大手町で南仏の風を感じる! 世界No.1シェフが満を辞して開業したガストロノミックレストラン【CYCLE(スィークル)】
2019年「世界のベストレストラン50」で1位に輝き、同年、フランス版ミシュランガイドで三つ星を獲得したフランス・マントン【ミラズール】。シェフのマウロ・コラグレコ氏はフランスで初めて外国人として三つ星を獲得したことで注目を浴びた人物です。そんなコラグレコ氏がバンコク、香港に続き東京・大手町に自身の店をオープン。今話題のレストランを取材しました。
2023年後半は、東京のフランス料理シーンに華やかな移転・新店ニュースが多く舞い込んできました。麻布台ヒルズに移転した川手寛康氏率いる【フロリレージュ】や、世界のトップパティシエ成田一世氏による【ル・サロン・プリヴェ】、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの最上階にオープンした、パリミシュラン一つ星シェフ北村啓太氏による【アポテオーズ】……。世界的に名前の知れたシェフたちが、次々に新しいスタートを東京の地で切ったのですが、その中でも大きく注目された一軒が2023年10月に大手町にオープンした【CYCLE(スィークル)】でしょう。
樹齢300年のオリーブの木がゲストを迎える
【CYCLE】は、南仏マントンにあるミシュランガイド三つ星レストラン【ミラズール】のマウロ・コラグレコ氏が手がけるレストラン。
【ミラズール】は、2019年には世界のベストレストラン50で見事1位に輝き、同年フランス版ミシュランガイド三つ星も獲得。コラグレコ氏は、フランス人以外のシェフとして初めて三つ星を獲得したシェフとなり、一躍注目を集めた人物です。
【ミラズール】の畑は、ベルギー王族の別荘跡地の美しい場所にある
【ミラズール】があるマントンは、レモンが名産の、地中海と山に挟まれたのどかな街。街のいたるところでレモンが売られ、カラフルな家が立つ迷路のような旧市街の上からは南仏らしい陽光に煌めく海を眺められます。
街から少しはずれたイタリア国境のすぐ近くの高台に建つ【ミラズール】は、そんなマントンらしさを存分に味わえるレストラン。目の前の果樹園にはさまざまな柑橘が実り、レストランから少し離れた場所の自家菜園では、なんと1,000種類以上もの野菜を育てています。彼らの料理はそうした畑から生まれているといっても過言ではありません。彼らが大切にするのは、生命と自然のサイクル。そうしたことからも、マントンと同じ哲学でレストランを営む東京の店は【CYCLE】と名付けられました。
天井が高く、開放的な店内。爽やかなランチタイム、ドラマティックなディナータイムと時間によって表情がガラリと変わる
【CYCLE】のシェフを務めるのは、ミラズールで5年間、コラグレコ氏の右腕として働いてきた宮本悠平氏。コラグレコ氏とともに、「世界のベストレストラン50」で1位、そしてミシュランガイド三つ星の獲得という瞬間を分かち合った人物です。「【ミラズール】の料理は、畑がなかったら始まりません。そこで実践しているバイオダイナミック農法の4つの要素『根、葉、花、実』を軸にしたコースが提供されています」と宮本氏。難しい取り組みではあったけれど、日々畑仕事をしてから厨房に入り、コラグレコ氏の思いを料理に落とし込んできたと語ります。
シェフを務める宮本悠平氏
畑から料理が生まれる【ミラズール】同様、【CYCLE】でもコースを多く占めるのは、その季節が育む野菜の魅力を引き出した料理です。「マントンではその日その日に採れたての野菜から驚きをもらっていました。最初のシーズンに取れた豆の甘さ、豆を掃除したときの青々しい匂い。太陽の光を浴びてあったかくなったレモンの味……。どの瞬間も鮮烈に記憶に残っています」。そんな自らの宝物のような記憶をここ東京でも料理に落とし込みたいという宮本氏の思いが、ひと皿ひと皿に込められています。
『サフラン/人参/ラングスティーヌ』。千葉の「naeme」と提携し、自社畑を持つ。現在はハーブやビーツを育てている
