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【あつあつ リ・カーリカ】|酒呑みが集い、連日にぎわいを見せる 学芸大学の立ち飲みイタリアン

学芸大学にあるイタリア料理とワインの店【オステリアバル リ・カーリカ】。その3号店として食通の間で話題を集める【あつあつ リ・カーリカ】は、イタリアの郷土料理と自然派ワインが楽しめる立ち飲みイタリアンです。気軽に立ち寄れると、毎晩酒呑みが集っているようです。

あつあつリカーリカ

学大の名店リ・カーリカの3号店は、予約無しで気軽に立ち寄れる

    スナックや赤ちょうちんの店が軒を連ねる、学大十字街に位置する

    スナックや赤ちょうちんの店が軒を連ねる、学大十字街に位置する

 昭和の面影を残す、昔ながらの飲み屋街「学大十字街」。その一角でひと際にぎわっているお店があります。立ち飲みイタリアン【あつあつ リ・カーリカ】。この名前でピンとくる方も多いはず。同じ学芸大学駅にある【オステリアバル リ・カーリカ】や、都立大学駅にある【カンティーナ カーリカ・リ】の系列店として2017年春にオープンしたお店です。

    わずか7坪の店内には、オープンキッチンを囲むL字型のカウンターが11席、その後ろにはスタンディング席を配置

    わずか7坪の店内には、オープンキッチンを囲むL字型のカウンターが11席、その後ろにはスタンディング席を配置

 こちらで供されるのは、イタリアの郷土料理をベースに、和のテイストを織り交ぜた創作料理と自然派ワインです。「立ち飲みできるイタリアン」をコンセプトに、つまみ料理は300円~、ワインはグラス1杯700円~というお手頃価格で楽しめます。

    『村上さんのじゃが芋のポテトサラダ』500円(税抜)

    『村上さんのじゃが芋のポテトサラダ』500円(税抜)

 北海道にある村上農場のジャガイモを使った『村上さんのじゃが芋のポテトサラダ』。自家製のマヨネーズと揚げたジャガイモ、その上には「ホワイトアスパラのバッサーノ風」で使う卵ソースをかけるなど、洋風に仕上げています。

 月・金曜は三浦半島へ買い出しに出向くオーナーシェフの堤さん。漁港や養鶏所など5時間ほどかけて3店舗分の買い出しに行きます。

「メニューに関してはその日に出会ったよい食材で考案します。直接生産者さんの元へ出向くことでより鮮度のよいものに出会えますし、お客様に提供しやすい価格にもできますから」

    『麦イカのヴェッキオ サンペーリソテー』700円(税抜)

    『麦イカのヴェッキオ サンペーリソテー』700円(税抜)

 この日は神奈川県にある長井漁港で出会った麦イカでつくった『麦イカのヴェッキオ サンペーリソテー』。バターとニンニク、鮎の魚醤やマルサラ酒を合わせ、イタリアントマトのサンマルツァーノを加えた「イタリア版・イカの煮つけ」は、どこか懐かしい味わいです。

    自然派ワインをグラスで。1杯700円(税抜)から楽しめます

    自然派ワインをグラスで。1杯700円(税抜)から楽しめます

 ワインは自然派ワインを取り揃えており、お手頃価格のものから希少なバックヴィンテージまで、料理に合わせてグラス1杯から楽しめます。

※写真左から『ブレッサン エゴ[2010]』『ヴィットーリオ グラツィアーノ スミルツォ[2015]』『ダリオ プリンチッチ ビアンコ トレベツ[2011]』『レ・コステ リトロッツォ ビアンコ[2015]』。料理に合うワインが知りたい方は、スタッフにお尋ね下さい。

20時に焼き上がる店のスペシャリテ、『アリスタ』で生まれる一体感

    「同じ空間で一つの料理を食べる一体感や、焼き上がったときの臨場感、一つの塊肉を皆でシェアする楽しさも味わってほしい」と堤さん

    「同じ空間で一つの料理を食べる一体感や、焼き上がったときの臨場感、一つの塊肉を皆でシェアする楽しさも味わってほしい」と堤さん

 オープンと同時に焼き上げる『骨つき豚ロースのアリスタ』は、その時間、その場にいる人のみが味わえる料理です。食べられるのは、開店からちょうど1時間後の20時あたり。

