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更新日:2024.04.22食トレンド

北陸、その先へ。6名のシェフの想いと声。|「Dining around Noto」レポートと、食を通した未来への架け橋

2024年4月3日に行われた、石川・能登の食とシェフに出合い未来につながるフードイベント「Dining around Noto」。この場限りではない、北陸の未来へと繋げていくことを目指し集まった同志たちによるイベントの様子と、シェフたちからの貴重な“声”をお届けいたします。

Dining around Noto

「Dining around Noto」

「料理人としてできることはないか」と立ち上がった、能登地域のシェフ4名をゲストに迎えた6名のシェフたちによるコラボレーションディナー「Dining around Noto」。会場となった【Social Kitchen TORANOMON】には、その想いに賛同する多くの人々が集まっていました。

    「Dining around Noto」

    この日の会場は虎ノ門ヒルズ ガーデンハウス1F、【Social Kitchen TORANOMON】

実はこちらのイベントは、能登半島地震があった日の翌日に【Auberge"eaufeu"】の糸井章太シェフから【unis】の薬師神陸シェフへ「何かできることはないだろうか」と連絡があったことがきっかけとなったのだそう。元々お2人は料理学校での先生と生徒という間柄で、その信頼関係や密なコミュニケーションが、今回の発信力のあるイベントに繋がったご様子です。

また、集まったシェフたちはみな“同世代”とのこと。日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」を機に繋がった人たちが多いそうで、まさに、これからの食シーンを牽引していく存在の方々。熱い想いを持って集まった同志としての団結力や、北陸の未来へ向かっていくパワーが、場内に溢れていました。

    「Dining around Noto」

    ゲストとシェフが一体となる、臨場感たっぷりの空間

食を通し、未来へ繋げる、シェフたちの想い

    最初のアミューズは、6名のシェフによるフレンチ、イタリアン、洋食、和食の多様なコラボレーションプレート

    最初のアミューズは、6名のシェフによるフレンチ、イタリアン、洋食、和食の多様なコラボレーションプレート

6名のシェフそれぞれの、今回のイベントにおいて考えていらっしゃった“想い”や、これからの未来へ向けての“メッセージ”を頂きました。当日イベント会場で、参加者の目の前で作られた北陸の食材を活かしたお料理とともにご紹介いたします。

【Auberge"eaufeu"】糸井 章太シェフ

  • 【Auberge"eaufeu"】 糸井 章太シェフ

  • 1992年京都府生まれ。調理師専門学校を卒業後、フランスに留学。アルザスの3つ星レストラン【オーベルジュ・ド・リル】で研修を受け、帰国。【メゾン・ド・ジル 芦屋】、ブルゴーニュの1つ星【レストラン・グルーズ】を経て、2017年に帰国。
    2018年若手料理人コンテスト「RED U-35」にてグランプリ(RED EGG)を大会初の20代で受賞。
    2019年、経済誌Forbes Asia主催「30under30 Asia 2019」受賞。2022年、アメリカ・カリフォルニア州の3つ星レストラン【マンレサ】、【フレンチランドリー】で研修。2022年7月【Auberge"eaufeu"】シェフに就任。

    「能登猪のタコス」

    『能登猪のタコス』

-今回の企画に携わることへの想いをお聞かせ下さい。

今回の企画は僕が陸さんに何か能登の応援ができる事をしたい! とお声掛けした事から始まりました。
今回のイベントをきっかけに能登、石川の料理人や人々の事を知ってもらい、未来につながるキッカケになればと思っています。

-その他、想いやメッセージをお聞かせ下さい。

今回のイベントでゲストに僕から何かを伝えたいというより、ゲストの人達に能登、石川の料理人達の事をもっと知って欲しい。料理を通して、人々、風土、ポテンシャルを感じで欲しい。それが、復興そしてその先の架け橋になると信じています。

【Villa della pace】平田 明珠シェフ

  • 【Villa della pace】 平田 明珠シェフ

  • 1986年東京都生まれ。大学卒業後に料理の道へ進む。都内のイタリア料理店勤務の後、食材を探しに訪れた能登半島に惹かれ、2016年に七尾市に移住、レストラン【Villa della Pace】をオープン。2022年、七尾市中島町の塩津海水浴場跡地へと移転、宿泊施設を併設したオーベルジュへとしてリニューアル。ミシュランガイド北陸2021特別版において、一つ星、ミシュラングリーンスターを獲得。
    「RED U-35」2017 SILVER EGG , 2018 BRONZE EGG