例えば、『サフラン/人参/ラングスティーヌ』という料理は、まさにコートダジュールの山と海を写したような一皿。メインとなるのは、ニンジン。アクセントはソースに使われたサフランとライムです。ニンジンの食感と独特の香りが、エキゾチックなサフランとライムの酸味と香りを合わせることでぐっと南仏の顔になります。ねっとりとしたラングスティーヌは温かな海の記憶のように、そっとニンジンに寄り添っています。
『里芋/カフェ/帆立』という一皿は、畑の柔らかい土を想起させます
帆立のだしを使用したクリームソースの上にカットした帆立。けれども、帆立はあくまでも脇役です。帆立の塩味が、ふんわりと掛けられた里芋のシフォンと角切りの里芋が持つ素朴な甘みを引き立てています。揚げた里芋の皮の土っぽい香りの素朴さがこの料理の芯になっていて、アクセントにしたコーヒーの粉があることで全体が洗練された印象にまとまります。
マウロ氏のスペシャリテ『ビーツのカルパッチョ』。塩釜焼きにしたビーツとキャビア、生クリームだけという究極のシンプル料理。【CYCLE】でも食べることができる
コースの料理からはどれも、野菜から立ち上る大地の味わい、フレッシュな柑橘の香りを感じます。それらを重ねて時に力強く、時に繊細な一皿が次々と登場し、わざわざ言葉にせずとも、コースを食べ終わるころには、南仏を旅したような気持ちになれるのです。
「マウロは、とても温かなエネルギーに溢れている人。彼の料理はすごく繊細な料理も、力強いものもあるのですが、すべてにおいて素材の味が際立っています。それは素材を信じているからこそ。僕もそこを大切にしていきたいですね」と宮本氏。
神代栃を使ったテーブルはオリジナルで制作
師と同様に、目の前にある日本の食材に向き合い、信じ、その声を聞いて作った料理には、宮本氏の中に鮮明に息づいているマントンへの愛が自然と滲み出ています。
撮影/玉川博之 取材・文/山路美佐(B.EAT)
-
東京都グルメラボ
風が心地いいオープンテラスで食事が楽しめる、春から初夏にオススメのお店5選|東京
-
清澄白河食トレンド デート・会食
おいしい、楽しい、心地よい。そのあとに地球や環境への気づきが芽生える自然派レストラン|清澄白河【the Blind Donkey】
-
大阪府グルメラボ
爽やかな春風を満喫! 気持ちいいオープンテラスのある郊外のお店5選|大阪
-
六本木・麻布十番・広尾食トレンド
麻布台ヒルズでのデートにオススメなお店5選
-
赤坂グルメラボ
色鮮やかな琉球宮廷料理と和懐石の融合を、極上の隠れ家空間で【沖縄懐石 赤坂潭亭】|東京・赤坂
-
六本木食トレンド デート・会食
待望の東京初出店! 大阪の人気イタリア料理店が、炭焼きを生かしたお店を六本木にオープン【Braceria Buffa(ブラチェリア ブッファ)】
-
東京都デート・会食 グルメラボ
特別なデートを叶えてくれる、オススメの個室があるフレンチのお店5選|東京
-
表参道・原宿・青山食トレンド
「ハラカド」グルメ、新店情報も! |感度の高いヒト・モノ・コトと「出会う」「つながる」「体験する」「楽しむ」新施設が誕生
-
神谷町デート・会食
街場のシェフが麻布台ヒルズで目指す、ライブ感満点のレストラン【Orby Restaurant(オルビー レストラン)】
-
東京都グルメラボ
予算1万5,000円以下でしっかりお鮨を堪能できるお店5選|東京
関連記事
-
2024.04.28旅グルメ
富士山を見に行ったら立ち寄りたい、近辺のオススメ店5選|山梨・富士五湖周辺
-
2024.04.27グルメラボ
風が心地いいオープンテラスで食事が楽しめる、春から初夏にオススメのお店5選|東京
-
2024.04.26旅グルメ
源氏物語の世界を体感できる、注目の宇治で訪れたいお店5選|京都・宇治
-
2024.04.26食トレンド デート・会食
おいしい、楽しい、心地よい。そのあとに地球や環境への気づきが芽生える自然派レストラン|清澄白河【the Blind Donkey】
-
2024.04.25グルメラボ
爽やかな春風を満喫! 気持ちいいオープンテラスのある郊外のお店5選|大阪