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更新日:2017.10.15グルメラボ

かつての歓楽街の歴史と共に愛されて半世紀 酒を呼ぶ佳肴が充実した立ち呑みの老舗

老舗・名店が今も健在の新開地で、1965年から続く歴史ある立ち呑み店。かつて歓楽街だった街で、創業以来、多くの客を迎えてきた年季の入ったカウンターと、ハイレベルな品書きの数々で、昼から客が絶えない、左党なら一度は訪れたい界隈を代表する老舗です。

かつての歓楽街の歴史と共に愛されて半世紀 酒を呼ぶ佳肴が充実した立ち呑みの老舗

【世界長 新開地直売所(せかいちょう しんかいちちょくばいしょ)】

酒場の粋な心意気が詰まった馬蹄形のカウンター

    ねっとりした食感が口の中に広がり、旨味の余韻が残る『マグロの剥き身』300円は破格

    ねっとりした食感が口の中に広がり、旨味の余韻が残る『マグロの剥き身』300円は破格

 清酒「世界長」の宣伝酒場として1965年に創業した【世界長 新開地直売所】。昼呑みのおっちゃんが似合う、まさに“ザ・立ち呑み店”。連日にぎわうその「世界長」の顔が、震災をも耐え抜いた、創業時から変わらない馬蹄形のカウンターです。当時でも珍しい形で、全長は約10m。角が飛び出す四角より、半円形の方がスペースもゆとりがもてます。次々に来るお客さんが1人でも多く入れるよう、体を半身にして立つ、通称「ダーク(ダックス)」スタイルもよく見られ、立ち呑み酒場ならではの粋な風情を感じます。

杯が進むこと請け合い! 立ち呑みらしからぬ佳肴揃い

    中にネギを忍ばせた香ばしい『厚揚焼』

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 またお酒も、店名に冠した定番の「世界長」はもちろん、芋焼酎の前割りや、店主厳選の地酒なども充実。近ごろは、年季の入った常連に混じって、サラリーマンやOLの姿も。

「毎日お客さんと話してるのが健康の秘訣かな?」と笑顔を見せる店主の岸田耕治さん夫妻の、老いも若きも受け入れる懐の深さが心地よい、まさに界隈の「看板酒場」的存在です。

    コラーゲンたっぷりの『豚足焼』は意外にも男性に人気

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 立ち呑み店にもかかわらず、多彩な品書きにお値打ちの一品が充実しているのも、この店の醍醐味。おでんや串カツなどの定番メニューも人気ですが、「うちに来たら、まずこれやね」と勧められるのが名物のマグロの剥き身。仕入れは長年の付き合いがある中央市場の鮪専門店から。

  • 夜はもちろん、昼飲みも気兼ねないのがうれしい

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  • 日本酒はロックで楽しむ「沢の鶴」純米原酒など個性派もそろう

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「儲からへんけど、喜んでくれるからやめられへん」というまさに破格の味わい。マグロの料理だけでも、5~6種はあります。隣を見れば、新鮮な活赤貝の刺身や神戸牛の炙りを頬ばる常連さんも。立ち呑みの域を軽く超える値打ちの一品は、仕入れや調理の工夫の賜物です。

この記事を作った人

取材・文/田中慶一(フリーライター)

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