 それは、開店と同時に店に入り、前菜やワインを楽しんで少しお腹が落ちついたところで提供するのが狙い。焼き上がりと同時に店内に大音量の音楽をかけます。それが提供のサインです。

    トスカーナ料理『骨付き豚ロースのアリスタ』。ハーブやニンニク、塩で味付けし、マリネしたものをしっかりと焼き切ります

    トスカーナ料理『骨付き豚ロースのアリスタ』。ハーブやニンニク、塩で味付けし、マリネしたものをしっかりと焼き切ります

・・・3時間後

    毎晩4kgほどの塊肉を焼き上げます。3時間かけて焼くことで余分な脂が落ち、凝縮された甘みが残ります

    毎晩4kgほどの塊肉を焼き上げます。3時間かけて焼くことで余分な脂が落ち、凝縮された甘みが残ります

「肉は細かく焼くよりも塊で焼く方がよりおいしく仕上がる、それを皆さんに知ってほしいんです。全体的にしっとりと仕上がり、肉の旨味がもっとも感じられるし、長時間かけて焼くことで余分な脂が落ち、脂っこさが感じにくくなります。そこに甘みと旨味だけが残るため、ボリュームはあっても食べやすく仕上がるんですよ」と塊肉の魅力について語ります。

 焼き上がった肉はその場の皆で食べます。「ちょっとだけください、という要望には応えません(笑)。食べる部位によって味は異なりますし、ある程度食べないと本当のおいしさが伝わりませんから」

既存の2店舗とは一線を画す、“開店直後以外予約は受けない”というスタイル

    店名の“あつあつ”とは、人の熱量のこと。「食材・ワイン・生産者のあつい想いをお客様につなぐのが自分の役目」と堤さん

    店名の“あつあつ”とは、人の熱量のこと。「食材・ワイン・生産者のあつい想いをお客様につなぐのが自分の役目」と堤さん

 予約はオープン時間の19時に9席のみ。本来は一切予約を受けない予定でしたが、開店前に列ができるようになってしまい、開店時間のみ対応しはじめました。なぜ予約を受けない形でスタートしようと思ったのか。その裏には、堤さんのこんな想いがありました。

「ありがたいことに、他の2店舗は多くのお客様に来て頂けるようになりました。その分、なかなか予約を受けにくくなってしまいました。また、とあるお客様には『リ・カーリカは敷居が高くて入りにくい』とも言われ、それがとてもさみしかったんです。本当は学大という街に寄り添うお店にしたかった。だからこそ、新しいお店は予約無しでふらっと立ち寄れる店にしようと思ったんです」

    店内は人で溢れることも。そんな時、お客様同士がスペースを譲り合う、そんなあったかい光景も見られます

    店内は人で溢れることも。そんな時、お客様同士がスペースを譲り合う、そんなあったかい光景も見られます

「メニューのネーミングも和の要素を取り入れて“親しみやすさ”を込めています。だからといって料理の内容が純粋な“和”かというとそうではなく、オステリアを意識した創作メニューにしています」

 実際にポテトサラダを口にしてみると、油で揚げたじゃが芋にバッサーノで使う卵ソースをかけるなど、ネーミングや器のアプローチは和風ですが、昭和のポテトサラダとはまったく異なる“食べるとちゃんとイタリアン”な料理をつくり上げています。

    油で揚げた『村上さんのじゃが芋のポテトサラダ』はお店の定番メニュー

    油で揚げた『村上さんのじゃが芋のポテトサラダ』はお店の定番メニュー

 学大十字街をはじめ、周辺には様々な飲み屋があり、お店を渡り歩く人も多い。お客様の中には1軒目に来店し、2軒目でどこか他の店に行った後、『ただいまー』とまた戻ってくる方もいるんだとか。

 気兼ねなく、さらっと立ち寄れる。まるで気心知れた友人宅のように――。それは立ち飲みスタイルという理由だけでなく、堤さんをはじめとするスタッフやこの店に訪れるゲストみなでつくり上げた空気感なのではないでしょうか。

 誰もが行きつけになれる、ふらっと帰りたくなる、そんな心の名店が学大にはあります。

系列店の店舗情報

この記事を作った人

撮影/佐藤顕子 取材・文/嶋亜希子(ヒトサラ編集部)

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