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更新日:2017.05.24グルメラボ

旬の味を求めて ~「煮込みハンバーグ」編~

湯気をあげるデミグラスソースと、肉汁が溢れるハンバーグ。噛むほどに味が染み出るのは、タネに牛タンを混ぜ込んでいるから。このハンバーグを食べるためだけに、遠方からファンが訪れるほど。時間をかけて出来上がる冬の洋食は、訪れた人々をほっこりと温めてくれます。

旬の味を求めて ~「煮込みハンバーグ」編~

煮込みハンバーグの決め手、デミグラスソース

    こだわりのデミグラスソースを使った煮込みハンバーグ

    こだわりのデミグラスソースを使った煮込みハンバーグ

 グツグツと熱いデミグラスソース、ぷっくりとふくらんだハンバーグからあふれ出る肉汁。冬にはやはり、ジューシーな煮込みハンバーグだ。

 わざわざここに食べに来るファンが多いというプクプク亭の『特製ハンバーグ』。 30年前、「冷めても美味しいミソカツ弁当」をメインとしたお弁当屋さんから始めたところ、またたく間にミソカツが人気に。それから本格的な洋食店を始め、新たな看板メニューをつくろうと決意し、この特製ハンバーグを考案したそうだ。

 1年近く試行錯誤し、7:3の国産合挽き肉に牛タンを入れるスタイルにたどり着いたという。硬めの食感の牛タンを混ぜることで、しっとりと柔らかいだけでなく、肉感のある独特の歯ごたえが生まれた。

    煮込み途中の、2日目のデミグラスソース。じっくりと旨味を引き出していく。

    煮込み途中の、2日目のデミグラスソース。じっくりと旨味を引き出していく。

「うちのハンバーグの仕上がりを左右するのはデミグラスソースですね」と話す舟橋シェフ。プクプク亭のデミグラスソースは、4日間かけて丁寧につくられるそうだ。

 10キロもの牛スジ、玉ねぎ、ニンジン、セロリなど大量の野菜、赤ワイン、ホールトマトを大鍋に入れて丸1日煮込む。2日目は1日目の具材を取り出して濾し、1日目と同量の新しい具材と入れ替えてさらに丸2日間煮込んだ後、また具材を取り出して濾し、このブイヨンに赤ワインとトマトベースなどを加えて仕上げの煮込みを行う。

 これだけの工程を経てつくられる洋食店の味は、家庭でつくるよりもはるかに深い味わいになる。「大鍋で大量の具材を使うと、やっぱり味の出方は違いますよ」と舟橋シェフ。じっくりと時間をかけて具材の旨味を凝縮させることで、プクプク亭の優しく甘いデミグラスソースが出来上がるのだ。

 煮込みハンバーグの醍醐味は、なんと言っても皿ごと火にかけられてさらにコクが増したデミグラスソースだ。このソースが蓋となり、食べ終わるまでずっと余熱が続くため、ハンバーグに閉じ込められた肉汁が少しずつソースに溶け込んでいく。

料理と人から伝わる、昔ながらの温かさ

    うつむき顔で入ってきたお客さんが、笑顔で帰る時が、一番嬉しい瞬間だ、と語る船橋シェフ。

    うつむき顔で入ってきたお客さんが、笑顔で帰る時が、一番嬉しい瞬間だ、と語る船橋シェフ。

 つけ合わせの野菜も冬に旬を迎え、一層味がよくなる。身がしまり味が濃くなるニンジンのグラッセ、冬に栄養価が高くなるほうれん草、ビタミン補給ができるジャガイモ。もちろん、デミグラスソースとの相性も抜群だ。トロトロの温泉卵も割って、たっぷりと絡めていただこう。

「お客さんも私を見て元気をもらえる、なぁんて言ってくれるんですよ」と声のする方を見ると、御年80才という舟橋シェフのお姉さん。おっとりと柔らかな物腰で、いつも笑顔で出迎えてくれるプクプク亭の名物女将だ。

    冬野菜の甘みを感じるつけ合わせ。<br />
デミグラスソースをたっぷりつけて…

    冬野菜の甘みを感じるつけ合わせ。
    デミグラスソースをたっぷりつけて…

「プクプク亭は味も人もいい」そう言われる理由は、舟橋シェフをはじめ、シェフのお姉さんと奥さんから伝わってくる「包まれるような温かい雰囲気」にある。

 昔ながらの洋食メニューと、新規客も常連客も同じように受け入れるおもてなし。お店を出るころには、心の奥のほうからほっこりと温かくなっているはずだ。

旬のものを、大切な方と食べに行きたくなる「旬味への誘い」はこちら

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