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更新日:2025.01.23旅グルメ 連載

群馬【ヴェンティノーヴェ】(ventinove)~ヒトサラ編集長の編集後記 第75回

群馬県の北東部、川場村にある【ヴェンティノーヴェ】(VENTINOVE)に行ってきました。1日1組しか泊まれない贅沢なオーベルジュですが、レストランだけの利用も可能です。東京・西荻窪の人気店だった【トラットリア29】を閉め、故郷に戻った竹内悠介シェフが、地元の食材をフル活用し、薪焼で提供してくれます。

VENTINOVE

    ヴェンティノーヴェ内観

【ヴェンティノーヴェ】は土田酒造の敷地内にあります。小さな看板の立つ小径を進むと綺麗な一軒家が現れます。中に入ると1階がレストランになっていて、大きな窓の外では紅葉が始まっています。(取材当時)

色とりどりの食材がカウンターに置かれ、竹内シェフが薪火を確認しています。そう、熱源はこの薪火のみです。

    ヴェンティノーヴェ

    ヴェンティノーヴェ

「オリーブオイルとパルミジャーノ以外は基本ここから車で30分以内のものを用意しています。お肉は赤城牛です。それと今日は天然のマイタケがあるので、これをお出しします」とシェフ。奥様が、メニューとドリンクの説明をしてくれます。

    沼田アップルドライ

喉が渇いていたので「沼田アップルドライ」というシードルをお願いしました。沼田市産の完熟リンゴで瓶内二次発酵のきめ細やかな舌触りのシードルですがアルコールが8%あります。飲みすぎに注意かもしれません。

われわれのお料理は15時に始まります。

    ヴェンティノーヴェ

前菜は4種類です。

まずは古代米で焼いたパイにイワナの卵がのっかっています。ぷちっと気持ちいい歯ざわり。それと猪肉と熊肉のサルシッチャ、いちじく。とても爽やかです。

    ヴェンティノーヴェ

2皿目はヤマドリダケです。和製ポルチーニですね。それのスフォルマート。完熟した柿や甘い栗が使われていて、上には庭で取れるというナスタチウム(キンレンカ)の葉など。秋っぽい彩ですが、旨みは凝縮しています。

    ヴェンティノーヴェ

3皿目に薪で焼いた天然マイタケが来ました。麦のリゾットが敷かれています。香ばしい香りがします。やまぶどうのソースとパプリカやニンジンをすったものが添えられて味のハーモニーが完成します。マイタケに独特のフレッシュな食感が残っていて、大地を感じます。

同じシードルで、ブルーベリーが入ったものもあったので、そちらを合わせてみました。秋の森を感じます。

    ヴェンティノーヴェ

4皿目はなんともつ煮込み。「新鮮なもつがないと出来ないんですが」とシェフ。「もつは僕の修行先のトスカーナでもよく食べるんです。それをむりやり群馬風にやってみました(笑)」

桃のような蕪「もものすけ」は3時間くらいかけてじっくり蒸されており、さっぱりめのもつとよく合います。インゲンやマコモダケの食感もいい。

「唐辛子のオイルがあるので味変に少し」と奥様。これもいいですね。でもかけすぎると後から辛さが追いかけてきます。

  • ヴェンティノーヴェ

  • ヴェンティノーヴェ

シェフが肉を切り始めました。そして見せてくれます。立派で綺麗な牛肉です。これが本日のメインとなるビステッカです。「赤城牛、2歳くらいのメスで2か月熟成したものをうちで2週間ドライエイジングしました」とシェフ。

なぜパスタの前に肉を出すのかと訊くと、メインに行く前にお腹いっぱいになっちゃう人がいるからだとか。

薪で肉が焼かれる間にサラダが出ます。大根や人参などの根菜、小松菜やケール、イタリアンパセリなどの葉物、干し柿、卵、パルミジャーノ、じゃんぼにんにく・・・などが大きなボウルの中でリンゴ酢などで混ぜ合わされます。このボウルはシェフの実家でうどんを打つのに使ってたものだとか。

    ヴェンティノーヴェ

さっぱりしていながら、自然の力を感じる野菜の数々。これは毎日食べたい。

    ヴェンティノーヴェ

お肉が来るのでワインをキャンティにしてもらいました。

    ヴェンティノーヴェ

ビステッカは実に香り高く、切るとルビーのような美しい赤。塩とイチジクのソースとでいただきます。柔らかいビステッカは何枚でも食べられそう。

外は暗くなり始めました。秋は夜の来るのが早いですね。

    景色

    ヴェンティノーヴェのパスタ

そしてパスタの登場です。

「群馬の小麦粉と卵で手打ちします。3種類選んでください。リゾットもあります」と言われ、ここは迷うところですが、今回はパスタとニョッキとリゾットを選んでみました。

まずはサトイモのニョッキです。ニョッキにしてはでかく、中に猪のラグーが入っていて香茸のソース。これも旨みの凝集ですね。

    ボロネーゼ

次はパスタ。キタッラでフレッシュトマト・・みたいなことも頭をよぎったのですが、パッパルデッレでボロネーゼにしました。これはこの店のスペシャリテでもあるそうです。

    リゾット

最後はここ川場の新米でリゾットです。満足です。

    ドルチェ

ドルチェはかぼちゃのモンブランと胡桃と焦がしキャラメルのジェラート。コーヒーを最後にいただきました。

このままここに泊まりたい気分になりましたが、もうそろそろ帰る時間です。外はすっかり暗くなっていました。近づいて来る冬の足音が聞こえます。

    ヴェンティノーヴェ看板

この記事を作った人

小西克博/ヒトサラ編集長

北極から南極まで世界100カ国を旅してきた編集者、紀行作家。

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