ヒトサラマガジンとは RSS

ダースレイダーの「カレー」ビガッ! 第2回 ~カレー物質論~

ラッパーであり、ファンクバンド THE BASSONS(ベーソンズ)のボーカルとしても活躍するダースレイダーさん。大のカレー好きである彼が、様々な角度からカレーの魅力を追求する連載。第2回目は、“カレーとは何か?”を考察する「カレーの物質論」です!

アプリで見る

ダースレイダー

  • ヒップホップ界随一のカレー好きラッパー。多い時は年間250皿ほどのカレーを食べていたこともある。2010年、脳梗塞で倒れ左目を失明。以来、医者の指示による食事制限のため以前程の量は食べていないが、それでも変わらぬカレー愛で、その魅力を探求し続けている。

関連記事

 どうも、ダースレイダーです。カレーに貴賤なし! あらゆるカレーなるものにリスペクトを表し、楽しみたい! というコーナーがついに2回目を迎えました。ここで問いたいのは、あまりに当たり前に流布している「カレー」とはそもそも一体何なんだ? ってことです。
 調べものの基本、Wikipediaの説明においても、カレーであると決定づける条件として「多種類の香辛料を用いた料理」としか具体的なことが書いてない。逆に言えば煮るなり焼くなり好きにしろい! という非常に豪気溢れるスタンスですよね。カレーって格好いいな~。

  • ©雁屋哲・花咲アキラ/小学館

  • 『美味しんぼ』24巻「カレー勝負」
    作/雁屋 哲、画/花咲アキラ
    ビッグコミックスピリッツ(小学館)

    本物のカレーとは何か、カレールーやカレー粉とは何か、カレーの起源やそもそもの概念について学べる一冊。

 カレーとはなんなのか? 簡単な答えを一つ用意するならば……『美味しんぼ』24巻「カレー勝負」を熟読してくれればいいです! で終わり! とはいきませんね。丸投げはいけません。ここでは、原点に戻りたいと思います。カレーと世界の関わりに立ち戻って考えたいのです。物質には三態があります。個体、液体、気体です。カレーをこの物質の基本と照らし合わせることによって、カレーとはなんなのか? を考えてみましょう。

ダースレイダーが考える、カレーの物質論

カレーって液体?【モンスナック】の“シャバシャバ”カレーから考察

 まずはカレーは液体である、という定義から。故ウガンダさんの名言である「カレーライスは飲み物」は余りにも有名ですよね。彼は幼少時より噛んだことがなく、3秒で飲み干していたようです。炒めて水分を飛ばした場合は個体になりますが、素材の水分も含めて煮ても焼いても液状化します。その極端な例はスープカレーになると思いますが、それはさておき、これはどう見たって液体だけど、どう考えたってカレーだろ! というバランスに優れた例として新宿の紀伊国屋書店地下にある【モンスナック】がありますね。

    スープのようなカレールーが特徴の【モンスナック】。写真は『コロッケカレー』通常800円(税込)、日によって100円引きになる場合もあり

 平べったいお皿で提供されるものの中で極限はここかな? ってくらいの水分量です。個人的にはコロッケなどの揚げ物を潰して混ぜるのが好きですね。そして、壁に貼ってある蛭子さんのイラスト付きサイン。間違いなく平面のはずの絵の奥に限りなくなにかがありそうな……でも、やっぱりシンプルな……この絵からもカレーとはなんなのかを考えさせられます。

  • 店内には数々の著名人のサインが並ぶ中、異彩を放つ蛭子能収さんのイラスト付きサイン

 ちなみに、祖師ヶ谷大蔵の【馬来西亜マレー】も液体として極上です。

    長年マレーシアに通うご主人が作る、創作アジアスパイス料理店【馬来西亜マレー】。写真は『ザマッサ・カレー』1,340円(税込)

 ということで、まずはカレーは液体である、と定義付けます。

カレーって個体?【アジャンタ】の“そぼろ”カレーから考察

 次は個体です。カレーは個体でしょうか?ドスン!と腑に落ちる感じはないかもしれません。しかし、あなたはとっくのとうに個体のカレーを食べているのです。

 カレーの決定的な条件は多種類の香辛料です。これ、クミンでも胡椒でもカルダモンでもサフランでもそれを混ぜ合わせたカレー粉でもなんでもいいです、手に取ってみてください。近所のスーパーに行ってカレーを探してみましょう。「ククレ」でも「ジャワ」でも「超熟」でもいいです。カレーのルーが売ってます。ルーはカレー粉を固めたものですが、この状態ですでにカレーですよね。カレー以外のなにものでもない! ……それはあまりにもこじつけじゃないか? と、納得出来ないそこのあなた。キーマカレーはどうでしょうか。

