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更新日:2018.08.23連載

「東京よんなな酒場」 #1 | 絶品『藁焼き鰹たたき』で一杯やりたい! 新橋【浪漫亭 新橋店】

「よんなな」とは全国の都道府県の数を表す言葉。東京にいながらにして日本津々浦々、各都道府県の名物料理を、おいしいお酒とハートフルなもてなしとともにいただける酒場。そんな店を“東京よんなな酒場”として紹介していきます。連載第一回となる今回は、高知県の郷土料理を出す酒場にうかがい、絶品の『藁焼き鰹たたき』で一杯やってきました。

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さっぱりと元気が出るつまみで飲みたい

だれに聞くまでもなく、みんな思ってるに違いない。2018年の東京の夏は暑い……。連日、体感温度は40度を超すド猛暑。いや、こうも毎日暑いとやっぱり飲みたい。

「でも昨日も飲んだし……、よし! 今日は休肝日にするか!」なんて思ってるのは午前中だけで、誰に言うわけでもない“心の口約束”。

夕方にもなれば、いつものように冷えた瓶ビールをちびりと注いで、渇いた喉をきゅっと涼やかに湿らしたい衝動がふつふつと湧き上がってきてしまうヘベレケ酒呑童子なアナタ。

連日の飲酒で胃は疲れ気味、暑さで体はバテ気味、「コッテリなものはちょっと……」ってなる気持ち、よくわかります。

そこで、そんなアナタにおすすめしたいのが『鰹たたき』です。ポン酢でさっぱり、ニンニクやショウガをつければ元気もでるし、お酒もすすむ。しかもこれからの季節は“戻り鰹”がおいしくなり、さらにお酒がすすむ……。

そして、『鰹たたき』といえば高知県。ということで今回は、この季節にいいことずくめの『鰹たたき』を求め、高知県の郷土料理が味わえる酒場へと足を運びたいと思います!

本格高知料理でゆっくりと飲める
【浪漫亭 新橋店】

    本店は高知市、支店は新橋店のみという店舗展開に気概を感じる。一部メニューに違いはあるが、郷土料理メニューは高知本店と同じ。

新橋に降り立つたび、周辺にお勤めの方々がうらやましく思える。肝機能低い系酒場ライターの樽井カンゾーです。

今回お邪魔する【浪漫亭 新橋店】は、そんな魅力的な新橋駅前の雑多な飲み屋街を抜け、桜田公園向かいのツタヤの脇の路地を入った一角にあります。歩いて店の前に着くと、その店構えの立派なこと。まるで旅館のよう。そこはかとなく、新橋のほろ酔い天使(♂)たちを、懐深く受け入れてくれる包容力を感じさせます。

店に入るとすぐに、「いらっしゃいませ!」という素敵な笑顔の店長・山崎さんの声。掘りごたつ式のテーブル席へ案内してもらい席に着きます。

    気さくなもてなしで迎えてくれる店長の山崎沙織さんは、高知県出身。また、料理長の阿部さんも高知出身だ。

なにはともあれ『藁焼き鰹たたき』を注文。先にしっかり冷えた瓶ビールだけいただき、お通しとともにかるく肝臓を温めておきます。

その間、店長の山崎さんに店の話を聞くと、元々の高知本店は開店28年目、こちらの新橋店も22年目と、店としての歴史は浅くありません。地元だけでなく東京でもずいぶん長いこと愛されているお店なんですねぇ!

長く愛されているだけあって店内の活気は衰え知らず。19時も過ぎれば毎日のように賑わう新橋店ですが、山崎さんによると、「本店はもっと賑やかですよ。高知の人は飲み方が尋常やない(笑)」とか。この情報だけで、高知の人がなんとなく頼もしく思えてしまうのは私だけ……?

    お通しは、ほんのり甘辛く煮たサツマイモの茎。これだけで、瓶ビールがなくなってしまうほどにおいしい。

お品書きを眺めてみると、まず料理の種類が多いことに驚きます。高知県の郷土料理だけでなく、いわゆる一般的な居酒屋で見かける一品料理もあり、その数なんと80品以上! これだけのアテがあれば、1週間通っても毎日違うもので飲めそうだ……。

これが【浪漫亭 新橋店】の飲ます逸品!
『藁焼き鰹たたき』

    店長の山崎さんおすすめの日本酒、辛口の土佐鶴小瓶とともに。ビールでも焼酎でも、もちろんだれもとがめはしない。

そうこうしていると
「こちら『藁焼き鰹たたき』です」と早々に主役が登場!
瓶ビールはとうに消えてしまったので、山崎さんおすすめの日本酒に切り替えます。

表面にしっかりとついた焼き目とは対照的に、身は透き通るような淡いルビー色をしており、なんともうまそう! 早速いただきます!

    大葉、ネギ、ワカメ、ニンニクを添え、自家製の「ちり酢」にひたってでてくる。

分厚く切られた鰹を、一口でいく贅沢たるや……。

ほおばってみると、さっぱりとした「ちり酢」の味と香りに、ぷりっと厚みがあり、食べ応えのある新鮮な鰹の食感。噛むほどに、赤身の味が濃く感じられて、うまい!

