東京・大衆酒場。ひとり酒デビューは不朽の名酒場へ!
大衆酒場でひとり酒。ただ、不慣れな人が知らない店にひとりで暖簾を潜るのは、ややハードルが高い!? 確かに酒場によっては独自のルールがあるのは事実。だからこそひとり酒のデビューは名店へ。百戦錬磨の飲ん兵衛が集う店で、まずは大衆酒場の魅力を肌で感じとりたい。
-
明治38年創業、東京最古の居酒屋とさえいわれる【みますや】
旨く、安い魚を味わうため、飲ん兵衛が行列をつくる【魚三酒場】
昭和初期建築の建物で、いぶし銀の雰囲気に酔いしれる【みますや】
神田は外堀通りから一本入った路地裏。神田司町のオフィス街に、東京最古といわれる居酒屋があります。ここ【みますや】が創業したのは今から110年以上前、明治38年のこと。緑青が吹き出た建物は昭和3年に建てられた看板建築で、その佇まいからして風格が伝わってくるの名店です。
ただし、ここは決して畏まった店ではありません。今でこそ予約がなければ入店が難しい店となりましたが 、ここはあくまで大衆酒場です。3代目の店主も「昔の客はお酒を1、2杯飲んでサッと帰る人が多かった。この神田は職人の町でしたからね」といい、幼い頃は店の土間が遊び場だったと笑います。
関東大震災後の復興のシンボルといえる看板建築の建物
それを裏付けるように、店にはこんなエピソードが残っています。それは先の大戦中のこと、空爆による火の粉がこの店にも襲ってきたといいます。しかし、当時は統制中で酒はおろか食べ物さえろくに手に入らない時代。近所に住む男衆たちは「ここがなくなっては、酒が飲めなくなってしまう」と、バケツリレーによる水かけで、この店を火の粉から守ったというのです。そのかいあって店は類焼を免れました。それを物語る、黒く焼けた柱の一部が今も店の一部に残っています。
そう、大衆酒場とは何も特別なものではなく、日々の暮らしの中に息づくものなのです。火消しに奔走した男衆たちも、きっと毎日のささやかな楽しみの一部を守ろうとしただけに違いありません。
『こはだ酢』や『牛にこみ』など、昔ながらの酒場メニューが揃う
肴は、3代目が自ら筆をとった短冊に、『こはだ酢』『ぬた』『柳川鍋』『牛にこみ』など、昔ながらの品書きが並びます。奇をてらった料理は何ひとつありませんが、どれも酒飲みの勘所を押さえたものばかりで、お酒も全国の名酒がずらり。いぶし銀の空間をじっくりと楽しみ、名酒肴に舌鼓。大衆酒場の魅力を知るにはまさにうってつけの一軒です。
魚が安く、旨い。元魚屋の気骨を感じる門前仲町の名店【魚三酒場】
門前仲町の名店として有名な【魚三酒場】。“せんべろ”なる言葉が登場して久しいですが、メディアで特集が組まれれば、必ずといっていいほどその名が登場する酒場です。
見るからに色艶のいい中トロ。分厚い切り身は赤身と脂のバランスが秀逸
その理由はもちろん、名物である魚料理が安く、旨いから。壁一面に120種ほどの短冊が並ぶメニューのほとんどは300円台が中心で、なかには『あら煮』50円というメニューまであり、日本酒もコップ酒が180円で楽しめるという驚くべき価格です。それを実現できるのは何と言っても、この店の前身が魚屋だから。毎朝築地に足を運び、値切って、納得のいくものだけを仕入れてくる魚がメニューに並ぶのです。
1階はコの字カウンターをふたつ繋いだような造り。開店と同時に1階はほぼ満席に
そんな店だからこそ、ここではひとつの掟のようなものがあります。料理は必ず魚からのオーダーが鉄則。それは、この店の根底に「美味しい魚を、少しでも安く味わって」という魚屋時代からの想いがあるから。
客同士が肩を寄せ合うように座るカウンターは決してくつろぐ雰囲気ではありません。開店前の行列もこの店ではいつものことです。ただ、そうまでして人々がここを目指す理由が、この店にはあるのです。
この記事を作った人
取材・文/吉田 慎治
-
渋谷食トレンド
“平日の夕方から”“土日の昼間から”、一人で気軽に立ち寄れる日本酒のお店|渋谷【ベジ串 創作おでん ぬる燗佐藤】
-
神戸元町食トレンド
まさに魚好きのための一軒! 鮮魚店が営む専門店で旬の魚と日本酒を堪能|【わさびと魚】元町
-
東京都グルメラボ
【揚げ物】秋の夜長にビールと楽しみたい! 揚げ物がおいしい東京のお店まとめ
-
東京都グルメラボ
【中国料理 美虎(みゆ)】五十嵐美幸 ×燗酒師 水原将|コラボレーションレストラン「美燗(みかん)」
-
目黒食トレンド
本格和食と日本酒のペアリングが楽しめる|目黒の隠れ家【つきはし】
-
全国グルメラボ
惜しまれつつ閉店した【燗酒BAR Gats】がオンラインで復活! 会員限定の遊び場「ガッツラボ」
-
東京都グルメラボ
プロの料理人も通う、日本酒がおいしい都内の店5選|シェフがオススメするお店
-
六本木デート・会食
日本酒「長谷川栄雅」× 大阪のフレンチ【ラシーム】高田シェフ | 旬の野菜のアテと楽しむ日本酒ペアリング
-
日本橋食トレンド グルメラボ
12品でなんと6000円! フレンチ×和の創作料理店【Cuisine SHINGO 日本橋】
-
伊丹食トレンド
各店オリジナルの「創作甘酒ドリンク」が楽しめる【伊丹 甘酒ちょい割るプロジェクト】