<タイ・ローカルフード紀行 VOL.09>彩り鮮やか! 中華街の大皿食堂
名店揃いのバンコクの中華街にあって、地元の人々に愛される名物食堂がこちら。季節ごとに変わるおすすめメニューが大きな皿に並べられ、いかにも食欲をそそるんです。
バンコク西部の中華街。その目抜き通りの名前からヤワラートとも呼ばれるこのエリアは、食の宝庫です。
タイにあって中国系の移民たちとその子孫がたくさん暮らしており、街並みには漢字の看板が踊り、八角などの漢方の匂いも漂います。中華系の食材や調味料を売る大きな市場もあって、お土産を探すのにもいいでしょう。さまざまな屋台がひしめき、観光客にも大人気。夕方ごろからあたりは人波でごった返すのです。
夕方からハデハデなネオンで彩られるヤワラート通り。その足元に屋台がひしめく
このヤワラートで食べられる味は、純粋に中華料理というわけではないんです。この街で暮らしている華僑がタイの影響を受けるうちに、だんだんと「タイ化」していったように、料理もまたタイと混じりあっていきました。もともとどちらも油と香辛料を多用する料理なので相性が良かったようで、互いの食材や調理法を取り入れて、「タイ中華」ともいうべきジャンルを生み出していったのです。
タイ料理ほどスパイシーではないので食べやすいし、にがうりや白菜、しいたけ、豆腐などの野菜もふんだん。そしてシーフードをたっぷり使うんです。
そんなタイ中華の名店にして、旅気分にどっぷり浸かれるローカルなお店がここ、【カオトム1/3】です。賑やかなヤワラート通りから北に延びるプレーンナム通りを歩いていくと、なんとも鮮やかなお店が目に飛び込んできます。
営業はなんと24時間! どんなときでも開いている心強い存在だ
通りにはみだす勢いで、大皿料理がずらり。煮物、焼き物、炒め物、肉に魚に大きなエビに、目移りしてしまうほどの料理の皿が幾重にも重なり、大迫力。大鍋で煮込まれたスープからはおいしそうな匂いが漂い、思わず足が止まるはず。「これは食べてみなきゃ!」そう思わずにはいられないたたずまいなんです。
注文は指差すだけでいいのでカンタン。料理の名前がわからなくても大丈夫。大皿からおいしそうなものを、お好みの量だけ頼みましょう。
指差しだけで注文できるので外国人にはうれしい。ひと皿80~100バーツ(約260~330円)だ
並ぶメニューはその日によって、季節によって旬があり、さまざま。あさりとバジルの炒め物、ワタリガニのカレー煮込み、豚足、魚の浮き袋のスープ……どれにしようか迷ったのですが、店員が、
「今日はこれがおすすめだよ」
という白身魚をメインにチョイス。『プラー・カオ・ヌン・シーユー』といって、ハタの一種を醤油とタイ生姜で煮込んだものです。とろみのついたあんが白身に絡んで、なんとも深い味わい。
右下が『プラー・カオ・ヌン・シーユー』、左は『プラー・チョン・ゲーン・ソム』、上は『イェンチャイ・パッ・サイムー』
『プラー・チョン・ゲーン・ソム』は雷魚のスープ。タマリンドと唐辛子のペーストと、独特の色合いと甘酸っぱさをつくっているスープが、これまたほくほくの白身によく合うんです。
『イェンチャイ・パッ・サイムー』は、高菜とホルモンの炒め物。これは街中華にありそうなシンプルかつ安心感のある、いかにもな中華料理です。
注文しやすく、雰囲気もいい。手軽にローカルグルメを楽しむにはおすすめ
どれもビールにぴったりなので、居酒屋使いをしている人たちもたくさん。またお店の名前の「カオトム」とはおかゆのこと。やや濃い味の大皿料理は、おかゆとの相性もばっちりなんです。日替わりのおかずと一緒に、おかゆをさらさらとかきこんでいく姿も。のんびりと一杯やってるおじさん、中国語の新聞を読んでいるおばちゃんもいます。観光地ヤワラートにあって、この店は地元の人々の憩いの場なのです。
ちなみに店名の「1/3」とは、単なる住所。
「うちはプレーンナム通り1/3にあるから」
と店主のおばちゃんが笑いますが、このおおらかさがいかにもタイといった感じです。
【カオトム1/3】
電話 086-688-9023
住所 Plaeng Nam 1/3,Yaowarat,Bangkok
営業 24時間、無休
この記事を作った人
取材・文/室橋裕和(フリーライター)
タイに10年在住し、現地日本語情報誌を中心に活動。帰国後は雑誌や書籍、ウェブなどの執筆・編集にあたり「アジアのいま」を発信している。タイ料理ではラープ・ペット(アヒル肉とハーブのサラダ)をカオニャオ(もち米)と一緒に食べるのが大好き。
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