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更新日:2018.11.24食トレンド

伊勢湾が生み出したブランド食材「答志島トロさわら」| その魅力と万能な2大レシピをご紹介

言わずと知れた海の幸にあふれる、伊勢志摩・鳥羽エリア。ここから新たな海の幸ブランド「答志島トロさわら」が誕生しました。脂肪含有量は他地域と比べて群を抜いて高く、その食感と味わいは、まるでトロのようだと昔から地元の漁師の間でささやかれています。そんな「答志島トロさわら」の魅力と、サワラの活用レシピをご紹介します。

伊勢湾が生み出したブランド食材「答志島トロさわら」| その魅力と万能な2大レシピをご紹介

栄養豊かな伊勢湾だからこそ育まれた、とろける食感のトロさわら

 鳥羽から定期連絡船で20分、伊勢湾最大の離島である答志島。ここはかつて御食国(みけつくに)とも呼ばれ、古より皇室や朝廷に海産物を中心とした食料を献上したとされるほか、伊勢神宮に神様の食事である神饌を納めていた、まさに日本の食文化に欠かせない地です。その豊かな海産物を育む答志島を囲む伊勢湾の栄養の源は木曽三川であり、そこから大量の栄養塩が流入してきます。熊野灘からは黒潮が流れ込み、浅く閉鎖的な伊勢湾はプランクトンにとっては絶好の生育環境です。この海を見て最初に気づいたのが、蒼く透き通っているというよりは、少しグリーンがかっているということ。まさにプランクトンが豊富な証です。

    答志・和具浦・桃取と三つの漁港からなる答志島。周囲26.3km、80%が自然林で覆われたのどかな漁村だ

    答志・和具浦・桃取と三つの漁港からなる答志島。周囲26.3km、80%が自然林で覆われたのどかな漁村だ

 地元の漁師さんに聞くところによれば、太平洋から伊勢湾に入ってきたイワシは、2日間で丸々と太るらしい。このイワシを大量に食べて、他では類を見ない脂肪分にまで育ったのが「答志島トロさわら」なのです。なかなかサワラを生で食べる機会はありませんが、答志島や鳥羽の人たちは、昔からサワラを刺身やお寿司で楽しんでいます。ちなみに、鰆と魚偏に春と書くのは、瀬戸内で水揚げされるのが春だからだそう。春が旬と思われがちなサワラですが、ここ答志島では秋から冬にかけてが一番脂がのっておいしい季節です。

    見るからに丸々と太った「答志島トロさわら」。背が黒光りし、背びれが立っているのが、的確に締めて鮮度が保たれている証

    見るからに丸々と太った「答志島トロさわら」。背が黒光りし、背びれが立っているのが、的確に締めて鮮度が保たれている証

「答志島トロさわら」を、ミシュランシェフはこう調理する

 いよいよ、この「答志島トロさわら」を使って調理していきましょう。今回、この脂ののったサワラのレシピを考案してくださったのは、東京・外苑前に店を構える【いち太】の店主、佐藤 太一さん。

    新宿にある割烹【大木戸 矢部】で修業後、2014年に【いち太】を開店。その翌年からミシュランの星を獲得し続ける、若手和食料理人として注目の的のひとり

    新宿にある割烹【大木戸 矢部】で修業後、2014年に【いち太】を開店。その翌年からミシュランの星を獲得し続ける、若手和食料理人として注目の的のひとり

 今回考案してくださったのは『答志島トロさわらの酢締め』と『答志島トロさわらの竜田揚げ ごまソース』の2品。以下の動画でつくり方を詳しく説明しています。どちらも「答志島トロさわら」のポテンシャルを最大に引き出しています。プロの技を交えながらも、簡単な段取りで真似できるこの2つのレシピ。ぜひ活用してみてください。

レシピ1

『答志島トロさわらの酢締め』

    サワラは水分が多い魚なので、しっかりと寝かせて余分な水分を抜くのがポイント

    サワラは水分が多い魚なので、しっかりと寝かせて余分な水分を抜くのがポイント

●材料(つくりやすい分量)
トロさわら…1柵
塩…適量
酢…適量
わさび…適宜
すだち…1/2個×人数分
みょうが(薄切り)…適宜
紫芽…適宜
わら…ひとつかみ

●つくり方
1. トロさわらよりひとまわり大きなバットに塩を敷き詰め、トロさわらの皮目を下にして置く。さらにトロさわらの身が見えなくなるくらいまで塩をふり、1時間置く。
2. 塩を洗い流し、タオルでよく水気をふき、深めのバットに入れる。トロさわらがしっかり浸かるくらいまで酢を注ぎ、ラップシートをかけてトロさわらが酢から出ないようにして50分置く。
3. バットの底に新聞紙、脱水シートの順に重ねて敷き、2のトロさわらを酢から引き揚げて皮目を上にして置く。トロさわらの皮目が乾かないようにラップシートをかけ、冷蔵庫に入れて3日間寝かせる。
4. 3のトロさわらを取り出し、皮に斜めに細く隠し包丁を入れて串に刺す。
5. 火を起こした炭に藁を置き、煙が出てきたら4のトロさわらの皮目をいぶす。炎が立ったら皮を軽く炙り、皮を柔らかくする。
6. 串を外し、5mm程度の厚さに切り分ける。1人前5切れほど。
7. 器に盛り、わさび、すだち、みょうが、紫芽を添える。

レシピ2

『答志島トロさわらの竜田揚げ ごまソース』

    サワラは厚めにカットしてしっかりと揚げるのがポイント

    サワラは厚めにカットしてしっかりと揚げるのがポイント

●材料(つくりやすい分量)
トロさわら(腹側のもの)…1柵
卵白…MSサイズ1個分
しょうゆ…大さじ1・1/2
片栗粉…適量
芽ねぎ…適量
揚げ油…適量

(ごまソース)
白ごまペースト(あたりごま)…大さじ4
玉ねぎ(みじん切り)…1/2個分
かつおだし…小さじ2
しょうゆ…大さじ1

●作り方
1. ごまソースをつくる。玉ねぎを熱湯にくぐらせて、さらしに上げ、よく水気を絞る。ボウルに入れ、あたりごま、かつおだし、しょうゆを加えて混ぜ合わせる。
2. トロさわらを1人前2.5cm幅ぐらいに切り分ける。
3. 卵白を漉し切りしてボウルに入れ、しょうゆを加えて混ぜ合わせる。2を入れて和え、5分置く。片栗粉をまぶす。
4. 180度の油で3を5分程度揚げる。トロさわらが浮いてきたら揚げ終わり。
5. 油をよくきって、1口大に切り分ける。
6. 器に盛り付け、ごまソースをたっぷりかけて、上に芽ねぎを添える。

この記事を作った人

写真/黒岩 正和、取材・文/楠井 祐介、動画/古谷 峻兵

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