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花火に美食に外湯巡り。今ひそかにアツい城崎温泉で、はずせないレストランはここだ!

古き良き日本の風情を感じられると、近年外国人観光客にも注目されている城崎温泉。グルマンには冬のカニで有名な場所だけれど、実は夏もすごく魅力的。東京から陸路で行けば遠いかの地も、伊丹空港まで飛び、さらに小型飛行機でコウノトリ但馬空港まで飛んで行けば、3時間弱で到着。1300年余りの歴史を感じながら外湯をめぐり、浴衣で花火を眺め、但馬の美食を堪能する。そんな贅沢な休日に欠かせない、今行くべき新店を紹介しよう。

 最近、有名な温泉街に行くと、ドギツイ色のお土産屋のサインが目についたり、どこにでもあるようなチェーン店があったりで、がっかりしてしまうことがある。そこの土地にあった、のんびりとした古き良き雰囲気がなくなってしまっていることに、本能的に悲しくなるのは私だけだろうか。

 だからこそ、日本の原風景がそのまま残るような場所に出会うと、テンションが上がる。
そんな私が、最近感動したのが城崎温泉だ。東京から行くには、羽田から伊丹空港まで飛行機にのって1時間。さらにのりかえてコウノトリ但馬空港まで40分。さらにそこからバスで40分。正直なかなか行くのにハードルが高い場所だけれど、その”行きにくいこと”もまた、昔の日本へのタイムトリップの時間と思えば楽しく感じる。

    城崎温泉では浴衣での街歩きを推奨している。昔からある外湯をめぐるのも楽しい。

城崎のご馳走。豊かな土地と地元の情熱ある生産者が育む、山海陸の食材

 変わらない温泉街の看板、流れる小川にかかる石の橋、射的場に外湯。訪れた人は、浴衣で街をそぞろ歩き、大正期以前の雰囲気そのものが今でも息づいている。それに加え、城崎温泉の大きな魅力は、なんといっても洗練された美食があることだろう。冬のカニはグルメならずとも有名だが、実は昨今、ここだけの在来種による農産物や、オーガニック栽培に情熱をかける生産者の高品質な産品に注目が集まっている。

    300年続くわさび農家の「北村わさび」。現在は5代目北村宜弘さんが営む。自家採取により、在来種のわさびを種から育て、独特の溶岩石を敷き詰めた傾斜をつけた畑に、山からの湧き水を流し、栽培している。辛味が少なく、甘みも伴うさわやかな味わいだ。

    近隣の飲食店から絶大なる人気を誇る「ナカツカサファーム」。2003年から豊岡市で有機農業を始めた中務喜紹さん。家族のアレルギーがきっかけで食に関心を持ち、有機農業を始めたという。現在、7haの農地で、小麦と蕎麦、野菜を約30品目つくっている。

 まず代表的なのは、黒毛和牛。城崎温泉がある兵庫県北部・但馬エリアは、ブランド和牛のルーツと言われる但馬牛の産地だ。さらに、コウノトリが舞い降りる場所柄、コウノトリを守るための無農薬/減農薬農法の野菜や米の栽培が盛んな地域でもあり、津居山港や紫山港など豊かな海からは種類豊富な魚介が揚がる。さらに、いい水に恵まれた土地ならではの在来種の野菜や淡水魚も手に入る。こうした“ここにしかない豊かな食”を楽しんでもらおうと、もともとは温泉街として栄えてきたこのエリアに、ここ数年、地元の良質な食材に焦点を当てた感度の高いレストランが続々登場している。

城崎温泉・老舗旅館【西村屋】が手掛ける、モダンな雰囲気の日本料理店

    解放感のある高い天井。スキッとした白木の内装がすがすがしい。

 2019年4月にオープンした【さんぽう西村屋 本店】は、老舗旅館【西村屋】がオープンした、サロンとショップを併設した和食ダイニング。ここで楽しみたいのは、地元のとれたての恵みを炭火で焼く料理だ。

店内に入るとまず目に入る、中央に据えられた囲炉裏。そこで焼かれるのは、”その日のおすすめの食材“。当日市場や生産者から届く、一番いいものを出すために、決まったメニューは置かない。地野菜やとれたての魚介類、さらには但馬鶏や但馬牛などを炭火で焼き、さらに、そこにひと手間加えて料理に仕立てていく。

    料理長の中安伸一さん。生産者のもとを積極的に訪ね、地元の食材をどう生かすかを考える毎日。

「素材によって、火を操りながらその旨みを一番ピークで引き出します」とは、料理長の中安伸一さん。2002年から【西村屋】の厨房では働き、途中【リーガロイヤルホテル大阪】で腕を磨き、【さんぽう西村屋 本店】のオープンにあたって戻ってきた人物だ。

 この日のディナーは、コースで注文。旬の食材が次から次へと登場する。無農薬栽培の【ナカツカサファーム】の野菜は、炭火で調理してなお、みずみずしい。今までその野菜が”生きていた“ことを実感させる水分と香りが口いっぱいに広がる。

    食材が目の前で調理されるライブ感が、食欲を刺激する。

 地元で揚がった魚は刺身と、炙りで登場。フレッシュな身と、皮目をあぶった香ばしい刺身のコントラストが食べていて楽しい。炭火の香りをまとった但馬牛の赤身は、口のなかでかみしめるごとに旨みをたたえた肉汁をあふれさせ、和牛本来の香りを口中にとき放つ。

