ザハ・ハディドが設計!マカオの新ホテル「モーフィアス」で美食体験を/【Yi】、【Alain Ducasse at Morpheus】ほか
ひときわ目をひく独創的なデザイン。東京・新国立競技場の当初案をデザインした女性建築家、ザハ・ハディッド氏が手がけた宇宙的なデザインホテル「モーフィアス」は、マカオで今一番アツイ場所だ。なかでも注目は、フーディーたちも話題にしている【Yi】や【Alain Ducasse at Morpheus】をはじめとした4種の飲食店。日本の「おまかせ」的アプローチの新世代の中国料理とは?!
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斬新な建築に驚いた後は、レトロモダンな客室で寛ぐ
デュカスの二つ星とビストロ、エルメのカフェが勢揃い
真打は【Yi】。新世代中国料理の可能性に浸るディナーを
斬新な建築に驚いた後は、レトロモダンな客室で寛ぐ
2018年7月のオープン以来、間違いなくマカオの新しいランドマークになっているのが、ガラスと鉄骨で作られた有機的な曲線に目が釘付けになる高層ホテル「モーフィアス」。
この壮大な設計が、2016年に急逝した天才建築家ザハ・ハディドの遺作の1つであることは、ひと目見ただけで分かるほど、彼女らしいデザインだ。
強烈な建築に思わず息を呑む、モーフィアス。全770室。40階に屋外プール。アンチエイジングの女王Margy’s Monte Carloのトリートメントが受けられるスパもあり
この驚きは、天井高が35mというロビーに足を踏み入れても止まらない。ぶくぶくと増殖する謎の生命体のような壁と天井。ガラスの曲面に吸い込まれるように昇って行くエレベーターまでもが、SF映画の世界に入り込んだような錯覚をもたらす!
とにかくこの空間に身を置くだけでも、とりあえずマカオに来る価値があると思わせるモーフィアス。実際に宿泊してみると、美食が充実していて、バランス良く居心地のいいリゾートとしても出色なのだ。
客室に入ると、70年代のSF映画に登場する未来のインテリアのような、シンプルでスタイリッシュなレトロモダン。デザインはグランドハイアット東京と同じ、ピーター・レメディオスだ。ベージュ系に抑えられたほっとする空間になっており、窓を横切る外観の鉄骨を見ると、自分が確かにあの凄まじい建物の中にいることを思い出す。
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全体で2万8000トンの鉄筋、4万8000㎡のガラスを使用したというモーフィアスのロビーは圧巻
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リビングエリア。最新ホテルらしく、充電ケーブルなども使いやすく配備されている
デュカスの二つ星とビストロ、エルメのカフェが勢揃い
そして、訪れるべきはモーフィアスのダイニング。
モーフィアスには、4軒のダイニングがあり、その2つがアラン・デュカスのプロデュース。先日発表されたミシュラン香港マカオ2019で、いきなり二つ星を獲得して世間を驚かせたのが、ファインダイニングの【Alain Ducasse at Morpheus】だ。
幻想的なインテリアが冴える【Alain Ducasse at Morpheus】。Photo: Pierre Monetta
オールデイダイニングでよりカジュアルな【Voyage by Alain Ducasse】は、フレンチのコンフォートフードが充実しており、テリーヌもエスカルゴも隙のない味わいだ。世界のアラン・デュカス系列で初めて、アジアの味覚も取り入れている。
こちらはホテルのメインバーとしても機能しているので、とにかくまずはモーフィアスを体験してみたいという方にもお勧めだ。
朝食やティータイムに活躍するのが、ロビーにある【Pierre Herme Lounge】。サンドイッチやクロワッサン、クロックムッシューなどに加えて、朝食には点心や鉄火丼まで揃えているのが、さすがアジアのラスベガス。もちろんピエール・エルメならではのチョコレート・デザートも傑作揃いだ。
夜になると大人のムードに変わる【Voyage】エントランス
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ピエール・エルメのシグネチャー生ケーキ『イスパハン』をイメージした、フランボワーズのクロワッサン
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鉄火丼さえもファンシーなスタイルに。漬け加減が良く美味!
