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更新日:2018.08.31食トレンド

予約至難店は行くべきか? 荒木町の新星和食店【たつや】で考える。

予約が取れない人気店だから、とにかく一度行ってみたいというのは失礼な話。その店の料理を、酒を、店の雰囲気をしっかり味わうなら、行きたい理由は予約至難ではないはず。荒木町の新星和食店は、そんな店と客との関係を考えさせられる名店だ。

予約至難店は行くべきか? 荒木町の新星和食店【たつや】で考える。

予約至難。その言葉だけで、値段や料理の内容などお構いなしにとにかく行ってみたいと言う人が多いそうで、数ヶ月先まで予約で一杯という店が増え、東京はちょっとした食バブルなのかもしれない。車の渋滞が嫌いでマイカーを持たない私は、ラーメン屋の行列に並ぶのもイヤ。何ヶ月も先、ましてや1年後の予約をするなんて店は、基本的に遠慮している。

予約殺到の隠れた名店「荒木町たつや」

わずか8席のカウンター

    刺身の盛り合わせ。この日は、ウニ、イカ、ヒラメなどとともに、旬のサクラマスが添えられた。

    刺身の盛り合わせ。この日は、ウニ、イカ、ヒラメなどとともに、旬のサクラマスが添えられた。

    ハマグリと季節野菜の温かいお椀。心も体も暖まる、滋味深い味わい。

    ハマグリと季節野菜の温かいお椀。心も体も暖まる、滋味深い味わい。

    旬のタケノコなどを添えた牛肉のしゃぶしゃぶ。その後は出汁を使った雑炊に。

    旬のタケノコなどを添えた牛肉のしゃぶしゃぶ。その後は出汁を使った雑炊に。

店のお酒のリストを開くと、日本ワインがずらり。じつは石山さん、ワイナリーの収穫を手伝いに行くほどの大のワイン好き。実際にワイナリーを訪ねて、確信が持てたアイテムのみをオンリストしている。この日のワインリストは、全33種類のうち28種類が日本ワインだった。リストに載っていない隠し球もあったりする。日本酒も同様、楽しいラインナップ。私が個人的に好きな芳醇旨口系も多く、この日は、山梨・イケダワイナリーの甲州のあと、福島の日本酒「一歩己(いぶき)」を飲み比べ。そんなふうに酒をあれこれ楽しむ客が多いから、通常食事の所要時間は3時間ほどかかる。

日本酒・ワインの飲み比べ

    イケダワイナリーの白ワインは甲州。センス抜群の樽熟成。日本酒は福島の銘酒「一歩己」のおりがらみと無濾過生原酒を少しずつ飲み比べ。

    イケダワイナリーの白ワインは甲州。センス抜群の樽熟成。日本酒は福島の銘酒「一歩己」のおりがらみと無濾過生原酒を少しずつ飲み比べ。

荒木町とはいえ、分かりにくい路地の先。店の前を車や泥酔客が通ることもなく、本当に静かな場所。BGMもなく静寂が支配する店内にいると、ゆっくりと時間が過ぎていくのが感じられ、あたかもどこか地方のはずれにある小料理屋に来たような気分だ。こういう空間で、洗練されながらも豊かな味わいの和食を楽しめるとは、なんという贅沢であろう。一人でも何の問題もない。唯一の欠点は、次回の予約がずいぶん先になってしまうこと。3か月先となると季節も変わり、食材も変わる。いや、それでいいんじゃないか。季節ごとにふらりと訪れて、心も体も豊かになれる料理を楽しむ。和食割烹の本来あるべき姿なのかもしれない。

【荒木町 たつや】

住所:東京都新宿区荒木町10 タウンコートNANAUMIビル 1F
電話:03-6709-8087
営業:17時30分~24時(L.O.22時)
定休:水・祝、ほか日曜不定休
アクセス:四谷三丁目駅より徒歩5分

この記事を作った人

インディ藤田

インド生まれの京都育ち、というのは冗談。京都で生まれ育ち、東京へ。人より長い大学生活を送るなか、バイトで漫画『セイシュンの食卓』に関わり、出版社に就職。雑誌編集者として食べ歩きをするうちに、ワインにハマり、週末自宅でMEN’Sクッキングをするように。訪ねたイタリアン・フレンチなどの軒数は国内外で2000軒超。サライ増刊『男のだいどこ クッキングサライ』、『美味サライ』編集長を経て、今は“なんでもやる課”(笑)。辻調理師専門学校の料理検定1級。クックパッドでのレシピ投稿数は100目前。

記事元:Men's Precious

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