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更新日:2019.09.18食トレンド

肉とワインのスペシャリスト3名が鼎談「肉×トラピチェワイン」の、おいしいペアリング

世界トップクラスの牛肉消費国アルゼンチンから、人気ワイナリー「トラピチェ」シニアワインメーカーのセルヒオ・カセ氏が来日。肉料理に定評ある【Ironbark Grill & Bar】ソムリエの高野賢司氏、【鉄板羊サンライズ神楽坂】ソムリエの安東陽一氏とともに“肉ワイン談義”を行った。肉の専門家から見た“肉をおいしくするワイン”とは?

「トラピチェ」で肉料理をもっとおいしく!

 肉料理に欠かせない飲み物といえば、やはり赤ワイン。芳醇で豊かな果実味が、赤身にも甘みのある脂にもしっかりと寄り添ってくれる。“肉とワインのペアリング”は数あるが、合わせてみたいのは“世界トップクラスの牛肉消費国”のアルゼンチンのワイン。1883年創設のアルゼンチンワインの老舗「トラピチェ」は、長きに渡り“おいしいペアリング”を生活に根づかせてきた。

    「トラピチェ」のワイナリー。アルゼンチンワインのリーダー的存在

「トラピチェ」はメンドーサ州に本拠地を置く老舗ワイナリーで、長年にわたり、アルゼンチンワインを牽引してきた。メンドーサは昼夜の寒暖差が大きい大陸性気候で、ブドウ栽培に適した土地。アルゼンチンワインの8割がここから生まれるという。中でも「トラピチェ」は世界的評価が高く、世界的なワイン・コンぺティションで数多くの栄誉に輝いてきたワイナリーだ。

「トラピチェ」の魅力が引き立つ
3つのキーワード

ソムリエから見た「トラピチェ」の深い魅力、肉料理をおいしくする秘密とは?

ラム肉に合うワインを選ぶ大会「ラムワインコンテスト」の審査員である高野氏と安東氏。そして、見事コンテストに入賞(※1)した『トラピチェ オークカスク カベルネ・ソーヴィニヨン』と『トラピチェ オークカスク マルベック』の生産者であるカセ氏。海を越えて、“肉”が繋いだ絆を象徴するような鼎談が始まった。

  • (※1)
    <ラムワインコンテスト2019>
    ・トラピチェ オークカスク カベルネ・ソーヴィニョン2018:グランドラムワイン賞 受賞
    ・トラピチェ オークカスク マルベック2018:ユニークグレープバラエティワイン賞 受賞

    (左から)【Ironbark Grill & Bar】ソムリエの高野賢司氏、「トラピチェ」シニアワインメーカーのセルヒオ・カセ氏、【鉄板羊サンライズ神楽坂】ソムリエの安東陽一氏

カセ:今日は肉とワインのスペシャリストであるおふたりにお会いできてうれしいです。「トラピチェ」には多彩なラインナップのワインがあるので、飲んでいただきたくて、たくさん持ってきました(笑)。

    (左から)『トラピチェ オークカスク カベルネ・ソーヴィニヨン』、『トラピチェ オークカスク マルベック』、『トラピチェ メダージャ カベルネ・ソーヴィニヨン』、『トラピチェ マノス マルベック』

高野:コンテストの時に「トラピチェ」を飲んで、果実味と酸味のバランスのよさが印象的でした。私も今日を楽しみにしていました。

安東:試飲して、どんな料理が思い浮かぶか、考えるとワクワクしますね。

カセ:では、最初に『トラピチェ オークカスク マルベック』から。オークカスクシリーズは、オークの香りと果実のバランスを追求しました。飲みやすく、フレンドリーなワインです。

『トラピチェ オークカスク マルベック』

    『トラピチェ オークカスク マルベック』750ml マルベック100%。「オークカスク」は樽の香りと果実味のベストバランスを追求。タンニンが心地よく、飲み疲れがない。オープン価格(税抜参考小売価格 1,810円)

安東:上品な味わいですね。でも、飲み進めると骨太な印象もある。アロマティックな香りもいいですね。

高野:爽やかな果実感があり、色の濃さからは想像できない優しい深みを感じます。飲み疲れしないのも魅力ですね。

カセ:うれしいですね(笑)。「飲み疲れしない」は、常に私たちが心掛けていること。「トラピチェ」には136年の伝統がありますが、私たちは創業以来、“バランスのよい、飲みやすいワイン”にこだわってきました。

