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更新日:2017.06.19食トレンド 連載

下町の名店で出会う秋の味覚。from 「ヒトサラSpecial」

その時期にもっとも旬のグルメをお届けする「ヒトサラspecial」。今回は東京、上野・浅草あたりの下町の名店で秋の旬に出会う。そんな素敵な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

和食で、フレンチで。秋の味覚を愛しむ

全9皿のすべてに全力投球。和の神髄を味わい尽くすコースは心に刻まれる美味しさ【かず味家】

    店主が「やはり秋の主役」という松茸を、この日は揚げ物に。薫り高い松茸を9月の名残鱧で包み揚げることで、弾力ある鱧の身の旨みと松茸の上質な風味が見事に溶け合う逸品に仕上げています

 さまざまな老舗、名店がひしめく湯島にあって、創業4年にして先頭集団に躍り出た店。【かず味家】の名は、界隈の食通の間で知られた店のひとつだろう。
 
 出される料理を前にすれば、そんな人気ぶりも腑に落ちる。とにかく丁寧なのだ。たとえば多彩な料理が一皿に盛られた前菜。手間をかけた下拵え、繊細な隠し包丁が素材の味を引き立てる。豆の一粒、野菜の一片にまで、心が行き届いていることは一目瞭然だ。あるいは5~7品が盛り込まれるお造り。生のもの、炙るもの、〆るもの。素材を吟味し、その魅力を引き立てる手間が惜しみなくかけられていることがわかる。コースは全9品。そのすべてに、隅々までに、職人の技と思いが全力で注がれているのだ。強弱緩急ではない。店主が「全品が主役」と言い切る通り、コースはどのタイミングでもクライマックスであり、どの料理も心に刻まれるおいしさを秘めているのだ。
 
 全9品の料理を平らげた客たちの多くは、それでも帰り際に次回の予約を入れていく。それは彼らが腹だけでなく、心まで満たされたことの、何よりの証明だろう。

  • 『前菜盛り合わせ』多彩な旬の味覚を盛り込んだ一皿。目で楽しめる盛り付けもまた、和食の醍醐味

  • 『お造り』は2切ずつ5~7種(コースにより異なる)。この日はイサキ、サンマ、マス、カツオなど

  • かつては小箱の寄席であったという店内は、下町らしい風情に満ちている。全席が掘りごたつタイプ

  • 店主・川内谷一美氏は、30年近い料理キャリアの集大成として2012年にこの店を開店

 

和のエッセンスを交えた奔放なフレンチで秋の味覚を愉しむ【HOMMAGE】

    シェフが秋になるとよく使うという食材のひとつがこのフランス産のジロール茸。すき焼きを彷彿とさせる『栃木産和牛ロースのティエド 塩麹でマリネした卵黄とジロール茸とミモレット』として提供

 「若者よ、故郷へ帰れ。そして、その街のために料理をつくれ!」。
 かつて、フランス料理界の神様とも称された・故フェルナン・ポワン氏が残した名言が、この地に店を構えた一因となった。
 浅草は浅草寺の北側、観光地の喧噪とは無縁の住宅街の一角。駅から歩けば15分ほどと、飲食店としては決して恵まれない立地で、15年という歴史を積み重ねてきた【HOMMAGE】。その実力は「ミシュランガイド東京2015」において一ツ星を獲得するなど、もはや疑う余地はない。
 
 荒井氏が作り出す料理には、生まれも育ちも浅草という氏の感性が映し出されている。メインを例にすれば、和牛のロース肉からイメージしたのはすき焼き。生卵のかわりに塩麹につけた卵黄をのせ、春菊の香りはハーブで代用、旬のジロール茸はシイタケを彷彿とさせる。松笠焼きや鯖節を取り入れた甘鯛のスープも、アイデアの素になったのは日本料理の椀物である。
 
 「フレンチの技法を使って、どのように自分らしさを出すか。誤解を恐れずに言えば、フレンチと思われなくてもいいんです」と荒井氏は笑う。
 浅草という場所にリンクするかのような、和のエッセンスが加わる奔放な料理。それは、まさに、ここでしか味わえない、浅草ならではのフレンチといっていい。

  • 『甘鯛の松笠焼 マツタケのナージュ仕立て』は、鯖節のスープにとろみをつけ、松茸の香りを浮かび上がらせた

  • 和食からインスパイアされた『昆布森産の毛ガニと小メロンのサラダ ロメスコソース』。カニ酢をイメージ

  • テーブルに設えた、位置皿には美濃焼を使用。鮮やかなエメラルドグリーンが料理の印象をより濃いものに

  • オーナーシェフの荒井昇氏とサービスを担当する奥様の麻友香さん。着物姿でゲストをおもてなし

 

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ヒトサラ編集部

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