    「菜の花のパスタ」

    『菜の花のパスタ』

-今回の企画に携わることへの想いをお聞かせ下さい。

地震から3ヶ月(イベント開催時)が経ち、まだまだ大変な状況が続いてはいますが復旧が進んでいる地域や事業を再開させたり新しい取り組みを行っている人達もいます。料理を通して再び能登へ来てもらったり、これまで能登に来たことのない方たちにも足を運んでもらうきっかけを作りたいと思っています。

-その他、想いやメッセージをお聞かせ下さい。

まず感じてほしいのは能登という土地が持つポテンシャルの高さ。豊富な食材や人と自然が共生する土地の美しさを知ってほしいです。しかし年々人口は減り、その中で今回の震災が起きました。地震の前に戻すというよりも、以前よりもより良い地域にならないと美しい景観は守れません。土地に根差した料理人としてこれからも活動していきますので、長い目で見て応援して頂ければ幸いです。

【Restaurant Blossom】黒川 恭平シェフ

  • 1988年石川県生まれ。専門学校卒業後、京都のフレンチ懐石や、フランスの星付きレストラン、大阪【ラ・シーム】で腕を磨く。北陸新幹線開通を機に、七尾市にある両親が営む【レストランブロッサム】を受け継ぐべく帰郷しシェフを務める。
    「RED U-35」 2023 GOLD EGG , 2019 BRONZE EGG , 2018 SILVER EGG

    『能登の恵みハンバーグ』

    『能登の恵みハンバーグ』

-今回の企画に携わることへの想いをお聞かせ下さい。

まずは薬師神シェフと井口シェフが石川・能登の支援のため、このイベントを企画してくださった事に感謝しています。私の住む地域では、まだ飲める水が使えません。そんな中で、今回は、自由に料理ができる環境で、素晴らしい料理人の皆さんと共に料理が出来る事は本当に嬉しく思います。精一杯楽しみたいと思います!

-その他、想いやメッセージをお聞かせ下さい。

コンセプトは「能登というダイニングテーブルをみんなで囲む事」。各参加者が持つ体験や感情は1人1人違う中で、お互いに支え合いながら前を向いて進んでいます。そんな私たちの想いをこのイベントでお伝えできればと思っています。

【一本杉 川嶋】川嶋 亨さん

  • 1984年石川県七尾市生まれ。短大で経営学を修了後、調理師専門学校を経て、大阪で修業を開始し、全国屈指の名割烹と知られた京都【桜田】など関西の名店を渡り歩き腕を磨く。料理コンテスト「食の都・大阪グランプリ」で総合優勝、2018年に若手料理人コンテスト「RED U-35」でファイナリストに選ばれ、ゴールドエッグを獲得。和倉温泉の旅館で料理長を歴任し、2020年、能登食材の魅力を伝えるべく【一本杉川嶋】を開業。
    「RED U-35」 2018 GOLD EGG

    『甘鯛真丈 新若布 木の芽』

    『甘鯛真丈 新若布 木の芽』

-今回の企画に携わることへの想いをお聞かせ下さい。

震災後、困っている人を料理で助けたい元気づけたい一心、無我夢中でずっと炊き出し配食を行っておりました。今回素晴らしい環境のもと、久々に日本料理を作ることが出来ること、仲間と共に料理を作れること、たくさんのお客様にお越し頂けることが凄く楽しみです。たくさんの笑顔が溢れる素晴らしいイベントになれば嬉しいなと思ってます。

-その他、想いやメッセージをお聞かせ下さい。

発災から3ヶ月が経ち、ニュースで取り上げられる回数はかなり減りました。ニュースで水が出ました、電車が復旧しました、お店が再開しましたと報道され、能登や七尾はもう再建していっていると間違った認識をされているのではないかといつも不安になります。
もちろん復旧し再スタートしているところもあります。しかし現実はまだまだ何も変わっていないのです。瓦礫がどかされブルーシートしてあるだけです。私の自宅もお店も水は断水しております。お店の再開の目処はたっておりません。私が拠点としている七尾市と奥能登では全く状況は違いますし、同じ七尾市内でも状況は違います。お店を再開され今回一緒にイベントを行う平田シェフ、黒川シェフのお店には是非お越し頂き応援して頂きたいですし、どんどん経済を回して頂きたいです。と同時にまだまだ被災している人がいること、再建復興には10年20年それ以上まだまだ時間がかかることを知って頂きたいです。能登が震災にあったことを忘れてほしくはないです。
もちろん被災されている方々はこのままでいいとは思っていないし、笑顔の奥には心が傷付いており本当は苦しい想いをされている方々がほとんどだと思います。みなさん必死に耐えているのです。だからこそ僕たち料理人の役割は大きいと思ってます。食は人を笑顔にし明日への生きる活力となるものだと思ってます。
これからも茨の道が待ち受けていると思いますが、諦めず前だけ向いて一歩ずつ歩んでいきたいと思います。諦めなければ必ず能登は復興出来ると信じています。そのためには皆様のご支援やご声援がこれからもとても大切です。これからも能登の応援を何卒宜しくお願い致します。

