更新日:2020.01.10旅グルメ
130年の歴史を紡ぐ「帝国ホテル」で体験すべき、5つの物語
2020年11月に開業130周年を迎える帝国ホテル。海外の要人をもてなす迎賓館の役割を担っての開業以来、その歴史は、伝統を守りつつ新たな時代をつくり出す真摯な姿勢で積み上げられてきた。そんな日本が世界に誇る「帝国ホテル」で体験すべき5つのサービスを紹介する。
玄関から一歩足を踏み入れると、格調は高いが、どこか親しげでもあるロビーが出迎えてくれる。そして、その奥には、通いつめたくなる場所がある。プロの心意気に感動するサービスがある。心躍る催しがある。そんな多彩な物語と情報を紹介する。
ジェントルマンを育て続けた帝国ホテルで体験すべき5つの物語
■1:『オールドインペリアルバー』でマティーニを注文する
椅子や照明、グラスに至るまで、フランク・ロイド・ライトのデザインを復刻したものが使われている
大正時代から帝国ホテルに伝わる『マウントフジ』など、数々のオリジナルカクテルを味わうことができる一方で、100類以上をそろえるシングルモルトも常連の間では人気とか。様々に楽しめる【オールドインペリアルバー】だが、ここでのおすすめは、熟練のバーテンダーの技が生きるマティーニだ。
ジンベースのシンプルなカクテルだが、マティーニにはアレンジレシピが250とも300とも言われるほど存在する。たとえば、「ウォッカマティーニを。ステアせずにシェイクで」というレシピは、『007』シリーズのジェームズ・ボンドの名台詞としても有名だ。
幾度となく通って、熟練のバーテンダーたちから自分好みのマティーニを見つけたい。そして、カウンターに座ったら、「ぼくのマティーニを」とオーダーしたい。
カクテルフレーバーのマカロン『カクテル』3個入り。1,800円(税込)
ホテルショップ【ガルガンチュワ】は、「帝国ホテルの味をご家庭で」をコンセプトに1971年にオープン。店名は16世紀フランスの作家フランソワ・ラブレーの小説に登場する美食家で大食漢の王様の名前だ。
常連客が目当てにする定番も数多いが、男の手土産にもふさわしい薀蓄のある新商品も登場する。
たとえば、9月にリニューアルしたマカロン『カクテル』は、ホテル内のバーで提供されるオリジナルカクテル『ローズ アダージョ』をはじめとする3種類のカクテル・フレーバーのマカロン。辛口のシャンパンやウイスキーにもよく合う。よって、ジェントルマン御用達としたい。
年齢や地位も関係なく分け隔てなく接し、どんな靴も丁寧に磨き上げるキンちゃんを慕う常連は多い
帝国ホテル本館地下1階には、知る人ぞ知るシューシャイン・スタンドがある。目印は、エレベーターを乗り降りする人が行き交う空間に設けられた植木に囲まれた一角。がっしりした特注の革張りのソファに座った客の靴を、片足約5分で磨き上げるのは、「キンちゃん」の愛称で親しまれている熟練の靴磨きの職人だ。
帝国ホテル近くのビルに入っていた靴屋で働いていたところを、1970年代に、当時の総支配人、犬丸一郎氏にスカウトされ、同時にシューシャイン・スタンドが設けられたという。帝国ホテルの歴史の1ページを飾る存在だ。キンちゃんから積極的に話しかけるわけではないが、古い映画の話など、きっかけがあると会話が弾むという陽気な人柄。ロビーやバーでの待ち合わせの前に、身繕いの仕上げに立ち寄りたい
『牛ヒレ肉のモルト香らせた塩釜のロースト』。ジェントルマンをイメージして仕上げた、杉本雄の特別なひと皿。※参考メニューで、以前のイベントで提供された一品
2019年4月、帝国ホテル東京に20年ぶりに新たな東京料理長として就任した杉本雄さん。その任務は、350人以上の料理人を束ねること。決まったレストランの厨房に立つというより毎日分刻みで宴会を含めた様々な厨房を回っている。そんな杉本料理長による、一夜限りのフルコースを堪能できるディナーイベントが、1年に複数回の予定で開催される。
こうした帝国ホテルの料理長による一期一会の美食会は、第11代料理長村上信夫によって1978年にスタート。その後、田中健一郎前料理長から、杉本料理長へと受け継がれてきた。
就任間もない杉本料理長による記念すべき第1回「杉本雄のサンセリテ」は、今年7月にメインダイニング【レ セゾン】で開催され好評を博した。待望の第2回は、来春1月24日に開催予定。美食会の名の“サンセリテ”とはフランス語で「誠意」。杉本料理長自らの命名による。杉本料理長は自らの料理を「シンプル」と言い切る。食材に対して誠意を尽くし、素材の本質を引き出す料理との向き合い方が「シンプル」という意味である。
創造性と誠意でもてなされる極上のディナー。選りすぐった旬の食材の本質が引き出された料理とシャンパンやワインとのセッションに、期待で胸が高鳴る。
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本館インペリアルフロアで滞在中の様々な要望に応えるゲストアテンダント
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100年の歴史を持つ帝国ホテル自動車部の歴史を受け継ぐホテルハイヤー。ドライバーは全員、サービス介助士の資格を持つ
世界中から訪れるジェントルマンの心を摑む帝国ホテルの魅力のひとつに、宿泊サービスがある。
たとえば、帝国ホテルハイヤー。ホテル内の自動車部誕生が1912年。
1973年には、ホテル利用者のためのハイヤー会社、株式会社帝国ホテルハイヤーが設立されている。送迎だけでなく、滞在中の移動や観光コースの案内などにも対応。「帝国ホテルハイヤーのドアが、帝国ホテルの玄関口」という声も聞こえるほどだ。
極上のサービスを受けられるのが、本館14〜16階に位置する特別階インペリアルフロアのスイートルーム。フロア専任のゲストアテンダントが控え、館内外の案内やレストランの予約など、きめ細やかな対応をしてくれる。もちろん、丹念に磨いて届けられるシューシャインサービスや、映画『JM』でキアヌ・リーブス演じる主人公が「洗濯を頼みたい。東京の帝国ホテルでしてくれるような」と言うシーンがあるほど技術の高さが知られるランドリー・サービスも利用することができる。
2005年、開業115周年の大規模リノベーションによって誕生した「フランク・ロイド・ライトスイート」。ライトの名を冠することを世界で唯一許可されたスイートルームだ。「プレミアムパスポート130」のオプションで宿泊できる
そして、開業130周年を記念して、スイートルームでの宿泊や、杉本料理長がそのゲストのために書きあげるオリジナルメニューを食するなど、帝国ホテルを存分に楽しめる商品「プレミアムパスポート130」(130万円 サービス料・消費税・宿泊料込み)を発売。その体験こそが、ジェントルマンを磨き上げるまたとない機会になるに違いない。
この記事を作った人
MEN'S Precious編集部
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
PHOTO :篠原宏明 WRITING :堀 けいこ
記事元:MEN'S Precious
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