シャンパーニュの王様「SALON」。マリアージュのお相手は”和食”が一番!?
JAL国際線のファーストクラスのシャンパンに登場し、ドン・ペリニヨンやクリュッグに並ぶシャンパンの王様『SALON』。そんな『SALON』だけでペアリングをするという贅沢なガラディナーがひそやかに開催された。その場所の一つが京都 【高台寺 十牛庵】。実は和食こそSALONが恋した相手だと、代表取締役であり、最高醸造責任者であるディディエ・ドゥポンが話してくれたー。
『SALON』と『松茸』。死ぬまでに、味わってみたい究極のマリアージュ
ワインファンが「死ぬまでに一度は飲んでみたいシャンパーニュ」として必ず挙げる銘柄が「サロン」だ。ブドウの質が極めてよい年にしか造られず、生産数も少ないことから“幻のシャンパーニュ”と評される。単一品種、単一ヴィンテージ、単一畑にこだわり、使用しているのはシャルドネの聖地といわれるコート・デ・ブラン地区の最高峰ル・メニル・シュル・オジェ村のシャルドネのみ。しかも、熟成を経てこそ真価を発揮するため、古いヴィンテージほど“サロンらしさ”が感じられるという唯一無二のシャンパーニュなのだ。
そして、“サロンの妹”と評されるのが「ドゥラモット」で、こちらはきらめくような美しい酸味が特徴。シャンパーニュ愛好家の間では、「サロン」が造られない年には、そのブドウは「ドゥラモット」に使われることでも知られる。「サロン」、「ドゥラモット」ともに星つきレストランなどで多く用いられているが、ディディエ・ドゥポン氏は「実は日本料理との相性が素晴らしいのです」と話す。
サロンが生まれる美しい自社畑
「私が初めて日本を訪れたのは、22年前の1997年。今も信頼関係で結ばれているインポーターの方が、私をANAインターコンチネンタルホテルの鉄板焼レストランに連れて行ってくれたのですが、初めてしゃぶしゃぶを食べて、そのおいしさに感動しました。その時は『ドゥラモット ブラン・ド・ブラン』と『サロン』と合わせましたが、繊細な脂がサロンの熟成感とマッチしていました。私も『サロン』も、この時日本料理に恋をしたのです(笑)」。
日本は、『サロン』、『ドゥラモット』にとって重要なマーケットという理由もあったが、以来、ドゥポン氏は年に3、4回は来日するようになり、その回数はすでに60回を超えるという。日本料理も端正な割烹料理から東京・下町のもんじゃ焼きまで、幅広く楽しんだというが、その経験と知識の豊富さには、日本人である我々も驚かされる。
サロンを象徴するエチケットの"S”は、シャンパーニュ愛好家の垂涎の的
今回の来日では、ドゥポン氏は【高台寺 十牛庵】の端正な会席料理と「サロン」、「ドゥラモット」とのマリアージュを体験、特に向付の『白あま鯛のうす造りキャビア柚子ゼリー』が印象的だったと語る。
「キュウリとキャビアのマリアージュというのはフランスでも経験がなく、組み合わせの斬新さに驚きました。あま鯛1枚1枚に柚子のゼリーが添えられており、とても上品なバランスでした。『ドゥラモット ブラン・ド・ブラン2012』と最高の相性を見せ、感動しました!」。
高台寺に程近い緑に囲まれたロケーションがすばらしい【高台寺 十牛庵】
フランスでは、通常キャビアは氷で冷やしてサービスされることが多いが、今回、【高台寺
十牛庵】の藤原料理長は、キャビアの温度を室温にして、なめらかな口当たりに仕上げた。料理長のさりげない技が感じられる一皿だ。ドゥポン氏は続ける。
「八寸のカマスの寿司は脂が上品で、すっきりとした酸味の『サロン2007』とよく合っていました。また、焼き物の『鶉のつくね』と熟成した『サロン1997』との相性は最高で、つくねに練りこまれていたトリュフとシャンパーニュが引き立て合っていました。日本料理とシャンパーニュのマリアージュは無限の可能性があると、あらためて認識できた夜でした」。
先付の『焼目はも 松茸 花穂紫蘇 加減醤油』。夏のはもと秋の松茸。季節の名残りと走りを合わせた、この季節ならではの1品。シンプルに調理された松茸は、香り豊か。「松茸の香りが引き立っています。シャンピニオン類は、熟成したシャンパーニュと非常に相性がよいですね」とドゥポン氏
ドゥポン氏は、これまで多くの日本料理を楽しんできたが、その中で記憶に残るマリアージュを尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「まず、シャンパーニュとの相性が抜群なのは寿司と天ぷら。基本的にシャンパーニュなら何でも合いますが、『ドゥラモット ブリュット ノン・ヴィンテージ』なら、エビやカニなどの甲殻類のうまみを引き立ててくれます。鯛などの白身魚にはブラン・ド・ブランがいいですね。アナゴならロゼでしょうか」。
また、なんといっても“包容力”を感じさせるのが「サロン」で、毛ガニやアワビ、差しの入った神戸牛などとは最高の相性を見せるという。
「サロン独特のきりりとした酸味とキノコの香りの熟成感。これが、シンプルな日本の食材を包んで、素晴らしくおいしくしてくれるのです」と笑顔を見せる。
瓶熟成の期間は最低10年。さらにすべての条件がそろう、類まれなる年にのみリリースされるため100年間の間で37回しかリリースされていない『サロン』。最新のヴィンテージは2008年
実は、ドゥポン氏が日本料理とシャンパーニュのマリアージュが理解できる裏には、彼の日本酒の経験も生きている。
「日本酒は、冷ややぬる燗、熱燗など、サービス温度によって味わいも違えばマリアージュにも変化を見せる。そこに興味を引かれました。実は、私に日本酒を教えてくれたのは、元サッカー日本代表の中田英俊さん。彼は控えめで、とてもインテリジェントな人物。今ではすっかり打ち解けて、大の親友です。来日するたびに寿司や鉄板焼きなど、おいしいお店に連れて行ってもらっています(笑)。彼の日本酒の話は奥深く、勉強になります」。
デュポン氏は、休日、日本料理に挑戦し、天ぷらを揚げることも。「でも、衣がからりと揚がらない。ぽったりと厚くなってしまうのです。プロの技は、本当にすごいですね(笑)」/le copyright du photographe Luc Monnet
最後に、デュポン氏はシャンパーニュと日本料理について、こんな夢を語ってくれた。
「日本料理とシャンパーニュの“恋愛”の素晴らしさを知らない料理人は、まだまだフランスには多い。いつか、その楽しさを伝えるべく、メゾンで“日本料理サロン”を開いて、セミナーなどができたらと思っています。『サロン』や『ドゥラモット』とのスペシャルなマリアージュを知る人が増えてくれたら、私はとても幸せです」。
今回の舞台はこちら
この記事を作った人
取材・文/安齋喜美子
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