 最後の〆の在来種・赤花蕎麦は、甘みを感じる蕎麦で、添えられた【北村わさび】のわさびのまろやかな辛味がその甘みを引き立てる。どれも、ここでしか出会えない、一期一会の美味だ。都内ではなかなかお目にかかれない、地酒との相性が抜群なのは言うまでもない。

    各コースの〆で食べられる、在来種の『赤花蕎麦』

 外国人客にはヴィーガンのコースも対応。実は城崎温泉はフランス人をはじめ、欧米の観光客がとても多い場所。外国人の中には、食の制限がある方もかなり多い。「ほかの旅館のお客様も含めて、そうした城崎温泉の外国の方々にも喜んでもらえる場所になれば」と【西村屋】の池上桂一郎常務取締役が、ヴィーガンコースについての思いを語ってくれた。

    城崎温泉の昔ながらの街並みになじむ、落ち着いた外観

 そして【さんぽう西村屋 本店】は、レストラン以外にもいろんなシチュエーションで使えるのもいい。

 たとえば、城崎温泉の名物・外湯巡りの合間に寄って、サロンのレターラウンジでゆっくりする、なんてことができる。利用料2160円を支払えば、スナックをつまみ、お酒を飲みながら、開放的な気持ちの良いテーブルで手紙を書いたり、本を読んだりと思い思いの時間を過ごせるのだ。チェックアウト後にのんびりしたいときにもおすすめ。この店ならではの審美眼で選んだ地場の名産品や工芸品が並ぶショップでお土産を選んでから(蟹山椒がおすすめ!)、サロンでゆっくりして帰ることができる。さまざまな場面で、日本人のみならず、外国人のトラベラーにもおすすめしたくなる場所だ。

【さんぽう西村屋 本店】

電話:0796-32-4680(予約専用ダイヤル:0796-32-4895)
住所:兵庫県豊岡市城崎町湯島463-2
営業時間:[ランチ]11:00~13:30 LO.、[ディナー]18:00~21:30 LO.、ショップ&サロン10:00~23:00
定休日:水曜

肉とワインの名店で修業した女性オーナーが、故郷で開いたカフェ&ビストロ

 もう一軒、ぜひ行ってほしいのは、2018年4月にオープンした【OFF KINOSAKI】。城崎温泉のメイン通りから一本筋を入った、川沿いのロケーションが素敵。11時からはランチ、さらに14時から16時まではアペロの軽いつまみ&ナチュラルワイン、18時からは夜ご飯、と一日中いろんな使い方ができる。

    ケーキやパンが並ぶ店の店頭。大きくとられたガラス窓からはすぐ隣の川が眺められる

 この日はランチで訪れた。メニューは『自家製ローストポークと有機野菜、目玉焼きのオープンサンド』、『名物!!但馬うしの揚げ焼きステーキ』、『但馬鶏もも肉と新玉葱のトマトソースパスタ、サラダパン付き』の三種類。オープンサンドとステーキと迷いに迷ってオープンサンドをチョイス。なぜなら、こちらのオープンサンドのパンがめちゃくちゃおいしそうだったから。 「このパン、ナカツカサファームさんの無農薬の小麦でつくっているんです。すごくおいしいですよ」というお店の人の言葉が決め手となった。

    『自家製ローストポークと有機野菜、目玉焼きのオープンサンド』

 そして、登場したのがこちら。なんというボリューム!そして見た目がもう、たまらない。
くだんのパンはもちろん、自家製のハムもフレッシュな野菜も、すべて体の細胞ひとつひとつが喜ぶおいしさだった。食後のコーヒーは大好きなONIVAS COFFEE。洗練された美味に、お店の人に東京で働いていたのですか?と聞いたところ、店主の谷垣悠さんは、なんと【祥瑞】などで料理の経験を積んできた人物なのだとか。なるほど、納得。次、来たときは、ぜったいにステーキ食べよう。そう心に誓う。浴衣を着て、温泉につかった後に冷えたナチュラルワインと『但馬うしのステーキ』なんて、最高に違いない。

【OFF KINOSAKI】

電話:0796-21-9083
住所:兵庫県豊岡市城崎町湯島536
営業時間:[火~土]11:00~16:00、18:00~22:00、[日曜]10:00~17:00
定休日:月曜

 今回、城崎温泉で最近オープンした美食SPOTを紹介したが、城崎温泉では7月26日~8月25日の平日は毎日花火が打ち上げられるそう(8月12日~15日は除く)。大正レトロな街並みで美食を堪能しながら、花火を楽しむ素敵なオトナの夏休みは、忘れられない数日となるだろう。

城崎温泉で宿泊するならこちら

    こちらの貸切露天風呂は、70分の時間制。岩盤浴もついている

城崎温泉での宿泊におすすめなのが【西村屋ホテル招月庭】。5万坪の森林に隣接した「庭の棟」、温泉街を流れる大谿川を臨む「月の棟」はどちらも落ち着いた和室のゆったりとしたお部屋。露天風呂付きから、ベッドのある客室部屋もあるので、目的によって部屋を選べるのがうれしい。また、ぜひ体験してほしいのが、館内にある貸切露天風呂。海外のリゾートホテルのような、岩盤浴と露天風呂がついているお部屋では非日常の贅沢が味わえる。

城崎温泉 西村屋ホテル招月庭

兵庫県豊岡市城崎町湯島1016-2
電話:0796-32-4895

この記事を作った人

山路美佐(ヒトサラ副編集長)

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