこ”を受賞。現在は多数のグルメ雑誌やwebにて取材執筆
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