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ボジョレーヌーヴォーの楽しみ方と魅力を名店のソムリエにきく⑤ 南青山【アペロ】

毎年、秋の収穫期に解禁され、日本でも一種のお祭りのように盛り上がるボジョレーヌーヴォー。2019年は11月21日に解禁しましたが、ヒトサラMAGAZINEでは解禁企画として記事をお届け! 名店のソムリエたちに、ボジョレーヌーヴォーの魅力、味わい、そして楽しみ方のポイントをインタビューしていきます。

ボジョレーヌーヴォーの楽しみ方と魅力を名店のソムリエにきく⑤ 南青山【アペロ】

歴史に彩られたガメイは魅力的

 東京・南青山の“隠れ家的ワインバー”として人気の【アペロ】。オーナー夫妻のギョーム・デュペリエさんとクロエ・デュペリエさんの個性に満ちたワイン選びと、“今のフランス”を感じさせるシンプルながらも洗練された料理が多くのワインファンに支持されている。

    インテリアはモダンでスタイリッシュだが、空気感はどこかのびやか。週末はいつも満席で、入り口ではスタンディングで”さらりと1杯”ワインを楽しむ人も

    インテリアはモダンでスタイリッシュだが、空気感はどこかのびやか。週末はいつも満席で、入り口ではスタンディングで”さらりと1杯”ワインを楽しむ人も

「ボジョレーの品種、ガメイが大好きなのです。フランスのワインの歴史を紐解けば、昔はブルゴーニュ地方に植えられていたのは、多くはガメイでした。それが『おいしくないから』という理由で、ピノ・ノワールに植え替えられてしまった。でも、南のボジョレーで連綿と受け継がれ、今日ではまた評価が高まっています。歴史と伝統を感じさせるところも大好きです」。

 ギョームさんはサヴォワ地方の出身で、ここもまたワインと美食の土地。子どもの頃から“新酒に親しむ”という文化に触れてきたと語る。

「フランスには地方ごとにワインがあって、それぞれに新酒の季節を祝います。私もちいさいとき、ワインの香りをよく嗅がせてもらいました(笑)」。

“ボジョレーヌーヴォー”を楽しむようになったのは、もちろん大人になってから。

「新酒の季節を実感しつつ、その年のワインのできを予測する。『とりあえず、ヌーヴォーを一杯』というさりげないスタイルが好きなのです」。

    ギョーム・デュペリエさん。ボジョレーヌーヴォーの解禁日には、「最初はマグナムボトルでサービスして盛り上がります」

    ギョーム・デュペリエさん。ボジョレーヌーヴォーの解禁日には、「最初はマグナムボトルでサービスして盛り上がります」

 フランスでは、ボジョレーヌーヴォーを祝うのは、もちろんボジョレー地方だけ。リヨンでは、老若男女がこの日はプション(カジュアルなビストロ)を訪れ、ボジョレーヌーヴォーを1杯だけ気軽に楽しむのだという。また、パリでは日本と同じようにボジョレーヌーヴォーのイベントを行うワインバーやビストロも多く、若い世代が仲間とともに楽しんでいるという。

「パリに住んでいた頃は、私も友人たちとボジョレーヌーヴォーを楽しみました。うんちくは二の次にして、親しい人とともに“ワインを分かち合う“。これは、フランスの文化でもあるのです。ポジョレーヌーヴォーには、ワインの楽しみの本質が現れていると思います」とギョームさん。

    『シャルキュトリの盛り合わせ(ハーフサイズ)』1,800円。生ハム、サラミ、チョリソー、テリーヌの盛り合わせ。付け合わせはピクルス。テリーヌは豚バラ肉と仔牛のレバー、小松菜でつくられている、ローヌ渓谷の郷土料理だという。これがボジョレーヌーヴォーのフレッシュな酸味とよく合う

    『シャルキュトリの盛り合わせ(ハーフサイズ)』1,800円。生ハム、サラミ、チョリソー、テリーヌの盛り合わせ。付け合わせはピクルス。テリーヌは豚バラ肉と仔牛のレバー、小松菜でつくられている、ローヌ渓谷の郷土料理だという。これがボジョレーヌーヴォーのフレッシュな酸味とよく合う

