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2016.10.06グルメラボ

世界文化遺産決定に沸く上野で、数多の文士に愛された名店の味を食す

さる7月17日、国立西洋美術館の世界文化遺産登録が決定したのは記憶に新しいところ。その興奮が未ださめやらぬ上野ですが、美術鑑賞後にせっかく食事するなら、雰囲気も楽しみたいものです。そこでセレクトしたのがこちらの三店。多くの文士に愛された名店の味をどうぞ。

文士に愛された上野の名店3選

1週間かけて仕込まれる、デミグラスソースの圧倒的なコクと旨みの【レストラン 香味屋】

 最寄り駅は入谷駅。国立西洋美術館から歩けば15分ほどはかかる住宅街の一角にあるのが大正14年創業の洋食店【レストラン 香味屋】です。そんな老舗の味を支えるもののひとつに伝統のデミグラスソースがあります。牛スジと野菜を煮込んでは濾し、地道な作業を毎日繰り返し、長年注ぎ足されてきた味は、この店の歴史そのものといっても過言ではありません。

  • 高級ラードで揚げるため香り豊かな『メンチカツ』2,000円

  • 蕩けるように柔らかな『タンシチュー』3,500円

 名物はそのデミグラスソースをたっぷりと使った『タンシチュー』『ビーフシチュー』。牛肉と豚肉の合い挽き肉で仕立てた、肉の旨み溢れる『メンチカツ』も味わっておきたい逸品です。

 

窓の外に広がる上野公園の緑を眺めながら、伝統の鰻重を食す【鰻割烹 伊豆榮 本店】

 創業は江戸時代中期。錦絵や浮世絵に描かれ、明治時代から昭和にかけては多くの文人墨客にも愛された鰻の名店が【鰻割烹 伊豆榮 本店】です。ここの鰻重を味わえば、誰しもその歴史の味を感じることでしょう。

  • 鰻重は『松』2,700円、『竹』3,780円、『梅』4,860円の3種

  • 座敷の向こうには上野公園を望む。森鴎外、谷崎潤一郎などの文豪たちに愛された

 備長炭で焼く三河産の鰻、砂糖を一切使わない江戸前の味わいに仕上げた秘伝のタレは当然、ふっくらとした焼き上がりは、受け継がれてきた確かな職人の技が支えています。鰻全体に火を回して余分な脂を落とし、食感を損なうことなく旨みを引き出していきます。上野公園の風流な景色を眺めながら味わう鰻重に、身も心も蕩けるようです。

 

昭和の香り漂う木造建築に憩い、老舗の蕎麦を手繰る【蓮玉庵】

 創業安政6年の老舗のそば処【蓮玉庵】。魅力といえば、まずその佇まい。上野中町通りにあって、戦後まもなく建てられた風情溢れる木造建築がひときわ強い存在感を放っています。店内は改装されているものの、蕎麦猪口などがディスプレイされた美術館を思わせるつくりで、ゆっくりと蕎麦を楽しめる雰囲気。国産の2種類をブレンドして打つ蕎麦は、辛口の汁にちょこんとつけてすすれば、蕎麦の風味や甘さがより際立ちます。

  • 喉越しよく風味豊かな『せいろそば』700円

  • 上野仲町通りに佇む風情溢れる木造建築

 「蓮玉へ酔って蕎麦を一杯食っていこうか」。森鴎外の名作『雁』など、明治から昭和にかけての多くの文学作品にもその名を残してきた蕎麦の名店。蕎麦前とつまみを楽しみ、〆に『せいろそば』を手繰る。この店にはそんな粋な蕎麦の楽しみ方がよく似合います。

 

この記事を作った人

吉田慎治