そして、生鰹の香りと藁焼きで付けた薫香が一体となって口の中に広がります。この薫香はオトナの味だな。きりっと辛口の日本酒がすすむねぇ!

薬味はお好みですが、ニンニクはおろさずスライスで豪快にいただくの高知流。これがまた元気出る!

鰹とニンニクスライスで味が強くなるかと思いきや、【浪漫亭 新橋店】の「ちり酢」は柚子の香りがしっかりと付いていて、驚くほど爽やか。

暑い日でもさっぱりといただけて、すぐに次の一枚へと箸が伸びます。

    鰹たたきは注文が入ったあとに一斗缶に藁を詰め、藁焼きにする。

料理長の阿部さんに話を聞くと、「鰹の食感をそこなわないよう、表面だけを強い火で一気に焼くのがポイントです」とのこと。ちなみに、鰹は高知の漁船が獲ってくる鰹を使っています。

もう一つ、塩とニンニクでいただく『藁焼き鰹たたき(塩)』もあります。鰹の新鮮さと香りがよりダイレクトに伝わり、シンプルながら体験したことのない味わいで、こっちにハマる人も相当いるんじゃないでしょうか!

高知料理と、魅惑の『日本酒 お試しセット』

『藁焼き鰹たたき』を食べ終えて、日本酒の小瓶もすっかり空に。「よし! 高知の郷土料理で地酒を飲むぞ」と意気込んでメニューに目をやると、『日本酒 お試しセット』なる文字が。

店長の山崎さんに聞いてみると、「うちで出してる高知の地酒11種類のうちから3種類選んでもらって、それで950円。値段は関係ないので、好きなの選んでくださいね!」とのこと。

これは嬉しい、とばかりに迷わず注文します。

    地酒を3種類選んで伝えると、「やっぱり大体みんな値段が高いのから攻めるよね(笑)」と店長の山崎さん。

数ある郷土料理メニューのなかでも、とりわけ『いたどり』と『りゅうきゅう』は、家庭でも食べられることが多い高知県民にとっての2大ソウルフードで、懐かしむお客さんも多いそう。

また、ウツボ料理や鯨料理も名物らしく、唐揚げをはじめ様々な食べ方でいただけます。土佐あか牛、四万十ポーク、はちきん鶏など地元の食材を使った肉料理でお腹を満たすもよし、ちびちびとしたつまみで酒が飲みたければ『どろめ』(イワシの稚魚)や『のれそれ』などの珍味があります。〆にお米が食べたくなったら、『鯖寿司』や『土佐巻』(鰹たたきを使った巻き寿司)もいいですね!

それにしても、お酒に合う料理が多そうで目移りする……。「高知の人はお酒好き」というイメージがあるのも頷けるような気がします。みんな肝臓が強いのかな?

  • 青さのりに小麦粉を混ぜ合わせて揚げる『四万十川産青さ海苔天婦羅』。海苔の香りともっちり食感がたまらない。

  • 高知県で親しまれる山菜『いたどり』(左)と、高知の特産品であるハスイモの茎『りゅうきゅう』(右)。

高知県出身の人もほっとできる場所

    19時ともなれば、楽しそうにお酒を酌み交わすお客さんの笑い声で賑わう。この光景もいい酒場の証だ。

開店から時計の針がすすむにつれ、店は徐々に活気を増していきます。

そんな賑やかな空気感を生み出しているのが、きびきびとお店を回す店長・山崎さんの存在。高知には「おきゃく」と呼ばれる酒宴の文化があり、高知流のおもてなしの精神でもあります。そして、山崎さんのその気さくなサービスと笑顔は、まるで高知の人のもてなし好きを、そのまま体現しているかのようです。

そうした心地よい空気に地元を懐かしんだり、ほっとするという感想を残していく高知出身のお客さんも多いそう。

もちろん高知出身でなくとも、おいしい『藁焼き鰹たたき』や高知の料理、そして居心地のいいサービスで、気持ちよくお酒が飲めることに変わりはありません。

やっぱりうらやましいぞ、新橋

さて、3種類の地酒を飲み干し、あまり強くはない私の肝臓もかなり潤ってきました。

時刻は21時を回ったところ。

「お酒を飲むなら飲まれるまで飲む」という昔からのくだらないポリシーも、いい店に行ったとなれば話は別。後ろ髪を引かれる思いではあるけれど、今日はここら辺で切り上げるとします。

いい気分で店を出ると、新橋の街には帰るのやら、次の店に行くのやらわからない赤ら顔の男性がたくさん。しかし、みな一様に楽しそうな表情をしています。

「やっぱりうらやましいぞ、新橋」という思いを新たに、缶チューハイ片手に電車に乗り込みました。

    帰り道で通る桜田公園では、アマチュアラッパーが青空ラップバトルを繰り広げる。もはや新橋の定番の光景だ。(ググってみると、どうやら水曜の夜のみ開催されているようです)

今回訪れたお店

【浪漫亭 新橋店】
電話:03-3432-5666
営業:17:00~22:30、土曜17:00~22:00
定休:日曜日・祝日
住所:東京都港区新橋4-14-7

これまでに紹介した郷土料理の地域

    ※紹介した酒場があるのはすべて東京です

この記事を作った人

写真・文/樽井カンゾー

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