    「日本のソムリエは、赤身や脂の乗り具合など、肉を見極めて繊細なペアリングを提案している。これはすごいことです」とカセ氏

高野:確かに、フード・フレンドリーな印象です。これは赤身肉と合わせてみたい。それも、塩とコショウだけのシンプルなものがよさそうです。

安東:50か月以上育ったマトンもおいしいと思いますよ。塊で焼いて、この果実感と合わせてみたいです。

カセ:お二人ともグレイト! お腹が空いてきました(笑)。では、次に『トラピチェ オークカスク カベルネ・ソーヴィニヨン』を。スパイシーなタンニンを感じていただけると思います。

『トラピチェ オークカスク カベルネ・ソーヴィニヨン』

    『トラピチェ オークカスク カベルネ・ソーヴィニヨン』750ml カベルネ・ソーヴィニヨン100%。チャーミングな果実味で飲みやすく、食事に合わせやすいワイン。オープン価格(税抜参考小売価格 1,810円)

高野:香りがまろやかで、全体的に角が取れた印象があります。これは食事と合わせやすい。オーストラリアのリブアイなど、脂が感じられる肉が、このジューシーさと合いますね。

    『南オーストラリア産ピナクル リブアイ』250g 5,200円「ピナクル(頂上)」という名がついた高品質なリブアイ。ミディアム・レアで焼き上げた肉は、とてもジューシー

安東:トウモロコシを食べて育ったアメリカ産ラムもお勧めです。ワインにミネラルと塩気を感じるので、塩とコショウだけでシンプルに食べたいです。

カセ:アルゼンチンでは肉を塩だけで食べることも多いのです。アサードなどもそうですね。

高野:この二つは、比較的カジュアルなラインですね。品質の高さに驚きました。

安東:コストパフォーマンス抜群ですね。印象的だったのが酸味の美しさ。ブドウは、標高が高いところで育つと酸度が高くなりますが、「トラピチェ」の畑も標高が高いところにあるのですか?

    ブドウ畑はアンデス山脈の麓に位置。ブドウは、湿気がなく乾燥した空気の中で太陽を浴びて育つので、果実味豊かに仕上がる

カセ:ウコ・ヴァレーの標高900mから1000mのところに畑があります。ワイナリーがあるメンドーサはとてもテロワールに恵まれているのです。太平洋からの湿った海風がアンデス山脈に当たりチリ側に雪を降らせるので、反対側のアルゼンチンは湿度が低く、乾燥しています。それでいて、朝夕の寒暖差が大きいので、ブドウは酸度を保ったままゆっくり成熟する。水も、アンデス山脈の雪解け水ですから、自然にピュアな味わいになるのです。

高野:なるほど。ブドウそのもののポテンシャルが高いのですね。

カセ:その通りです。では、次に『メダージャ カベルネ・ソーヴィニヨン』をぜひ。これはメンドーサ・リバー近くの畑の、平均樹齢45年のブドウで造られます。

『トラピチェ メダージャ カベルネ・ソーヴィニヨン』

    『トラピチェ メダージャ カベルネ・ソーヴィニヨン』750ml カベルネ・ソーヴィニヨン100%。創立100周年を記念し、1983年に誕生した同社最高峰のカベルネ・ソーヴィニヨン。オープン価格(税抜参考小売価格 4,310円)

高野:凝縮感がありますね。でも、飲み疲れしない。ブドウ本来の力強さを感じます。カシスなどの香りが顕著なので、これはベリー系やバルサミコ酢のソースと合わせてみたい。

安東:素晴らしいワインです。エレガントで、どこかフランスワインのよう。でも、時間が経つと果実味にふくよかさが出て、アルゼンチンらしさが感じられます。ワインだけでもおいしいと思いましたが、赤身肉のタタキなども合いそうです。牛肉でもラムでもいけますね。

    「アルゼンチンワインの特徴をお客様に説明する際、『トラピチェ』のもつ上品さが、分かりやすい指標になってくれますね」と安東氏

カセ:お二人とも、さすがに肉料理をよくご存じです。マリアージュの可能性を探っていただけて、本当にうれしい。では、最後に『トラピチェ マノス マルベック』を。“マノス”とはスペイン語で「手」のこと。これはブドウは手摘み、選果も手作業で行われる、トップレンジのワインです。畑は標高1400mの場所にあり、ブドウはジューシーさとスパイシーさを備えて育ちます。

『トラピチェ マノス マルベック』

    『トラピチェ マノス マルベック』750ml マルベック100%。「アルゼンチン最高峰のマルベックを」との思いから誕生。収穫と選果はすべて手作業。エレガントなスタイル。オープン価格(税抜参考小売価格 12,960円)

