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更新日:2017.05.28食トレンド 連載

ヒトサラ シェフズ・テーブル ダイジェスト vol.9 - ゲスト・杉本 敬三シェフ第1話 『チャンピオンになった「独学者」』

プロとして料理をこよなく愛する人々“Dish Artist”をゲストに、食のネクスト・トレンドを語るトーク番組『ヒトサラ シェフズ・テーブル』。Vol.9~12のゲストは、【ラ・フィネス】の杉本敬三シェフです。

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次世代の若き料理人たちがその腕前を競う、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」。2013年、その記念すべき第1回の選考会において、フランス料理のシェフでありながら『親子丼』を最終審査で出し、初代チャンピオンの栄冠を手にしたのが、新橋【ラ・フィネス】のオーナーシェフ・杉本敬三氏だ。誰に師事することもない杉本シェフは、どのようにしてそれほどまでの技術やセンスを身につけたのか。また、みずからをもって「独学者」と自認する、その独特の料理哲学とは。「RED U-35」出場の経緯や開業の裏話など、料理人・杉本敬三の素顔に迫る。

杉本敬三シェフ 第1話:チャンピオンになった「独学者」

『親子丼』で優勝したフレンチのシェフ

――【ラ・フィネス】オープンの翌年に「RED」に出場して優勝されました。フレンチのシェフが『親子丼』で勝負するというのは、面白いですね。

杉本:ほかの出場者は、組織に属する料理人で、背負うものが大きい分、ふざけたことができないじゃないですか。僕が背負っているのは自分だけなので、遊べるところは遊びたいと思っていました。鶏肉と卵を使いたい。じゃあお米が合う。そこに相性のいい白トリュフを合わせ、『親子丼』にしました。そして『親子丼』といえば「つゆだく」だと思い、コンソメでつゆだくにしました。

――高級感満載ですね。

杉本:しかも鶏肉はフリカッセ、お米はベシャメルソースを入れたピラフにするなど、いわゆるフランス料理の初歩的な技術ばかりを詰め込んだので、そこも面白いかなと。

最終審査でまさかの失敗?

――コンテストの最終審査の最中に、調理を失敗してしまったとか。

杉本:そうなんですよ。オーブンの調子が悪かったようで、温度計が壊れてたんですね。90度のスチームで火を入れたのに、思いっきり水が沸騰して泡が出てきて(笑)。ふだんと違う厨房、道具、環境で仕事するときって、やっぱりいろんなアクシデントがあるんですね。だからというか、ほかの出場者は細かく調理時間のスケジュールを立てるんですが、じつは6人中2人しか時間内にできなかったんです。僕は練習も1回もせず、スケジュールをいっさい立てずにぶっつけ本番で、それで思った以上に早くできたので、「これはもう1回できるな」って思って。それで急遽新しいものをつくり直したんです。

賞金の使い道

――賞金の使い道はどうされたのですか。

杉本:「RED」では、優勝した作品は必ずお店で出すことになっていました。ただ、料理を出していた2カ月間で、白トリュフを5キロくらい買うことになって。白トリュフはキロあたり70~80万円するんですね。

――それだけで、ほとんど賞金はなくなってしまう(笑)。

杉本:そうです(笑)。でも僕自身もクオリティの高い料理だと思っていましたし、お客様に還元するという意味で使わせてもらいました。残ったお金でお店のお皿も買わせていただきました。

ゲストプロフィール

【ラ・フィネス】杉本 敬三 氏

1979年、京都府福知山市生まれ。料理が好きで、小学校3年生、8歳で料理人になることを決意し包丁と砥石を買ってもらう。19歳で渡仏。ロワールやシュノンソーやリモージュといった地方都市をあえて選び働きながら滞在し、ホテルレストラン【ボンラブルール】などのシェフを務める。フランスでの12年間に及ぶ修業を終えて帰国し、2012年、東京・新橋に「AUTODIDACTE」(独学者)をコンセプトに【レストラン ラ・フィネス】を開店する。2013年日本最大級の料理人コンペティション”RED”のU-35初代チャンピオンとなる。

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