鎌倉の隠れ一軒家だから叶う! 丁寧に心豊かな時間を過ごす“ちょっとした夏旅”|【霹靂】鎌倉
【イチリン ハナレ】オーナーシェフの齋藤宏文氏は、鎌倉で過ごす楽しみをさらに増やせたらと「食事の前後や観光の合間にワインと共に“ちょっとした時間や旅気分”を味わえる店をつくりたい」と構想を温めていました。2025年5月、その思いを形にした【霹靂】がオープン。緑に囲まれる庭付きの一軒家というだけでも旅気分を盛り上げてくれますが、温かなもてなし、味わいの余韻が長いワインや厳選素材によるおつまみも最上級。夏の日差しに煌めく緑を眺めつつ過ごす昼下がりの贅沢を楽しむちょっとした夏旅に出掛けませんか?
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石畳の続く緑豊かなアプローチも素敵な隠れ一軒家
一期一会になりそうな希少なワインが600種以上
【ボッテガ パルコフィエラ】の生ハムも旅の目的に
石畳の続く緑豊かなアプローチも素敵な隠れ一軒家
【霹靂】は、鎌倉駅から歩いて20分弱。観光名所として人気の銭洗弁天や佐助稲荷神社などがある緑豊かなエリアにひっそりとあります。高い建物もなく、古き良き日本の閑静な住宅街、といった風情の路地を進むと緑生い茂る小道の手前に【霹靂】と書かれた表札が。そして緩やかな上り坂になった小道を進むと美しく整備された石畳、右手にはリスが駆け抜ける庭、そしてその先に和モダンな一軒家が現れるのです。
閑静な住宅街、控え目な表札を見落とさないように……
山の緑を借景にしたロケーション
建物の壁には「青天の霹靂」を英語で、という粋な演出
日差しは暑いけれど、緑に囲まれると気持ちは一気に涼やかに。お店に入る前から友人の別荘を訪ねてきたような旅気分を味わうことができます。どんなお店なのか期待は高まるばかり。「お邪魔します」と玄関を上がり(靴は脱がなくても大丈夫)、右手の扉を開けるとゆったりとしたカウンターと窓からの溢れる緑が印象的な空間に「素敵!」とまたまた気分が上がります。
心の底から落ち着ける日本料理店のような設え
この店を任されているのは、8年前の【イチリン ハナレ】のオープン時から齋藤宏文シェフの右腕として活躍してきた望月康弘シェフです。齋藤シェフと同様に【赤坂 四川飯店】でキャリアをスタートさせ、その後スペイン料理やフレンチの名店でも経験を積んできました。その引き出しの多さはもちろんですが、明るく柔和な人柄も魅力。ワイン選びから合わせる料理まで、丁寧な会話を重ねながら提案してくれるのです。
望月シェフ(写真左)、阿部さん(写真右)共にホスピタリティの高さは感動レベル
カウンターのメインダイニングの横には大テーブルの置かれた半個室の座敷もあり、4人以上で訪れたならこちらの利用もおすすめです。ただ、カウンターで望月シェフやサービス担当の阿部シェフとのおしゃべりも捨て難く、もしも個室にお客様がいなければ、気分転換で場所を変え、個室の縁側でワインを飲むのがお薦め。ちょっとしたわがままやリクエストに臨機応変に対応してくれるホスピタリティで滞在時間を最大限に楽しませてくれます。
縁側付きの半個室。庭を散策したり、縁側で緑を眺め、風を感じつつワインを楽しむこともできる
一期一会になりそうな希少なワインが600種以上
午前11時からの営業ですが、このお店の主役はワイン。優雅にアペロ(昼呑み)を愉しむにふさわしい多くのことが揃っているのです。フランスや日本を中心に、品質の高い美しい味わいや余韻の長い厳選のワインが600種以上セラーに眠っています。ワインラヴァーならば、リストを見ているだけでも楽しくなるに違いありませんが、ワインに詳しくなくても、望月シェフ、阿部さんが好みのワインにたどり着く水先案内人になってくれるというのもこのお店の魅力です。
フランス、日本を中心に、丁寧なつくりゆえに生産本数の少ないものや10〜20年熟成させたものなど、ワインラヴァー垂涎の品揃え。グラスワインも日替わりで多数あり
入手困難なワインや高価なワインも、グラスワインとして開いていることもあります。しかも●15ml(要確認)●からと量も選ぶことができ、飲んでみたかったワインを体験することもできるなど、「できるだけ多くの人とワインの素晴らしさを共有したい」というワイン愛にも溢れているのです。
