地産地消の第一人者【アル・ケッチャーノ】の奥田政行シェフが語る、「私が、国産の食材を愛する理由」
2005年より「食の都庄内」親善大使を務め、2010年には第1回「辻静雄食文化賞」、農林水産省第1回料理マスターズを受賞するなど、幅広い活躍をみせる【アル・ケッチャーノ】の奥田政行シェフが語る、庄内の食材・地産地消のお話です。
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日本の食材は和食に向いている
イタリア料理での日本食材の活かし方
生産者は店のスタッフである
シェフと生産者でつくりだす新しい日本の食文化
日本の食材は和食に向いている
私は自らの店がある地元・山形庄内の食材を愛していますし、自信を持っています。そういった気持ちを抱くようになったきっかけは、美味しいものを探したら、地元にあったということに過ぎません。
海外のセミナーでも語ったことがあるのですが、日本の野菜の特徴は、瑞々しくて香りがあることです。これは、そのまま食べたり、和食で使う際は最大のメリットです。一方で、フレンチやイタリアンの料理人にとっては、ときにデメリットになります。現地そのままの調理法、つまりソースを多用した料理では、ソースの水分と野菜の水分がぶつかりあって美味しくありません。また、ソースの旨味によって野菜が持つ香りが閉じ込められてしまいます。
生産者から直接仕入れる庄内の豊富な食材
イタリア料理での日本食材の活かし方
修業時代は、そのことに対して自問自答していたのですが、ある時、使い方次第で、その欠点を長所に変えることができると気づきました。たとえば、瑞々しい野菜であれば、オリーブオイルなどでコーティングしてあげれば、あくまでイタリア料理でありながら、日本の食材の良さを活かすことができたのです。
地域の生産者を大切にする姿勢が店内にも溢れています
生産者は店のスタッフである
そのようなことに取り組んだ2000年頃から、私は、生産者の方たちは取引相手ではなく、同じ目標を追求するスタッフの一人だと捉えています。今では多くの飲食店でやっていることですが、『丸山さんの羊のロースト』、『後藤さんの藤沢カブ』など、「生産者の顔が見えるメニュー」名を付けるようになったのは、そのような意識によります。そして、彼らが店にいるときには、「この人が、この食材をつくった方」だと、お客様に紹介します。
【アル・ケッチァーノ】のコースの一品
シェフと生産者でつくりだす新しい日本の食文化
改めて言うまでもないですが、日本は食材の宝庫です。縦に長い国ですので、様々な「旬」が長い期間楽しめます。そして、何より日本人の「道」を極めることに重きを置く気質が、食材の質の高さに繋がっています。野菜や果物に限らず、肉や魚、お酒やワインにしても、生産者がその「道」を極めようとする志によって、素晴らしい食材が生まれています。このような「適地適作」で生み出される良質な食材を、料理人がうまく扱えれば、すべての人を幸せにするような日本独自の新たな食文化が生まれると確信しています。
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