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更新日:2017.08.17食トレンド

食通が今注目する宮城の佳店、地酒と和食でもてなす【四季彩食 いまむら】

震災ボランティアで石巻を訪れ「この町のためになにかしたい」と開いた日本料理店。地元石巻の食材と店主今村さんの洗練された感性とが掛け合わさった【いまむら】の料理を求め、日本各地の食通たちが石巻に足を運んでいる。

五味五色五法の上で咲く華と実。石巻の旬を独創の拵えで

 これだから、石巻というまちは侮れない。港町らしさを十分に湛えながら、港町らしからぬ洗練を持ちあわせている。そんな料理店が、未だ隠れ家的にひそんでいるのだから。

 震災ボランティアとして石巻を訪れ、「このまちのために何かしたい」と望み、それまでに研鑽を積んでいた日本料理の店を開こうと決めた今村さん。石巻での暮らしの中で出会った漁師さんや農家さん、大工さんやボランティア仲間たちが、さまざまに彼を後押しし、【いまむら】は生まれた。

    地元の大工さんやボランティア仲間とともに4ヵ月半かけて造り上げた店に、奥様の由紀さん、山崎洋樹さんと立つ

 石巻ならでは、しかも今村さんなればこそ、という料理がコースを彩る。日本料理の序盤の華といえば造りだが、魚にはうるさくて当然の石巻の人々が素直に「うまい」と膝を打つのだから、その良さは折り紙付き。

    4,800円(税抜)のコースより、『お造り』。石巻港に揚がった近海ものを中心にした仕入れ。ご近所さんである「日高見 芳醇辛口純米吟醸 弥助」1合・800円(税抜)と

 藁を使い、炙るというよりも薫製に近い手法で軽く火を入れた鰹。神経締めにした真鯛やスズキは、捌いて塩をあててくさみや泥を身から吐かせる。鯵のたたきはディル、らっきょうのみじん切りと和えて土佐酢を添える。ホタテはごく軽く炙り、ウニとピスタチオ酢味噌で。醤油とわさびはもちろん、秋田の藻塩や大葉のジェノベーゼ、スダチといった薬味&ソースで思い思いに味わえば、単に奇を衒った仕立てでないことがよく分かる。相性が、きっちり考えられている。

 地場の魚、それも顔を知る漁師たちが獲った魚を、彼らにいかに喜んで食べてもらえるかを追求した結果、かえって自由な「造り」のスタイルが生まれたのだ。

    『穴子の白焼き』。瑞々しい野菜や山菜は、その香りも箸休めには留まらない実力。人参のピュレの甘さも、穴子の香ばしさをひきたてる

 一本釣りした漁師のもとで生け簀飼いされていた穴子は、ゲストが味わう時間を逆算して捌いてもらい、身が硬直する前の柔らかな弾力のまま小骨を抜いて白焼きに。クリスピーな皮の下には、葛を打ったようなゼラチン質の旨みとふかふかの身が層をなし、ぴしりと効いた塩と柑橘の酸味、山椒オイルのアクセントが実にいい。

 筍やこごみ、アスパラガス、木の芽といった旬の山畑の幸と一緒に海苔でくるりと巻いて味わうと、また異なる旨さだ。

    『ほやとゴーヤのかき揚げ、海老と新生姜の肉巻き揚げ、ほやのクリームコロッケ』。食を語り合う友人・目黒浩敬さんのワイン『アル・フィオーレ 2016』の「Genchi」「Momo」各900円(税抜)と

 【いまむら】の料理は、足し算、掛け算の妙味だ。しかし、そこに蛇足はない。五味五色五法に則り、多くのファクターが、まるで精緻なモザイク画のようにぴたりと役割を果たしている。ごく身近でよく知る故郷の旬の、いつもとは違う顔、いつもをさらに凌ぐおいしさに出合ってほしい、という愛情が、【いまむら】にしかない味を生んでいるのだ。

    一年を通して楽しめる『水だこの唐揚げごはん』は、唐揚げにしたタコと高菜漬け、ゆかり、舞茸、生姜が絶妙。夏季限定の『ほやの炊き込みごはん』は、大葉、紫蘇の実とホヤの相性の良さに改めて驚く

【四季彩食いまむら】

電話:0225-90-3739
住所:宮城県石巻市中央2-7-2
アクセス:JR石巻駅から徒歩10分
営業時間:18:00~23:00(L.O.22:00)
定休日:日曜日・祝日

出典/Kappo vol.88(2017年7月号)

この記事を作った人

撮影/オフィス・イケガミーズ 取材・文/ナルトプロダクツ

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