富山ならではの美味が楽しめる! 今、訪れるべきレストランfromおいしいニッポン物語(第9回)
日本の豊かな食文化の魅力を伝える「おいしいニッポン物語」。第9回は、恵まれた山海の幸をダイレクトに楽しむ富山県にフューチャーしました。北陸唯一の三ツ星日本料理店【日本料理 山崎】や、江戸前の技で富山の魚を丹精な寿司に仕立てる魚津の【鮨 大門】、その魅力を余すことなくご紹介します。
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富山県民がハレの日に通う、正統派懐石料理【日本料理 山崎】
目の前の海で揚がる魚津前と江戸前を楽しむ【鮨 大門】
富山県民がハレの日に通う、正統派懐石料理【日本料理 山崎】
2〜3人ならば山崎さんとも会話ができるカウンターがおすすめ
富山市内から車で15分。住宅街の中に突如現れるのが、北陸で唯一のミシュラン三つ星店【日本料理 山崎】だ。店主・山崎浩治さんが料理人となると決めたのは中学生の頃。 富山、東京と料理人の修業を転々としていたころ、大阪【かが万】の味に出会って衝撃を受け、そこで自分の料理観を醸成させていく。さらに、大阪時代に好きな名店に通いつめ、どんな店をやりたいかというイメージを確立し19年前にこの地に店をオープンした。近隣には本格的な日本料理を出す店はなかったが、自分は本格的な日本料理で勝負する、というのは心に決めていたという。小さくても修業先のようにゆっくりと贅沢な時間を過ごしてほしいと、一軒家を建て、畳敷きの個室とカウンターを設えた。オープン当初とかわらないカウンターには和ろうそくが灯され、しっとりとした空気感が漂う。
「香箱蟹とずわい蟹の真丈」出汁は白菜のすり流しを加えて葛でとじている
富山から出たからこそわかった、富山の魅力
富山出身の山崎さんだが、富山という土地の魅力に気がついたのは、東京・大阪と他の地で働き、戻ってきたときのことだそう。「富山は空気がきれいで、人がいい。最上級のものが集まる大都市のような便利さはないけれど、海のものも山のものも良いものが多いなあと実感します」。店で使う食材は9割が富山のもの。「夏は鮑が最高。9月から12月まで出る富山の里芋は日本一おいしいよ。1月から3月はかわはぎかなあ。それが終わればアイナメやキジハタもおいしくなるよね」と富山のうまいものの話をしだしたら止まらない。そんな山崎さんが、冬の富山に来たら食べてほしいと胸をはるのが“蟹”と“ぶり”だ。
美しく盛りこまれたぶりしゃぶ用のぶり
蟹は解禁される11月初旬から2月にかけては、富山湾で揚がる、香箱蟹とずわい蟹の両方が登場する。「お椀は香箱蟹とずわい蟹のおいしさを同時にあじわってもらえるような真丈にしました。両方同時に味わえるってご馳走感があるでしょ? 12月には蟹ももっと大きくなるので焼き蟹などにもしますね」。
ぶりしゃぶは、山崎さん自らが客前で頃合い良く火を通してくれる。たくさん揃う富山の地酒とともに楽しみたい
富山の海のご馳走の代表格、ぶりは、王道のぶりしゃぶで登場。真昆布を酒と水で半日漬け、ゆっくりとうまみを出しただしを沸かし、美しく切られたぶりの切り身をさっとくぐらせる。ちょうど食べごろに火をいれて出してくれるぶりを、自家製の二杯酢とともに食べれば上品な脂がスッと口のなかで溶けていく。シンプルだけれど、極上の冬のご馳走だ。
富山の恵みの旬を生かし、奇をてらうことなく料理する
「【かが万】の大将に言われたことがいつも頭にあります。大将はいつも『家庭料理をバカにするな。シンプルなものほど難しい』と言っていました。『おいしいものは、見ただけでおいしいとわかる』とも言っていました。ですから、お客様にお出しするものはもちろん、まかないでもなんでも、ひとたび料理に向かえばそこにかける力は一緒です」。
豊かな自然がはぐくむ富山の旬の恵みを、そのおいしさを見極めて料理をする。確かな技術に裏打ちされた実直な山崎さんの料理を愛し、店に通う客は9割方地元の方々だという。地元を愛し、地元に愛されるこの店では、富山ならではの美味そのものに出会うことができる。
とやまの匠味キャンペーン【日本料理 山崎】の特典
【日本料理 山崎】で富山ガストロノミーの特別な体験ができる「とやまの匠味キャンペーン」開催中。特別メニュー「本日の地酒3種の飲み比べセット+特製塩こぶ「粉雪」(+3,000円税別)」をご用意します。
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(お申込み方法)
ヒトサラ店舗ページ【日本料理 山崎】にアクセスし、「とやまの匠味キャンペーンの予約です」と申し込みください。
目の前の海で揚がる魚津前と江戸前を楽しむ 富山ならではの洗練寿司【鮨 大門】
毎日、30種以上のねたを揃えるという鮨大門。カウンターの上に置かれた3つのねた箱には、きれいに仕事をされたねたが並ぶ。右から鯛、のどぐろ、金目鯛、にしん、ホッキ貝、甘鯛昆布締めなど
