ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2017.06.19食トレンド 連載

蟹シーズン到来! 北陸、名店の味を求めて from「ヒトサラSpecial」

ズワイ蟹漁が解禁し、待ちに待った蟹の季節が訪れました。このシーズンにしか楽しめない幸せの味覚を求め、いざ北陸へ!

アプリで見る

【開花亭 sou-an】

料亭街きっての老舗が、日本料理の未来を切り拓く

 駅から10分ほど歩いた足羽川沿い。戦後の最盛期には20店以上が軒を連ねたという浜町の料亭街に、ひときわ目を引く建物がぽつりと立つ。ランダムに張り巡らされた格子がガラス張りになった建物を覆っている。ここはモダンアートの美術館だろうか。否、その建物こそ、明治23年創業の老舗料亭がしかける日本料理のレストラン【開花亭 sou-an】である。

    世界的建築家・隈研吾氏による設計。ガラス張りの外装を覆う、和服文様をモチーフにした木格子が特徴

「料亭はどうしても接待などのが強く、間口が狭い。日本料理の素晴らしさをもっと気軽に知ってもらえるお店にできたら」とはオーナーの開発毅氏。ガラス窓から陽光が差し込む店内は、2階まで吹き抜けになった開放感が抜群に心地いい。席について料理を味わうまでもなく、日本料理というトラディショナルで畏まった心を解きほぐしてくれる。

 そこに見事に料理が助長する。料理長の畑地久満氏が仕立てるのは、【開花亭】という老舗料亭の味を確固たる礎としながらも、伝統だけにとらわれず、ほんのりと遊び心を加えた料理だ。この日の『セイコ蟹のコロッケ』にはホワイトソースを忍ばせ、柚釜蒸しは茶碗蒸しを分解、再構築して食材の味をシンプルに引き出した。

  • 『セイコ蟹のコロッケ』。上里芋を裏ごししてホワイトソース、蟹身と内子とあわせた。みぞれ餡でいただく

  • ガラス張りになり、吹き抜けになった開放的な店内。カウンター、テーブル、個室とシーンを選ばず利用できる

  • 日本酒は福井県内の8つの蔵元の酒をオンリスト。メニューにはない日本酒の用意もあるのでスタッフまで

  • 料理長の畑地氏は地元福井出身の料理人。「地場の食材を使って、豊かな福井をアピールしたい」と話す

 空間と料理で迫る新たな世界。そこには伝統と革新、古きと新しきを繋ぐ日本料理の未来がある。

 

【かなざわ玉泉邸】

研ぎ澄まされた日本料理に美しき庭園が彩りを添える

「2年半前のオープン当時は、本当に悩んでいましたね。ソースをかけてみたり、食材の組み合わせで変化をつけたり」。料理長の片折卓矢氏が笑えば、奥様であり女将の裕美さんも「昔はいかに華やかにするかということばかり考えていた人でした」と同調する。しかし、今のこの店の料理に一切の迷いはない。

    【玉泉邸】の楽しみといえば、石川県の名勝にも指定される「玉泉園」だ。本来であれば拝観料がかかるが、【玉泉邸】で食事をすれば、無料での入園も可能

 当時、毎日のように自らの料理に対し自問を繰り返していた卓矢氏は、ある日「自分が一番大切にしたいものは食材だ」という原点に立ち返る。情熱をかけて栽培される地元の無農薬野菜は、その最たるものだ。生産者任せにするだけでなく、時に自らが畑に入り、野菜を栽培、収穫する。それがどんな環境でどうつくられ、どんな味がするのか? シンプルな料理は、食材と真摯に向き合ってきた片折氏だからこそ行き着いた当然の答えだった。

「極端ですが、いい食材があって、丹念にひいた出汁、そこに少しの和の仕事が入ればいい。食材の良さ、魅力を引き出すにはそれで十分です」

  • この日のごはんは、七尾産大車海老の頭と焼いた殻を出汁にあわせ炊きあげた。海老の旨みが米に染み渡る

  • すり下ろした蓮根で百合根を包み蒸し上げた『加賀レンコン蒸し』。もっちりした食感に餡の出汁が寄り添う

  • テーブル席以外にも個室を3部屋用意。もちろん、いずれの部屋からも「玉泉園」の景色が眺められる

  • 修業先である金沢の名店【つる幸】では2番手まで上り詰めた片折氏。名店仕込みの技が光る

 ゲストの視覚を満たすのは、必ずしも料理である必要はない。窓の外に広がる美しき庭園。そう、ここでは、石川県指定の名勝「玉泉園」の景観を料理とともに楽しめるのだから。

 

この記事を作った人

ヒトサラ編集部

この記事に関連するエリア・タグ

人気のタグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(7/10~7/16)

エリアから探す