更新日:2017.06.19グルメラボ
冬の京都、名店の味わい from「ヒトサラSpecial」
余計な手を加えず、食材のポテンシャルを最大限に引き出す技術、四季の移ろいを皿の中ににじませる美意識。日本人の心、文化が集約されている京料理を食しに、いざ京都へ。
ふぐ料理ともえ
長きに亘る旦那衆との切磋琢磨を経て日本を代表する “熟成ふぐ”が花開く
押しも押されもせぬ、天然とらふぐの名店として名を馳せる【ふぐ料理 ともえ】。しかし、ここに至るまでの道は決して平たんではなかったという。店主の亀井一洋氏は「立地柄、お客様の舌は京料理がベース。それゆえに、新鮮さだけではご満足いただけません。鮮度プラスαを求めるお客様との切磋琢磨がお店や私を成長させてくれたのだと思っています」と振り返る。
使うのは「天然のとらふぐ」のみ。いずれも寝かせて熟成させる
1969年に創業。先代である父とともに京都に「ふぐ料理」を根付かせるため、この食材と徹底的に向き合い、舌の肥えた旦那衆を納得させるにはどうすれば良いか、試行錯誤の連続だったという。
その高き要望に対する【ふぐ料理 ともえ】の答えのひとつが熟成だ。ただ寝かせるだけではなく、提供するタイミングでもっとも旨味がのるよう、時間を追って少しずつ部位を解体していく徹底ぶり。この丁寧な工程を経て、ふぐは淡泊な味わいから濃厚な旨味を湛える食材へと変化を遂げる。
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腹身のほか、骨付きの身、トウト身(皮と身の間の内皮)を楽しめる『焼きふぐ』。下味は塩と一味のみ
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箸で崩れず、口中で静かに溶ける『煮凝り』。寒天を一切使わないため、河豚の旨味のみが凝縮されている
例えば、「一文字菊」という独自の盛付けで供される『てっさ』。「最低でも30回は咀嚼するよう、お客様におすすめしています」と話す亀井氏は、ふぐの身を通常の店よりも1枚を大きく、やや厚めに引いている。そして亀井氏の言葉どおり、この花弁は噛むほどに旨味が口の中で広がってゆくのだ。
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気取りなく、くつろげる店内。気さくで、店主同様にふぐの知識に優れる女将の接客も店の名物
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京都府ふぐ組合理事長という顔も持つ亀井氏。自身の持つ知識や技は同業者へも惜しみなく伝えている
「ふぐは奥が深い」と笑う亀井氏。天然のとらふぐというそれだけでも力のある食材を前にしてなお、下ごしらえや手間ひまを一切惜しまず、持ち味を最大限に引き出そうと日々、研鑽を続ける仕事ぶり。この繰り返しこそ、【ふぐ料理 ともえ】が名店に駆け上がった軌跡である。
瓢亭 本店
ただ、守り続けるのではなく、進化の連続を積み重ねた450年
元治元年(1864年)に刊行された「花洛名勝図会」に名勝として数えられ、『瓢亭玉子』や『朝がゆ』は、今や世界の食通の間でもその名が轟く。この店には長く続く歴史があり、訪れた者はきっとその圧倒的な世界観をただ享受するだけ。そう勘違いしてしまいそうだが事実は異なる。「時の流れとともに変わるお客様の求める味、サービスに応えていきたい」と話すのは15代目の店主・高橋義弘氏だ。
四季の移ろいが映し出される庭園。池の水には琵琶湖の疎水が引かれている
事実、その試みは店の看板メニュー『明石鯛へぎ造り』にもあらわれている。明石の1.8~2.5キロの雌を毎日活け締めで、という店の不文律を踏まえつつ、若き15代目は従来の土佐醤油に加えて、新たに「トマト醤油」を添える。
「繊細な香りや味が好まれる現代だからこそ、こういったものがあっても面白いでしょ」と髙橋氏は平然と言ってのける。確かに軽やかな口当たりと爽やかな酸味は、鯛の味の輪郭を際立たせる。それでいて【瓢亭】らしいな、と思わせる不思議な説得力がある。
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もともと刺身は二点、三点盛りだったものを先代から鯛一本に絞ったという『明石鯛へぎ造り』
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「海外で講演する機会も増えた」と高橋義弘氏。現地で得た食材や調理の知識は自店にも活かされる
この店の場合、一時が万事そうなのだ。古くは祇園で他に先んじて足入れ「掘り炬燵」を採用し、先代から出汁に鮪節を採用した。そこには屋号に対する過剰な重圧も、奇を衒おうとする気負いもない。自分たちが今できる最大限で、お客様に喜んでもらいたいという真摯な姿勢だけがある。
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客室は「くずや」「探泉亭」「広間」など5つから成り、いずれも独立した個室の形をとる
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新しい味に対しても貪欲な一方、その変化を悟らせないのが【瓢亭】の料理
だからこそ破綻がなく、店に自然と馴染むのだ。【瓢亭】の歴史とは、日々その形を変えるおもてなしの追及、一期一会の積み重ねなのである。
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ヒトサラ編集部
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