ボジョレーヌーヴォーも村ごとの個性を楽しんで欲しい

    『セルヴェル・ドゥ・カニュ(カニュの脳みそ)』900円。フロマージュ・ブランとジャガイモの一皿。リヨンの伝統料理で、“カニュ”とは地元の機織り職人のこと。200年以上前にリヨンで起きたデモに由来するブラックジョーク的ネーミングなのだという。

    『セルヴェル・ドゥ・カニュ(カニュの脳みそ)』900円。フロマージュ・ブランとジャガイモの一皿。リヨンの伝統料理で、“カニュ”とは地元の機織り職人のこと。200年以上前にリヨンで起きたデモに由来するブラックジョーク的ネーミングなのだという。

 ボジョレーをこよなく愛するギョームさんゆえ、今年のヌーヴォーの時期には、店でもなんと5種類以上のボジョレー・ヌーヴォーを用意する予定という。日本ではあまり知られていないが地元では定評のある生産者のもの。それに加えて、フルーリーやモルゴンなど、村違いでワインを用意する。

「同じボジョレーヌーヴォーでも、村によって味わいはそれぞれに違う。その個性を味わっていただきたくて。そのために、3杯のテイスティングセットも用意する予定です」。

 また、ボジョレーヌーヴォーに合わせてその期間に提供する料理は、ギョームさんいわく「簡単なおつまみになるものだけ」。すべて地元で親しまれている郷土料理で、「フランスらしさを楽しんでほしい」と話す。

    クロエ・デュペリエさんは料理の担当。「祖母がリヨンの出身で、とても料理上手でした。お店のメニューは、多くが祖母のレシピです」。スタイリッシュなプレゼンテーションは、クロエさんのセンスによるもの

    クロエ・デュペリエさんは料理の担当。「祖母がリヨンの出身で、とても料理上手でした。お店のメニューは、多くが祖母のレシピです」。スタイリッシュなプレゼンテーションは、クロエさんのセンスによるもの

日本人の盛り上がり方は最高! 自分も一緒に心から楽しむ

 じつは、ギョームさんはかつて日本に留学し、京都大学で経済の勉強をしていたという経歴の持ち主。帰国してからはパリで銀行員として働いていたが、日本が恋しくて、日本への再来日を決めた。

「日本の文化や自然が好きでした。日本人がボジョレーヌーヴォーを好むのも、新酒や新米など、“初もの”を尊ぶ文化ゆえだと思っています。とにかく、ボジョレーヌーヴォーの時の日本人の盛り上がり方は最高! 心から楽しんで、盛り上がっている。フランスより盛り上がっていると感じます(笑)」。

    料理はほとんどがシンプルなもの。だが、一皿一皿からは素材のよさがストレートに伝わってくる。できるだけオーガニックの素材を選んでいるという

    料理はほとんどがシンプルなもの。だが、一皿一皿からは素材のよさがストレートに伝わってくる。できるだけオーガニックの素材を選んでいるという

 ギョームさんとクロエさんは、毎年ボジョレーヌーヴォーが解禁される11月の第3木曜日には遅くまで店を開けてお客さんと新酒を祝い、店をクローズしてからは親しい友人たちとともにゆっくりとボジョレーヌーヴォーを楽しんでいる。

「たくさん飲むので、翌日が大変(笑)。でも、その時間はかけがえのない大切な時間で、いつまでも心に残っています」。

ソムリエプロフィール

ギョーム・デュペリエさん(右)

【アペロ】オーナー。フランス・サヴォワ地方生まれ。子どもの頃に日本のマンガにはまり、日本文化に興味を持つ。京都大学では経済学を専攻、帰国後はパリで銀行員生活を送る。その間、ワインが大好きになり、産地を訪ねてさまざまな生産者と交流をもつように。だが、日本への思いが募り、日本でワインの仕事をするべく、来日の2年前から当時交際していたクロエさんとともに準備を始める。2014年5月に来日、11月に【アペロ】をオープン。

クロエ・デュペリエさん(左)

【アペロ】オーナー兼料理監修、フードコーディネーター。フランス・グルノーブル生まれ。ソルボンヌパリ第4大学で美術史とツーリズムを学ぶ。ギヨームさんと会うまで、日本にことはまったく知らなかったが、徐々に日本に興味をもつように。「日本でワインの仕事をすることは、ツーリズムのようにホスピタリティが発揮できる」と考えたという。2014年にギョームさんとともに来日。「今では日本が大好きになりました」。

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この記事を作った人

取材・文/安齋喜美子 カメラマン/岡本裕介

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