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更新日:2018.11.30旅グルメ

”ワインを旅する”新しいスタイルを、聖地ボルドー・メドックから③

世界最高峰の銘醸地フランス・ボルドーのメドックを舞台にワイン・ツーリズムの魅力を紹介するシリーズの最終回。今回は粋なマダムが切り盛りするお洒落シャトーで、ボルドーワインの「魔法」と言われるアッサンブラージュに挑戦するアクティビティを紹介しよう。

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誰もが夢中になるアッサンブラージュ体験

第3回:シャトー・ラ・トゥール・ベッサン

    シャトーの外観はスーパーモダン

アッサンブラージュはワイン造りの魔法

 ボルドーワインの製法上の最大の特徴は「アッサンブラージュ」つまりブレンドにある。メドックでもっぱら造られている赤ワインの場合、2大主要品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー、それに加えてカベルネ・フランやプティ・ヴェルド、マルベックを様々な割合で混ぜることにより、シャトーごとの個性を表す。

 アッサンブラージュが時に「魔法」と表現されるのは、それが単に異なる品種による味や香りの補完以上の、人の感性に訴えるような大きな効果をワインに与えることができることによる。それは時に音楽の演奏に喩えられる。ヴァイオリンの独奏に、チョロやヴィオラが加わって合奏になり、さらに打楽器や管楽器が加わってオーケストラになるように、適正に行われたアッサンブラージュはワインを至高の芸術へと高めるのだ。

    アート作品が展示された醸造所内部

その歴史には偉大なる哲学者モンテスキューの名も

 そんなアッサンブラージュを体験できるのが、シャトー・ラ・トゥール・ベッサン。エステートの歴史は13世紀、スッサン村(マルゴー村の北隣)に立っていた塔にまで遡る。1488年にこのエステートを手に入れたモン卿の最後の相続者であったテレーズは偉大なる哲学者シャルル・ド・モンテスキューの息子と結婚。フランス革命によって領地没収されるまで、代々彼らの子孫が相続したという由緒を擁する。

    マリー=ロールさんはボルドーきっての名門の出

 ボルドーを代表する名家リュルトン家のルシアン・リュルトンがこの塔とブドウ畑のオーナーになったのは1972年のこと。92年、リュルトン氏が一線を退くにあたり、所有していた11のシャトーを子供たちに分配。娘のマリー=ロールさんは3つを継承、その内の1つがシャトー・ラ・トゥール・ベッサンだ。

 トゥールーズの建築家ヴァンサン・デフォ・デュ・ロー氏の設計によるクールな外観のモダンなシャトー。「ル・ブルー(フランスの青)」に塗られた醸造所の壁には年ごとに選ばれたアーティストの作品が展示されている。マリー=ロールさんは、メドックの女性醸造家グループを束ねるリーダー格で、彼女の気風はそのワインの質実剛健な味わいにもよく表れている。

    アッサンブラージュ体験ができるテイスティングルーム

ラベル貼りまであなた自身で

 アッサンブラージュ体験は、シャトーのワイン造りの概要をまとめた4分間の映像を視聴することからスタートする。次に品種ごとに原酒をテイスティングし、それぞれの特徴について学ぶ。この後、「ミステリアス・アッサンブラージュ」と名付けられたワインが登場。これのセパージュ(品種名とブレンド比率)をゲーム感覚で推理し、言い当てる。

  • まずは各品種の特性を把握する

  • 自分のフィーリングを信じて原酒を混ぜる

 最後にいよいよ自分の好みの配分でアッサンブラージュを実践。出来上がったブレンドワインはボトルに注ぎ、昔ながらの打栓機でコルク栓をし、オリジナルラベルを貼って、完成。そのまま持ち帰ることができる。所要時間は、シャトー内の見学を含めて2時間半(料金は1人の場合50ユーロ、2人以上の場合は1人45ユーロ)。ひとたびアッサンブラージュの作業を始めたら、誰もが時間を忘れて夢中になることは請け合い。なにせ、そこには有名シャトーが犇めくメドックの「魔法」がかかっているだから。

  • 打栓し、ラベルを貼って完成

  • 自分だけのボトルを旅の思い出に

 3回にわたってレポートしたボルドー・メドックのワイン・ツーリズムの世界。いかがだっただろう? ワイン好きなら、一度は産地を訪ねたい。その訪問先がメドックだったら、それに勝る幸運はない。

    「シャトー・ラ・トゥール・ベッサン2015」はカシスと杉の葉の香り

メドック豆知識:シャトー訪問以外のお楽しみも色々

 ワイン・ツーリズムはの醍醐味は、産地を訪ね、その風土や人々に直接触れることで、その産物であるワインの味わいが増すこと。であるなら、ワイナリーのみならず、周辺の森羅万象が訪問の対象にあるはず。

 例えば、メドックの土壌を作り上げたジロンド川を見に行く。カフェオレ色に濁った大河の水色(すいしょく)を見れば、メドックの土壌の中心が砂地であるという理解が深まるだろう。河岸に据えられた川エビ漁のための小屋もボルドーの風景を構成する大切な要素。マルシェやレストランに行くと、アニスで風味づけされた川エビが食べられる。ワインはもちろん、ボルドー・ブラン(白)で。

 メドックから西に車で1時間ほど走ると大西洋に出る。ラカノーはサーフィンのメッカとしても知られるビーチ・タウン。海岸沿いのシーフードレストランのテラスは、週末ともなると、地元のボルドーっ子たちで賑わう。家族と休日を過ごすワイン関係者の素顔に出会える機会もあるだろう。

動画で訪ねる、『メドックで巡るワインの旅』 

撮影・動画制作/永田忠彦 取材・文/浮田泰幸

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