余市にあるモンガク谷のワインも、丁寧なつくりで少量生産なだけに入手困難ですが、この日はグラスで開いていました
飲みたくてもその機会になかなか恵まれなかったワインたちに鎌倉で遭遇できるとは、まさに「青天の霹靂」と店名の意図に気付かされるのです。「霹靂」の衝撃はもちろんワインだけではなく、ロケーションやサービス、おつまみをはじめとする料理も然り。
「“ちょっとした時間”に満足していただくには、すべてのことが微に入り細にわたっていないといけない」とオーナーの齋藤シェフが話していたのですが、確かに、“ちょっとした時間”の中にたくさんの驚きや感動を詰め込むには知識や技量の大きさ、そして寛容さが重要。そのすべてが揃っているからこその深い感動をさりげなく体験させてくれるのです。
来店の目的にもなる北海道・余市の【ボッテガ パルコフィエラ】の生ハム
「ワインを主役にするからには名脇役の存在も重要」と選ばれたのが北海道・余市に今年オープンした【ボッテガ パルコフィエラ】の生ハムとサラミです。つくっているのは札幌市の郊外でイタリア料理店を営む【パルコフィエラ】の中條大輔シェフ。北海道の食材にこだわり、発酵の技術も駆使しながら調味料からハム・サラミまで自分の手から作り出す味を追求しています。以前はお店で出す分だけつくっていましたが、「おいしい」という評判が日本、そして世界へと広まるなか、満を持して余市に工房を構えました。
多種多様な味が用意されている【ボッテガ パルコフィエラ】の生ハムとサラミ。北海道産の豚や牛、鹿、サーフォーク種の羊など、地元の新鮮な肉を厳選
とあるお店で中條シェフがつくった生ハムとサラミを食べた齋藤シェフと望月シェフはあまりのおいしさに衝撃を受け、中條シェフに会いに余市に行き、お店で扱わせてほしいと頼んだそうです。
イタリア「ベルケル」社の手動式のスライサー。美しいパールホワイトのこの機種は今のところ日本でここだけ
「中條さんが熱意と愛情を持って丁寧につくっている話を聞き、できるだけベストの状態でお客様に感動を伝えたいと思いました。感謝の思いを込めて1枚1枚丁寧にスライスさせていただいています」と話す望月シェフ。
「【パルコフィエラ】の生ハム、サラミを既にご存知の方も多く、札幌以外で食べられるのは嬉しいと訪ねて来られる方もいらっしゃいます」とのこと。旅の目的になるほどの評判の味をぜひワインと共に味わってみてください。
極薄切りにされ、豊かな風味、繊細な食感や口溶けを堪能できる。生ハムとサラミ5種類の盛り合わせ。2,750円
熱々の揚げパンの上に薄くスライスした【ボッテガ パルコフィエラ】の生ハムをのせた『トルタフリッタ』。1,760円
もちろん、生ハムやサラミだけでなく、望月シェフが作る料理も見逃せません。神経〆の名手「さかな人」長谷川大樹さんから届く相模湾の魚介や鎌倉野菜など極上の食材を揃え、「今日はこんな食材がありますが、どんなふうに召し上がりたいですか?」とお客様の好みに合わせて臨機応変に料理を提供してくれます。
また、【イチリン ハナレ】の名物『黒酢のカツサンド』や『焼売』『水餃子』も用意がありますし、メニューには載っていませんが、締めに炒飯、パスタ、パエリアなどもつくってくれるなど実は料理も相当に充実。レベルの高さにも驚かされます。
真夏の一品『長谷川さんから届いた佐島産真蛸と鎌倉野菜のガスパチョ仕立て』。時価
11時からオープンなので、ランチ、あるいはブランチで2時間くらい、と思っていても、あまりの心地よさに長居してしまうこと間違いなしのシチュエーション。暑い夏だからこそ、あまり歩き回ることなく一軒で存分に鎌倉らしさ、そしてワインをはじめ食事も堪能できる【霹靂】、心からお薦めします。
この記事を作った人
撮影/佐藤顕子 取材//藤田実子
フード・ワイン・日本酒などを生み出す人々の日々の仕事、思い、人生、哲学に興味を持ち雑誌・書籍などで取材を重ねている。執筆作品に『鮨 一幸のすべて』『鮨さいとう 鍛錬と挑戦』(ともにカドカワ)などあり。ライター歴30年。
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