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2016.11.06旅グルメ 連載

  • 韓国料理
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アジア・フーディーズ紀行 vol.11:韓国・ソウル【La Yeon】

上海、シンガポール、バンコク、台北、香港……アジアの混沌は、料理においてもモダンを超越するのか? そんな直感を確かめるべく、アジアのガストロノミーを巡る第11回。今回はソウルで、高級韓国料理のトップの座を守り続ける【羅宴(ラヨン)】です。

伝統的であるからこそ新しい“礼と格式で準備した韓食正餐”【ラヨン】

 【チョンスク】【ミングルズ】と2回にわたって、コンテンポラリーな韓国料理を紹介してきましたが、伝統的な韓国料理が魅力を失っているわけではありません。
 その代表格が、この【羅宴(ラヨン)】。2015年はNo.38、'16年はNo.50と着実にアジアベストレストラン50にもノミネートしている実力派です。

ソウルきっての名門ホテルの23階に鎮座する“韓食正餐”

 韓国を代表するホテルの一つ「ソウル新羅ホテル」の23Fに、この【ラヨン】はあります。地下鉄「○○」駅からすぐのところにホテルのエントランスはあるのですが、敷地が広くそこからの道のりも長いことが特徴です。
 と言っても、ここを利用する方はたいていタクシーなどでの利用でしょうが。

 エレベーターで23階まで上がると、まずウェイティングルームが目を引きます。最近は、良いお店でも省略されることも多いスペースですが、フォーマルな食事ではやはりあってほしいものです。この【ラヨン】が韓国レストランにおいては、グランメゾン級だという店の格式がうかがえます。
 席に着くと、抜群の眺めです。さすが、さすが一流ホテルの高層階!といったところでしょうか。

 食前にシャンパンをいただきましたが、白や赤を含め、ワインのラインナップも秀逸です。焼酎( ソジュ)やマッコリなど韓国を代表するアルコールも、もちろん豊富に揃っていますが、やはりインターナショナルで評価されるお店は、何料理であろうと、優れたワインリストを持っていることは必須のようです。

食材の良さが目を見張る前菜

 ランチコースのメニューは、『礼』(98,000韓国ウォン)と『羅宴』(170,000韓国ウォン)の2種類。メインとご飯ものは、2~3種から選ぶプリフィクスで、今回は『礼』のほうを選んでみました。

  • 上:ブラインドテストで食材を厳選したナツメを使ったチップスと海藻でつくった煎餅
    左:緑茶も上品

 前菜を待つ間のスナックに、ナツメのチップスとメセンイという海藻で作ったおせんべいが。気軽にポリポリ食べ始めたのですが、これが美味い。食事自体が入らなくなるくらい、ついつい食べすぎそうなので、なんとか自制。

 前菜の一皿目は、すり流し。山芋の下に人参が潜んでいますが、茶わん蒸しのようなふんわり加減です。
 二皿目は、鮑。ふんわりと軽く火入れした鮑が、韓国らしいナムルの上に乗ります。

  • 左:『生人参と長芋のすり流し』
    下:『鮑の味噌水刺身』

 そして、『ニベのチヂミ』。これまで食べてきたチヂミとは違い、まるでオムレツのようなふんわり具合が印象的です。

 メニューブックにも記載されていたのですが、この【ラヨン】では食材は全国から厳選され直接仕入れた旬のものだけが使われているとのこと。
 前菜の上品さがただようまろやかなテイストからも、そのコンセプトが徹底されていることが伝わってきます。

最高ランクの韓牛を使ったメインと、鮑を丸ごと使った釜飯

 そういこうしているうちに、コースも佳境を迎え、メインに。
 この日は『ロース焼き』『網焼きプルコギ』『カルビの蒸し物』がありましたが、シンプルに『ロース焼き』を選んだのですが、これが絶品。

 霜降りのしつこさはないのですが、柔らかくジュッと口の中に肉汁が溶けていきます。
 スタッフに聞くと、国内産の韓牛でも1++という最高ランクの牛ロースの中でも最も柔らかいコッサルという部位を使用しているとか。この肉を専用熟成庫で寝かして、一番美味しい状態で焼いているそうです。

    『鮑塩混ぜ釜飯』

 食事(ご飯もの)は、『鮑塩混ぜ釜飯』で。これもまた美味也。

古いものはいつも新しい。そんな一回転した現在の伝統料理のかたち

 最後は爽やかにスイカのソルベを使ったポンチに続き、韓国伝統の小菓子とお茶で〆。

    『スイカのソルベ』

  • 上:『スイカポンチ』
    左」『伝統菓子と伝統茶』

 韓国料理というと、どちらかと言うとB級的な旨さだと思っていたのですが、この“礼と格式で準備した最高の韓食正餐”を標榜する【ラヨン】のランチを体験してみて、かなりイメージが変わりました。
 伝統的な調理法を基本にしながら現代的な要素も取り入れた韓国料理と言ってしまえば簡単ですが、その伝統の可能性を感じさせるものでした。
「繊細かつ上品」。それを極めていくと、非常にナチュラルなテイストになるようです。
 そのナチュラルさは、ある意味では現在のイノベーティブな料理の最先端が追求するスタンスに近くなっていきます。
 古いものはいつも新しい。そんな一回転した現在の伝統料理のかたちが、ここソウルでもあったようです。
 

La Yeon

営業時間:ランチ 12:00~14:30 ディナー 18:00~22:00
定休日:無休
電話番号:82 2 2230 3367

予約の仕方

 電話はもちろん、オフィシャルwebからの予約フォームもあります。日本語対応もしているので便利です。

ドレスコードと店の雰囲気

 きちんとしたホテルレストランなので、それなりの格好を。
 韓国語はもちろん英語でのコミュニケーションはまったく問題ありません。スタッフにもよっては日本語ができる方もいました。

次回でソウルも最終回。あの世界的フレンチの巨匠の韓国での試みを紐解きます

この記事を作った人

撮影・取材・文/杉浦 裕