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更新日:2022.10.31旅グルメ

「命をいただく」ということ|【AGRISCAPE(アグリスケープ )】北海道・札幌

夏の終わり、秋の涼しさに手の届く頃、【アグリスケープ】に行ってきました。北海道・札幌の中心部から車で20分、里山の山中にあるレストランです。そこでの食体験は「食べる」ことを真正面から見つめるような、素晴らしいものでした。

アグリスケープの豚ロースト

札幌市内の里山に佇む一軒家レストラン

    アグリスケープ外観

    畑を通り抜けた先にある、シックながらも温もりを感じる一軒家。アプローチの脇にはハーブが植えられています

もともとはたまねぎ農家だったという場所に立地している【アグリスケープ】。その大きな特徴は、レストラン運営だけでなく、自家畑で野菜や果実を生産し、家畜として肉用鶏、採卵鶏、黒豚、ヤギの飼育も行なっている点です。

    アグリスケープ内観

    ほっとする店内からも、豊かな山の自然に癒されます

シェフの吉田夏織さんは、札幌【ル・ミュゼ】や【Restaurant SIO】で経験を積まれた温かいお人柄が印象的な素敵なかたです。自然のままを大切にしながらも、彼女ならではの感性で独創的で美しい料理をつくられています。

アグリスケープの料理は「生産」からはじまる

    アグリスケープの畑

    8月の終わりだったので、今季最後のとうもろこしたちが収穫のときを待っていました

事前に吉田さんへご相談し、料理をいただく前に畑や動物の飼育を案内していただきました。レストランのすぐ脇を見せていただいたのですが、ここ以外にも、車で少し行ったところに別の畑もあり、約2haの畑で野菜や果樹を生産。北海道の広大で豊かな土壌を感じます。

    アグリスケープの養蜂

    養蜂まで行なっているというので驚きです

収穫したばかりの夏野菜は、普段口にしているそれとは味や香りがまるで別物。採れたてなのは野菜だけでなく、豚や鶏卵もそう。ここでいう「料理」は「調理」を意味するものではなく、食材が生まれるところから始まり、お皿の上に乗るまでの過程と捉えているように感じます。

  • アグリスケープの羊

    羊や豚のほかにも、ヤギや鶏も飼育

  • アグリスケープの豚

すべてが繋がっていると気付く「いただきます」

これから料理に生まれ変わる、生きた食材を目にして胸がいっぱいのまま、着席。座席からも暮れていく太陽や、みずみずしい緑を側で感じ、人は自然のなかで生きていることを改めて思うのです。

    アグリスケープの野菜

    料理につかう夏野菜をお披露目

夏の終わりは1年のなかで最も種類の多い時期だそう。秋の野菜も含まれ、じゃがいも、枝豆、なす、UFOズッキーニ、ピーマン、万願寺とうがらし、ししとう、マイクロきゅうり、マリーゴールドも食用です。五感が研ぎ澄まされた状態で見る、これらの鮮烈な美しさ。忘れられません。

    夏の北海道を味わう『トマトのムース』

    夏の北海道を味わう『トマトのムース』

コースの最初にいただいたのは、畑で見たとうもろこしを使用した前菜とおつまみ。北海道のとうもろこしは、やっぱり甘みが格別に感じます。そして現れたのは『トマトのムース』。中にはマリネしたトマト、上はトマトとマリーゴールドのシャーベットで、その華やかな香りに高揚し、たっぷりのトマトで夏の終わりを噛みしめます。

    アグリスケープのソーセージ

    『豚のソーセージ』。新じゃがいものポテトチップも

吉田さんは、豚を料理するときに出る、内臓や皮も無駄なく加工して使います。そのひとつがこちらのソーセージ。豚肉の腸と頭の部分を使っていますが、癖や臭みがまったくなく、酸味のあるソースととても合います。「おいしい」ことは、サステナブルな取り組みを続けていくうえで、とても大切なことだと感じました。

    本日のメイン『子豚のロースト』

    本日のメイン『子豚のロースト』

今日のメインは豚肉。10ヶ月の子豚は料理に生まれ変わりました。心から「いただきます」と声が出ます。パプリカソースで仕上げていて、断面は綺麗なピンク色、しっとり肉厚で草の香りがします。

    アグリスケープのシャーベット

    今日のデザートは『プルーンのシャーベット』

この夏は特に素晴らしかったというきゅうりを主役にしたお皿や鶏肉のお皿、養蜂した自家製のはちみつのお口直しなどをいただき、デザートは、プルーンを使用したシャーベットとハーブのゼリーです。7月に咲いて刈り取ったラベンダーは、8月の終わりに二度咲きするのだそう。

    アグリスケープの内観

    吉田さんはヒトサラベストシェフにも選ばせていただいています

食べることは、命をいただくこと。それは理解していても、遠ざけて考えてしまうことかもしれません。ここで得た経験がそれを変えてくれました。「サステナブル」という言葉がひとり歩きしているような昨今。生産の場の現実を知り、自然と日々向き合っている【アグリスケープ】だからこそ、消費者に正しく伝わるのだなと感じました。心から豊かになれる食体験をした夏の終わりのことです。

この記事を作った人

ヒトサラ編集部・宿坊 アカリ

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