安東:これは偉大さを感じるワイン! 酸味と力強さのバランスが、より高みに上っています。甘みのある脂のフランス産マトンと合わせたら、おいしいでしょうね。

高野:確かに、脂がある肉が食べたくなりますね。ワインは、プルーンやイチジクなどを煮詰めたような凝縮感を感じるので、私は差しが入った牛肉や脂もおいしいラムと合わせてみたい。“肉を呼ぶワイン”ですね。

ピュアな酸味とやわらかなタンニンが、ラム肉の旨味を引き出す

    鼎談の間、カセ氏は、安東氏と高野氏の細やかな分析に感嘆することしきり

カセ:お二人の話を聞いて、「トラピチェ」のワインは世界中、どこの国の肉料理と合うのかを教えていただきました。以前、日本で神戸牛を楽しみましたが、素晴らしかった! 今日は、何か新しい発見はありましたか?

高野:アルゼンチンワインの印象ががらりと変わりました。今までは、“果実味豊かで芳醇なワイン”というイメージだったのですが、「トラピチェ」は果実味と酸味のバランスがよく、様々なレンジがあるので、いろいろな肉料理に合う多様性を感じました。

安東:アルゼンチンワインは、「南米だから果実味が濃い」と思っていましたが、実際は飲み口が柔らかいと思いました。カセさんのお話を聞いて、気候や土壌、昼夜の温度差など、その理由もわかり、有意義でした。

カセ:私は、お二人に具体的な肉料理の名前を挙げていただいたことが興味深かった。私も色々な発見がありました。

    『南オーストラリア産ソルトブッシュラムラック-イチジクのキャラメリゼ ブルーチーズ 胡桃 ルッコラ カレーパウダー』¥4800。キャラメリゼしたイチジクとブルーチーズと共に

安東:お客様に肉料理をよりおいしく楽しんでいただきたいと思ったら、ワイン選びのポイントを明確にするのも必要ですね。たとえばラムなら牛に比べるとやわらかいものが多いし、味つけも基本的にシンプルなので、私は果実味よりも酸の度合いをポイントにしています。凝縮感が突出したワインは、確かに肉と合いますが、飲み疲れしやすいですよね。

高野:私もそう思います。ワインは“バランス”が大事。「トラピチェ」は価格レンジも広く、業態やゲストのターゲット層に合わせて選べるのもいい。なにより、ゲストに喜んでもらえそうというのが、いちばんの魅力ですね。

    「ワインの“物語”を聞くと、ゲストにとってもより印象に残ります。ワインをサービスする時、今日お聞きしたお話をさりげなく伝えられたらと思います」と高野氏

カセ:「喜んでもらえるワイン」という言葉はうれしいです。私も、今回、日本でたくさん肉料理を食べようと思っています。とても楽しみになってきました(笑)。

「トラピチェ」

  • 1883年、アルゼンチン・メンドーサ州に設立。アルゼンチンワインの先駆者として早くから世界でも高い評価を得ている。フレンチオークやステンレスタンクの導入など、時代ごとに最先端のノウハウを取り入れ、高品質のワインを生み出してきた。“アルゼンチン年間最優秀造り手賞”を過去4回受賞するなど、国内外でトップワイナリーの風格を見せている。

お問い合わせ先:メルシャン(株)
0120-676-757(メルシャンお客様相談室)

鼎談者プロフィール

セルヒオ・カセ氏
  • トラピチェ シニアワインメーカー。早くからワイン造りを学び、メンドーサのワイナリーで父と一緒にスパークリングワイン造りに携わる。その後、フランスのボルドーやシャンパーニュ、ラングドック・ルション、イタリアのトスカ―ナなどで研鑽を積む。2000年より「トラピチェ」のプレミアムワインのワインメーカーとして従事。

安東陽一氏
  • 【鉄板羊サンライズ神楽坂】店長、ソムリエ。国産羊を一頭買いする羊肉専門店で活躍。味わいや香り、脂の甘さなど、ラムのあらゆる旨みに精通。マニアックなペアリングの妙味に定評あり。

高野賢司氏
  • 【Ironbark Griii&Bar】アシスタントマネージャー、ソムリエ。南オーストラリアに在住経験を持ち、骨付きラムの味わいに衝撃を受ける。その「幸せな出会い」を基準に「多くの人が飲みやすい味や香りのワイン」、「手が届く価格帯のおいしいワイン」にこだわる。

この記事を作った人

撮影/今井 裕治 取材・文/安齋 喜美子(ワイン&フード ジャーナリスト)

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