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2016.07.07食トレンド

夏こそ旬。穴子のポテンシャルを引き出す「穴子づくし」の名店

ふっくら焼き上げた身にツメを塗って味わう寿司が人気の穴子。鰻に並ぶ夏の風物詩で「西の鱧、東の穴子」としても知られ、江戸の頃から専門店があったといわれています。ビタミン豊富で脂質をほどよく含む穴子の魅力と、旬の間に訪れたい穴子づくしの専門店をご紹介します。

おいしい季節に、食べなきゃ損! 穴子を100%楽しむ

江戸前を代表する夏の味覚

 夏の味覚であり、西の鱧に対する夏の風物詩としてあげられる穴子は、実はウナギ目アナゴ科に属する魚類の総称。産地は内湾(東京、瀬戸内)のものと、外湾(九州)のものに大きく分かれます。硬さや味わいは季節によっても変化し、一般的に外湾の穴子は荒海でもまれながら育つため活きがよく、弾力と食べ応えがあります。比べて江戸の穴子は穏やかな内湾で育つため、身は繊細で柔らかく、味も上品になります。
 白身が特徴で、脂はあるものの鰻よりは少ないため、味わいはあっさりとしており、蒲焼や寿司、天麩羅のほか、ローストやグリルなど、和洋を問わずさまざまな料理に使われます。ビタミンAやE、脂質を多く含み、エイジングケアや生活習慣病にも良いとされるなど、栄養的にもすぐれた食材といえます。
 味もよく、体にも良い、そしてどことなく江戸の粋を感じる「穴子」。今回は、夏の間に元気をもらいにいきたい、東京の穴子料理専門店をご紹介します。

江戸時代の穴子専門店を再現した荒木町【穴子料理 ます味】

 最初の先付から、ご飯ものまで、穴子をあらゆる味わい方で楽しめるのが荒木町にある穴子専門店【ます味】のコース料理。
 メインとなるのは、南部鉄の小鍋を使ってつくる『穴子の小鍋』です。穴子の骨と水でとった「穴子の出汁」に、ほんの少し醤油をたらしてつくる鍋汁。ここにゴボウと洗いネギ、穴子を加えて煮込みます。ゴボウやネギの旨みが染み込んだ、素朴かつ滋味豊かな穴子本来の味が堪能できます。
 運ばれてくるご飯を鍋のなかに加えて煮込み、締めのおじやをつくります。おじやができるまでの間、コースで出てくる「白焼」の尻尾部分を残しておき、おじやになる直前の煮詰めた汁に白焼をつけて食べるのも、楽しみのひとつ。わさびの風味が際立ち、濃厚な汁がしみこんで味に深みが増した白焼には、料理に合うようにつくられた日本酒『ます味』がよく合います。
 最後に、旨みの染み込んだおじやをそのまま煮詰め、おこげにして香ばしさを楽しむのも一興です。

    穴子の旨みを存分に堪能できる『穴子の小鍋』

  • ふっくらと香ばしく焼き上げた『白焼』。瀬戸内の荒塩もしくはワサビとネギでいただく

  • 戦争で姿を消した穴子料理の専門店を、ご主人の増井さんが「自らの手で再現したい」と1992年に創業

お酒にもよく合う穴子料理と箱めし。日本橋【玉ゐ 本店】

 昭和28年に建てられた趣ある一軒家で、古き良き日本の情緒を感じながら穴子料理を堪能できる専門店。東京湾、瀬戸内海で獲れた天然物の穴子を、江戸前寿司店で修業をした料理人が数々の料理に仕上げていきます。
 お品書きを見ると、定番の白焼きや天ぷら、煮穴子をだし巻き玉子でくるんだ『あ巻き』など、お酒が進みそうな一品料理が並びます。夏から秋には限定で、めずらしい穴子の刺身も登場します。
 なかでも一番人気があるのは、ご飯の上に穴子がのっかる『箱めし』。穴子の仕上げは「煮上げ」と「焼き上げ」から選びますが、1枚ずつのせた「合いのせ」も人気です。最後に、出汁をかけてひつまぶし風に味わえるのも、穴子を極めた専門店ならではの楽しみ。
 旬の穴子をつまみに飲みながら、締めに『箱めし』をいただく。大人が贅沢できる、粋な一軒です。

    看板料理、穴子の箱飯の『中箱』。ワサビや柚子など5種類の薬味が添えられ、穴子との相性は抜群

  • 「天然物は質にばらつきがあるため、産地で選ばず、その日一番の素材を見極めます」と、店長の杉村さん

  • 煮穴子を出汁巻き玉子でふんわりとくるんだ『あ巻き』。焼きたてに香ばしい穴子のタレをかけて

 都内でもめずらしい穴子料理専門店。穴子ばっかり…と聞くと、飽きがくると思う人も多いかもしれませんが、そこは料理人の腕の見せ所。飽きるどころか、「穴子にはこんな一面もあったのか」と、意外な魅力にきっとハマることでしょう。「夏はウナギ」と決めている人も、今夏はぜひ、穴子料理専門店に足を運んでみてください。

この記事を作った人

ヒトサラ編集部