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更新日:2018.03.05健康美食 グルメラボ 連載

小鳥鳴き、結露落つ。朝夕の残寒に備える、車浮代の「江戸の変わり飯」レシピ三品

時代小説家で江戸料理・文化研究家の車浮代さんに、現代人が忘れてしまった江戸の素朴で豊かな食事情を教えていただく第八弾。気温差が激しいこの季節。ウイルスを寄せ付けない身体を作る、江戸の変わり飯レシピ三品をご紹介します。ごゆるりとお愉しみくださいませ。

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 気温差が激しいこの季節、日中の陽射しの暖かさに油断していると、朝、起きた時に喉が炎症を起こしていることがあります。栄養価の高い旬の食材を意識して摂取し、ウイルスを寄せ付けない身体を作りましょう。

朝夕の残寒に備えるレシピ三品

『芹焼飯』(二人前)

芹が持つ、独特の苦味と香りが癖になるご飯です。

■材料(二人前)
・芹…6株程度
・温かい御飯…2杯分
・醤油…小さじ1
・胡麻油…小さじ2
・削り鰹…適量

■作り方
1)芹は洗って7cm程度の長さに切る。
2)フライパンに胡麻油を引き、1をサッと炒めて醤油を回し入れ、削り鰹をまぶした御飯に乗せる。

 日本各地で自生する芹は、『古事記』や『神大記』にも登場する、数少ない日本原産野菜の一種です。様々な調理法がある中で、古くから好まれたのが「せりやき」という料理です。
 
 野営などの際、地面を掘って石を並べ、その上で火を焚き、石が熱くなったところに芹を乗せて莚(むしろ)などで覆い、芹がしんなりしたところで醤(ひしお)や柚酢(ゆずす)をかけて食したようです。
 
『芹焼飯』は、削り鰹をまぶしたご飯に「せりやき」を乗せただけのシンプルな料理ですが、野趣溢れる芹の風味が、鮮烈に春の訪れを感じさせてくれます。

『赤貝飯』(二人前)

赤貝の漬けをご飯に乗せました。

■材料(二人前)
・赤貝…2個
・温かい御飯…2杯分
・きくらげ…適量
・醤油…小さじ2
・刻み海苔…適量
・小葱…適量
・わさび…少々

■作り方
1)赤貝は殻から外し、内臓を取り去る。身とヒモを塩でもみ洗いし、細切りにして、醤油を絡めておく。
2)きくらげは(乾物なら水で戻しておく)さっと茹でて水に晒し、千切りにして1と混ぜる。小葱は小口切りにする。
3)温かい御飯に刻み海苔をまぶし、2を乗せてわさびを乗せ、小葱をまぶす。

 太古から食べられてきた赤貝は、江戸湾で大量に獲れていた、安価な食材でした。特に江戸前の赤貝は人気があり、江戸で誕生した握り鮨のネタに欠かせませんでした。
 
 ちなみに、他に定番の鮨ネタは、玉子焼き、車海老、海老そぼろ、白魚、鮪の漬け、こはだ、煮穴子で、江戸後期の1カンの値段は8文(200円程度)。現在のおよそ4倍もの大きさがありました。

 冷蔵庫のない時代ですから、鮨ネタは全て仕事がしてあり、現在のように生の魚介をそのまま切って食べる、ということはほとんどありませんでした。食あたり防止のため、ネタに火を入れるか、漬けにするか、酢で〆るかで、赤貝は一度酢洗いしてから調理されていました。

『鴨肉の卵がけ飯』(二人前)

故・池波正太郎先生の大好物。鴨の煎焼を乗せた卵かけご飯です。

■材料(二人前)
・鴨(合鴨でも可)…200g
・温かい御飯…2杯分
・塩…少々
・酒…大さじ2
・醤油…大さじ2
・みりん…大さじ2
・卵…2個
・醤油…少々
・葱…適量
・薬味(七味、粉山椒など)…少々

■作り方
1)鴨は5mm幅にスライスする。
2)1を元のブロックの形に重ねて箸で固定し、フライパンに皮面を当てて、弱火でじっくりと焼く。脂が滲んできたらフライパン全体になじませ、鴨肉をバラして並べる。中火にして両面を軽く焼いたら、酒、みりん、醤油を加えて、汁気がなくなるまで煎りつける。
3)卵を溶いて、塩と醤油で味を付ける。葱は刻んでおく。
4)茶碗に温かい 御飯を盛り、2を乗せて3をかけ、お好みの薬味を添える。

 江戸の町では、基本的に肉食が禁じられていましたが、鳥肉は食べても良いとされていました。中でも鴨は、塩引鮭と並ぶ人気のお歳暮で、高級食材でもあったので、特に大事な人に贈られました。また「鴨鍋を食べると一年風邪をひかない」と言われるほど、スタミナ食として定着していたようです。

 寛永20年(1643年)に刊行された『料理物語』という料理専門書に、当時食べられていた鳥の名が書かれているのですが、「鶴・白鳥・雁・鴨・雉子・鸞 (ばん)・鷺(さぎ)・鶉(うずら)・雲雀(ひばり)・鳩・鴫(しぎ)・水鶏・桃花鳥(つぐみ)・雀・鶏」と、豊富なラインナップに驚かされます。

この記事を作った人

取材・文/車浮代

時代小説家/江戸料理・文化研究家。著書に『江戸の食卓に学ぶ』『江戸おかず12ヵ月のレシピ』『今すぐつくれる江戸小鉢レシピ』、ベストセラーとなった『春画入門』『蔦重の教え』など多数。TV・ラジオ、講演等で活躍中。国際浮世絵学会会員。http://kurumaukiyo.com

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