富山駅から電車で30分ほど足をばした魚津の駅前に、評判の寿司屋【鮨 大門】はある。主は、魚津出身で、北海道・小樽の今はなき名店や、札幌の名店【すし善】で江戸前寿司の技を磨いた大門太郎さん。「魚の仕入れは6割が魚津、3割がにしんやいわしなど、北海道の魚、1割がまぐろや穴子など、築地からですね。常にその時期で最上のものを仕入れることができるネットワークは、ありがたいなと思っています」と胸を張る。そして、多彩な魚を昆布で締めたリ、必要があれば熟成させるなど、一つ一つを生かし切る仕事を心がけている。
確かな修業を感じさせる、大門さんの美しい握り姿
「小学生の頃から、寿司屋になろうと、思っていました」と大門さん。「おやじに連れていってもらった寿司屋の大将が子供ながらにかっこいいなと思って。高校の頃は寿司屋やでバイトをしていました」。地元の寿司屋を皮切りに、より深い仕事や魚の扱いを覚えたいと北海道に渡った。「私の仕事の基本は、小樽の店で体得したものです。その後、名店の誉高い、札幌のすし善で、修業人生の仕上げをしました。極上の素材に日々対峙したのちに、魚津に戻ってみると、改めて富山の魚のよさを思い知ることになりました。それからですね、魚津の魚の真剣に生かすような寿司を握ろうと思ったのは」と大門さんは言う。
富山の中でも魚の種類の多さを誇る魚津。生れ育った地への愛を寿司で表現
朝、魚津の漁港に揚がったばかりの魚を発泡で氷詰めにして運んでくる。真鱈、のどぐろ、さわら、かわはぎ、上の箱にはせいこ蟹がぎっしりと
目の前は魚津の漁港
富山の中でも最も多くの種類が揚がるのが氷見と魚津。仕入れの6割をまかなうのが魚津の魚だ。しかも魚津の漁港は規模が小さいので、漁師とも直接にコミュニケーションがとれるというメリットもある。「魚津の店の中でも、魚津であがる魚を多く買っていると思います。だから優先的にいいものを回してもらえるんですよ」。また、朝揚がった魚をそのまま神経締めをしてさばき、必要な手当てをして握るのだから、まさに“きときと”だ。
左からさわら、のどぐろのあぶり、甘鯛昆布締め。寒流と暖流のぶつかる、豊かな漁場では、白身の美味しさも際立つ
白身の魚がおいしい理由の一番はそこにある。「さわらなども、魚体が大きくて脂がのって状態がよいときには、2週間ほど、長めに熟成することもあります。かわはぎなど、鮮度を重視したものはその日すぐにおろして使う。魚に応じて、できる対応の幅が広いのが海の真ん前にいる何よりもの強みですよ。なにしろ市場まで車で5分ですから」と大門さん。なんと店が引けたあとには、目の前の魚津の海で魚を釣るというのだから驚く。あおりいかなどものがよいときには、使うこともあるそう。一日のうちのほとんどは魚と向き合っているのだから、その愛ははかりしれない。
寿司の基本を丁寧に、そして深く探求する
おひつから右手で寿司飯を取る際に、いかに素早く的確に形作るかで、はらりと口の中でほどける、絶妙な握り具合が決まるという
寿司飯は、魚津産のコシヒカリを魚津の水で炊いている。「育った水で米を炊く、これ以上自然なことはないと思いますから」と大門さん。使用する酢は赤酢3種をブレンド。以前は2種のブレンドだったのが、まぐろや青魚の個性をより際立たせるためにと、配合を変えた。また、煮切りひとつをとっても、醤油にみりん、酒、さらに焼いた昆布と削り節をたっぷり加えた、旨みの強いものを作っている。一切手を抜かず、かけられるだけの手間をかけ続けていることが、大門の味の基本を形作っているのだ。和食店で修業をしたこともある腕を生かして、焼き物や蒸し物などの肴を6〜7品、その後、握りを8〜9貫というのがこちらのスタイル。多彩な富山の魚を調理のバリエーションも豊富に楽しめる。しかも、東京の寿司の半分ほどの価格なのだから、旅の目的地にするには最高だ。
香箱蟹はゆでて、ばらした身をきれいに甲羅に詰め直し、外子をゼリー寄せにして。華やかなつまみの一品
とやまの匠味キャンペーン【鮨 大門】の特典
【鮨 大門】で富山ガストロノミーの特別な体験ができる「とやまの匠味キャンペーン」開催中。魚津で揚がるブランドかわはぎ「如月王(きさらぎおう)」。その『如月王(きさらぎおう)の肝和え』をつまみの中に盛り込んだ特別コースをご用意しました。(10,000円税別)
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(お申込み方法)
ヒトサラ店舗ページ【鮨 大門】にアクセスし、「とやまの匠味キャンペーンの予約です」と申し込みください。
特別メニュー「本日の地酒3種の飲み比べセット+特製塩こぶ「粉雪」(+3,000円税別)」をご用意。
写真/伊藤 信 取材・文/小松 宏子(鮨大門)、山路美佐(日本料理 山崎)
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