真打は【Yi】。新世代中国料理の可能性に浸るディナーを
モーフィアスを訪れるなら、必ず予約をして欲しいのが、中国料理店【Yi】。
近年、マカオでは、中国料理のファインダイニングが、カジノホテルの広東料理店を牽引役に急激にレベルを上げており、香港のシェフや食通から「最高級広東料理に関しては、マカオに抜かれている」と嘆く声が聞こえるほど。
そんな声を反映するかのような、先進的で豪華な食体験が約束されているのが、このレストランだ。
エレベーターで21階に上がっているとき、最初に見えてくるのが、龍がとぐろを巻いているかのような金のオブジェ。「テーブルはどこに?」と思いながら、いざ【Yi】へ。
ザハの建築と一体化した、龍の鱗をイメージしたデコレーションがインテリアの主役
実はこのとぐろの内側に全12卓のテーブルが隠されている。半個室風にプライバシーも保たれて、食事に気持ち良く集中できるムードがある。
【Yi】のメニューは、「珍、湯、鮮、海」などすべて漢字一文字で記されただけの、8コースのおまかせコース(1888MOP)のみ。マレーシア出身のウィルソン・ファムと、香港出身のアンジェロ・ウォンという二人のシェフが、一つ一つのメニューを共同で創り上げるスタイル。
若手実力派の二人のシェフは、【ジェイド・ドラゴン】出身のウィルソン・ファム(左)と【ハワーズ・グルメ】出身のアンジェロ・ウォン(右)
【Yi】の料理は、地元マカオで見つけた新鮮な食材と世界中から取り寄せる極上の食材を使い、素材の味を最大限に引き出しながら、広東、上海、潮州、四川、客家など、中国の多彩な地方料理の味覚を巧みに融合させて再構築した、クリエイティブチャイニーズ。
たとえば、さまざまな中国料理に存在する『揚げ蟹爪』なら、オーストラリアやスリランカなど、旬によって異なる産地からとりよせた肉厚のノコギリ蟹を使い、蟹を薄い車海老のムースで包み、それをさらにインテリアの要である金の鱗に見立てたアーモンドで飾る。
シグネチャーの蟹爪料理。毎日コース内容は変わるがシグネチャー料理はいくつか入って来る
一口で2種類の新鮮なシーフードの美味しさと、3種類のテクスチャーが口の中で混ざり合い、さらに金柑ソースを合わせて甘味と酸味で揚げものの油とのバランスを取っているので、味のバラエティを楽しめる。
潮州料理で有名な燕の巣と卵白の蒸しものは、とにかくフニャリと柔らかく優雅で滑らかな、なんとも言えない食感に仕上がっている。
潮州の燕の巣料理をアレンジ。シェフ・アンジェロは潮州系香港人で、広東と潮州、両方の料理のプロフェッショナル
「伝統料理をアレンジしていて、卵白を入れたチキンムース、編み笠茸と燕の巣を使っている。燕の巣が全体の90%ぐらいの量を占めているほど贅沢な料理なんだ」とウィルソン。
普通なら中国の金華ハムを合わせるところに、世界中のハムを試した末に、この料理に最高に合うイタリアの頬肉ハム、グアンチャーレを選択。「ドライエイジして、スライスして、乾燥させて粉末状にしてソースに添えた。旨みたっぷりの脂身のフレーバーが残るように工夫してある」とアンジェロ。
スープ1杯に10kg近い鶏肉を使うほど、とにかく徹底的に食材が持つ天然の美味しさを引き出す手間とコストを惜しまない。さらに驚かされたのが、その厨房チームの構成。
広東省中山の生後23日の石岐鳩を使い、レモングラスでスモークして仕上げたローストは絶品
「それぞれの中国の地方料理の味を正確に保つことで、複数の味を1つの料理に組み合わせても、ぶれない正統派の味が保てる。そのために、広東料理がバックグラウンドの私たちに加えて、上海、四川、北京、台湾など、さまざまな地域の出身者を揃えた16人のシェフチームで作っている」
広東のおなじみデザート楊枝甘露を再構築したデザート。アクセントに添えた揚げ湯葉から油っぽさを完全に排除するのに苦心したそう
そんな極端さと思い切りの良い贅沢さがマカオならでは。ザハの建築が作り出す異空間の雰囲気に浸りながら、驚きに満ちた最先端・最高級の中国料理の粋を思う存分味わえるのだから、価格は手頃と言っても良い。
シェフたちの力のこもったメニューが、迫力ある建築やインテリアと完全にマッチして、さらに食体験を盛り上げる。
すでに多数の常連がいるという【Yi】。毎晩満席が続いているので、予約はお早めに!
大胆さと優雅さがほどよく混ざり合ったインテリア
Morpheus(モーフィアス)
住所:Morpheus at City of Dreams, Macau
電話:853 8868 8888
公式サイト:https://www.cityofdreamsmacau.com/en/stay/morpheus/index.html
Yi
住所:21F, Morpheus at City of Dreams
電話:853-8868-3446
営業時間:18:00~23:00
定休日:なし
Voyages by Alain Ducasse
住所:3F, Morpheus at City of Dreams
電話:853 8868 3436
営業時間:12:00~22:30
定休日:なし
Alain Ducasse at Morpheus
住所:3F, Morpheus at City of Dreams
電話:853 8868 3432
営業時間:8:30~22:30
定休日:月曜日
Pierre Herme Lounge
住所:1F, Morpheus at City of Dreams
電話:853 8868 3400
営業時間:8:00~22:00
定休日:なし
撮影・取材・文/甲斐美也子(ジャーナリスト)
女性誌編集者として勤務後、香港在住12年目。ジャーナリスト、コーディネーターとして、日本のメディアを通じて、グルメ情報を中心に香港を紹介する他、ブログ「香港ときどきマカオ」(hk-tokidoki.com)も好評。ブログをまとめた電子書籍も発売中。
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