    日本で初めてキーマカレーを出した、1954年創業の老舗【アジャンタ】。写真は『キーマカレー』1,620円(税込)・『ライス』324円(税込)

 キーマとはインドの言葉で挽肉を指しますが、この挽肉をスパイスで炒めた逸品で完全無欠の個体です。麹町の【アジャンタ】でキーマカレーを注文してください。見事なカレーそぼろが出てきます。美味しんだよな~、これが!
 これはどう見てもカレー且つ、個体です。カレーは個体としても成立するのです。

カレーって気体? 荻窪の商店街に“香る”【すぱいす】から考察

 さあ、物質の三態。最後は気体です。みなさん、日本の住宅街の典型的な夕方を想像して欲しいんです。駅からの帰り道、角を曲がるとほら……イメージとしてはそうですね、浦沢直樹作「20世紀少年」のケンジが「日が暮れて 何処からかカレーの匂いがしてる~♪」と歌う風景。皆さんも「ああ、あのお宅は今夜カレーなんだな~。いいな~」と思ったことが絶対にあるはずです。そう、香りです。鼻にふわっと伝わる匂いだけであなたはカレーを認識し、なんなら脳が刺激されたはずだ! そう、匂い、つまり気体だけでもカレーなんだ……!

    鮮烈なスパイスの香りに、柔らかくほぐれる骨付き肉。さらっと食べられる【すぱいす】の『骨付きチキンカレー』972円(税込)

 荻窪駅の商店街を歩くと、空間をカレーの香りがぎゅっと支配する瞬間があります。急に周囲が「カレー」になるのです。むむむっと鼻に導かれるままに歩くとそこには文字通り【すぱいす】というカレー屋があります。ここのチキンとかはね、そりゃ香るわ! という絶妙な味ですよ。もし、近くのカレー屋を探すなら……一度目を閉じて空間に漂う空気カレーを鼻で探知するのもオススメです!

 ある種の極限状態に陥った時は皆さん、ご飯だけを持ってカレー屋か晩飯のカレーを用意している家の軒先に行きましょう。漂ってくる「気体」カレーを嗅覚で味わいながらご飯を口に運べば、そう。それはカレーライスです。

~まとめ~

“カレーとはなんなのか?”この疑問に対し、物質の基本である三態全てに当てはまってしまったカレー。「形」では結論づけることができないその謎は深まるばかりです。カレーと世界は相似形。カレーは世界、世界はカレー。そんな壮大なイメージすらも浮かびます。そこで次回は「味覚」に焦点を当ててみます。どこからがカレーなのか? カレーとはなんなのか? お楽しみに!

今回紹介したお店

【モンスナック】

  • 電話:03-3352-3052
    住所:東京都新宿区新宿3-17-7 紀ノ国屋ビルB1階
    アクセス:JR線「新宿」駅から徒歩6分、丸ノ内線・都営新宿線「新宿三丁目」駅B7出口より徒歩5分
    営業時間:[平日] 11:00~21:00(L.O.20:45)、[土・日・祝]11:00~20:30
    定休日:無休

【馬来西亜マレー】

  • 電話:03-3484-0858
    住所:東京都世田谷区祖師谷4-21-1
    アクセス:小田急線「祖師ヶ谷大蔵」駅から徒歩10分
    営業時間:11:30~15:00(L.O.14:00)、17:30~21:30(L.O.21:00)
    定休日:火曜、水曜、木曜

【アジャンタ】

  • 電話:03-3264-6955
    住所:東京都千代田区二番町3-11
    アクセス:有楽町線「麹町」駅から徒歩1分
    営業時間:10:00~23:30(L.O.23:00)
    定休日:無休

【すぱいす】

  • 電話:03-5397-3813
    住所:東京都杉並区荻窪5-16-20
    アクセス:JR線・丸ノ内線「荻窪」駅西口南側から徒歩2分
    営業時間:11:30~(L.O.14:30)、17:30~(L.O.21:00)、[祝日]11:30~14:30(L.O)
    定休日:日曜

関連記事 活動情報 LIVE情報

「ベーソンズpresents カッコイイ音楽が聴ける日」
出演:ベーソンズ/曽我部恵一
11月7日(金)@新代田FEVER
OPEN 19:00/START 19:30

この記事を作った人

文/ダースレイダー

この記事に関連するエリア・タグ

人気のタグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(12/9~12/15)

エリアから探す