【TOUMIN】井口 和哉シェフ

  • 1988年兵庫県生まれ。大阪の調理師専門学校卒業。【タテルヨシノ銀座】、【ル・コントワール・ド・ブノワ】、【ミッシェル・ブラストーヤジャポン】で修行を積む。その後、【ビストラン エレネスク】のシェフとなる。2019年にコスメブランドTHREEが運営する野菜がご褒美となる料理を展開する【REVIVE KITCHEN AOYAMA】のシェフに就任。野菜を中心としたクリエイションを届けている。2023年10月に東京・西麻布【TOUMIN】をオープン。
    「RED U-35」で2016 SILVER EGG , 2017 SILVER EGG

    『白海老のフリットと川端蓮根』

    『白海老のフリットと川端蓮根』

-今回の企画に携わることへの想いをお聞かせ下さい。

薬師神シェフから石川県のシェフたちと未来に繋がるイベントをしよう! と声をかけてもらい参加させていただきました。
今回使わせていただいた石川県の食材はどれも本当に美味しく、また生産者さんも出来ることがあるならなんでもやりたいです! と皆さんエネルギッシュな方ばかりでした。そんな想いのこもった食材やお酒を楽しんでいただき今回のイベントをきっかけに石川県に足を運んでいただけるよう、また今回限りでなく継続して魅力を伝えていけるようにこれからも連携しあっていきたいです。

-その他、想いやメッセージをお聞かせ下さい。

石川県のシェフや生産者さんと連携を取り合うなかでまだまだ万全な状態で料理するには程遠いと改めて実感し、ふとコロナ禍を思い出しました。当時働いていたお店は半年近く通常営業ができず料理人としては早く全力で料理がしたいと強く思っていて、なので今回はシェフの皆さまと思い切り料理する瞬間をゲストの方々と一緒にテーブルを囲み、料理を通して石川県の魅力・エネルギーを楽しんでいただきたいです。

【unis】/Social Kitchen ディレクター 薬師神 陸シェフ

  • 1988年愛媛県生まれ。2008年辻調理師専門学校を卒業。同校フランス料理講師としてスタートし、教育指導・テレビ料理監修・雑誌制作などにも携わる。その後、2014年予約困難なレストラン【SUGALABO】の立ち上げからシェフとして国内外を飛び回り、日本の素晴らしい食にまつわるコンテンツをシェアするため料理を振る舞う。
    2020年12月より虎ノ門ヒルズ【unis】シェフ、2021年1月より「Social Kitchen TORANOMON」ディレクターとして活動。日本で唯一のカリナリープロデューサーという肩書きで“食のリテラシーを磨く”をコンセプトに、新しい料理人の在り方や企業・社会とのレシピ・商品開発にも意欲的に取り組み、新たな食体験の提案を続ける。
    「RED U-35」 2015 SILVER EGG , 2017 GOLD EGG

    『ころ柿と焙じ茶のグラス 福みりんのメレンゲ』

    『ころ柿と焙じ茶のグラス 福みりんのメレンゲ』

-今回の企画に携わることへの想いをお聞かせ下さい。

「復興」「チャリティー」というニュアンスではなく、「新しく生まれ変わる」ための築きになればと思い、今回東京・虎ノ門という場所で多くの方が集まりやすく、今後につながる出会いになればと思い企画しました。
当初の見込みの倍の人数のご予約を頂戴し、お客様皆さんの「何かしたい」というメッセージを受け止め、お料理を通じて還元していきたいです。

-その他、想いやメッセージをお聞かせ下さい。

まだ能登の一部の地域では、全く手付かずで自衛隊やボランティアも撤退するような状況もあります。
そんな中、いつも炊き出しを率先している七尾のシェフ達が、「いつも通りに料理ができる環境」をやはり作りたく、料理を通じて感じていただける事を大切にしたい。シェフ1人1人のストーリーを感じてもらいたいと思っております。

未来への想いを込めて

本イベントが行われたのは、一夜限り。ですが、今回限りで終わらせることなくこれからも継続的な繋がりを考えていらっしゃること、そしていつかは能登でも「Dining around Noto」が開催できれば、との話が出ていました。
シェフそれぞれのお話を伺っても、この日だけではなく“北陸の未来”を見据えていらっしゃるご様子がとても印象的。今後も益々目の離せない6名のシェフとお店、そして“北陸の未来”に、日々思いを巡らせずにはいられないでしょう。

    「Dining around Noto」

    「Dining around Noto」に集まった、料理人の皆さま




この記事を作った人

鈴アヤ(ヒトサラ編集部)

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