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更新日:2017.10.06旅グルメ

長野で花開いた「英国りんご」の魅力を知る旅へ from おいしいニッポン物語(第1回)

ヒトサラの新コンテンツ「おいしいニッポン物語」から秋にぴったりの旅の記事をご紹介。第一回は10月15日まで「英国りんごフェア」が開催中の長野県・飯綱町への旅。知られざる英国りんごの魅力に触れる旅へ出かけよう

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長野県飯綱町に伝わる英国りんごを作る、「山下フルーツ農園」

 今回の旅でまず訪れたのは、英国りんごを作っている町の生産者。今回我々に農園を案内してくれたのは飯綱町三水(さみず)の地で代々リンゴ中心の農業を営む山下フルーツ農園の方々だ。家族全員がなんらかの形でりんご栽培に関わり、朝から夕刻まで笑顔が絶えないファミリアルな農園。ここでは一般的な慣行栽培と比べ、規定の半分程度の農薬しか使わず、可能な限りオーガニックな環境で30種類ものりんごを生産している。

    山下フルーツ農園は、代表の山下絵里さん、旦那様の一樹さん、義父・勲夫さん、義母・和子さん、義妹・亜樹さんで営む家族経営の農園。ヤギのめーこも、息子の宇汰君もりんごが大好き

 その中でも特筆すべきは英国原産のりんごの栽培。ブラムリーズ・シードリング、タイデマンズ・アーリー・ウースター、フラワー・オブ・ケント、ローズマリー・ラセットにメイポール・・・・・・。イギリスに住んでいたことがある人なら、懐かしい! と声をあげるかもしれない。ここでは実にさまざまな特徴の異なる味わいを持つ、多種類の英国りんごが栽培されている。

 英国りんごを育てるきっかけについて代表を務める山下絵里氏はこう話す。「もともとりんごの栽培に適していた気候風土の飯綱町で、英国りんごは育ちやすい環境にありました。また、英国りんごは栽培に手があまりかからず効率がいいんです。そして酸味や渋味が必要な料理用に使われるということで個性が主張できます。」

    おいしいりんご畑を案内してくれた、山下フルーツ農園代表の山下 絵里さん

加熱したらとびきりおいしい、英国りんごはイギリスのママの味

 英国原産のりんごの特徴は加熱してもほどよい酸味にある。焼いたり煮たりすると酸味の中から独特の甘みが浮き上がり、特にアップルパイなどにすると生食では味わえない穏やかで優しい味わいが楽しめる。イギリスでは、英国りんごを使ってお母さんたちがアップルクランブルなどをおやつに作ったりする非常に人気の果物だ。しかし、ここ日本では、英国りんごは従来の町の主力商品 “ふじ” に代表されるような安定した需要が見込める作物ではないのが実情。それでも英国りんごを育てる理由を教えてくれた。

 「多種の英国りんごを育てることで商品ラインナップに新しい切り口が加わりますし、飯綱町に伝わったのに絶えそうになってしまった英国りんごの保護、という目的もありました。そういう品種を接木して絶やさないために育てているものもありますね。多種取り扱うことで、お客様にりんごをもっと知ってもらうきっかけになれば嬉しいです」。

    タイデマンズ・アーリー・ウースター

  • 写真左から、グラニー・スミス、ニュートンが万有引力の法則を発見したというフラワー・オブ・ケント

緑豊かな山にある、英国りんごの楽園

 建屋の裏手にはちょうど東京ドーム一つ分の約5ヘクタールの畑が広がる。木々を屋根にしてブランコやハンモック、そしてBBQなどが楽しめる「自分ちの庭」、そしてその先に飯綱の山々をバックにほんのりと赤い実をつけたりんごの木々が連なる。

 丘の向こうにはフラワー・オブ・ケントという、ニュートンが「万有引力の法則」を発見した際の逸話に登場するりんごがたわわに実り、小径にはメイポールというピンポン玉ほどの真っ赤なりんご。二つに割ると綺麗に赤と白のコントラストが美しい姿を現す。その向こうに見えるのは、数多くの英国りんごの中でも「王様」と言われているのがブラムリーズ・シードリング。強い酸味は料理用に使われ、火を通すことにより酸っぱいりんごは穏やかで味わい深くなる。

 下草が茂る緑豊かな山のなかで、さまざまなりんごがゆったりと枝を伸ばす。ここはあらゆる種類のりんごに囲まれた楽園かもしれない。

  • プラムのように実をつける、 “メイポール” 。半分に切ると中までピンク色!ジャムなどにして食べる

飯綱町から様々な形で発信していく、英国りんごの魅力

 山下フルーツ農園では生食用のリンゴの出荷はもちろん、上述の英国りんごを全国の個人客や有名レストランなどに直接配送している。「ビートルズのレコードにあるりんごの絵はグラニー・スミスだということから愛好家から注文があったり、瀬戸内海の島にある著名なレストランより注文が来たり、特にPRもしていないのに多方面から問い合わせがありますね。」山下絵里氏は嬉しそうに笑う。

    ウィリアム・モリスの壁紙、ヴィヴィットな色のソファが古民家に映えるカフェ

 そんな英国りんごの魅力を知ってもらおうと、敷地内の中心には築70年の古民家を改装し、モダンな要素も入れて2017年4月に【カフェ傳之丞】を開店した。メニューには、自社のりんごを搾汁した “山下農園のりんごジュース” から始まり、アップルパイ、自家菜園の野菜をつかったキッシュなどが並ぶ。ゆったりとソファで寛ぐもよし、テーブル席でおしゃべりもよし。煎れたてのコーヒーの香りとりんごのパイでゆっくりと心地よい時間を過ごすことができる。

 また、山下フルーツ農園では、一日一組限定の農家民宿【土蔵ファームインへんぺさんち】も運営。土蔵を生かした建物でゆっくりと宿泊して、りんご畑を散歩するのも楽しそうだ。

    【カフェ傳之丞】でアップルパイ380円(税抜)、山下フルーツ農園のりんごジュース500円(税抜)などが食べられる

山下フルーツ農園・農家民宿土蔵ファームインへんぺさんち

電話:080-2002-9667
住所:長野県上水内郡飯綱町大字倉井4276
アクセス:牟礼駅から車で7分
営業時間:平日:11:00~17:00 土日祝:10:00~17:00
定休日:水・木曜日

この記事を作った人

写真/小西康夫 取材・文/嶋 啓祐

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