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更新日:2024.06.20旅グルメ 連載

韓国・ソウル【Eatanic Garden(イータニック・ガーデン)】~ヒトサラ編集長の編集後記 第68回

韓国料理と聞くと、キムチや焼肉、ビビンバ、参鶏湯……と、味やスパイス感の強いがっつりしたイメージを持ちがちですが、今回ご紹介したいのはそういった伝統料理の新解釈です。伝統的な料理をまったく新しく捉えなおすことは、ファインダイニングの世界では日常的に行われてきていることですが、美しくてカジュアルにおいしい、といったところまでできているお店はなかなかありません。

eatanicgarden

まずは食材を絵で説明

今回訪れたお店【イータニック・ガーデン】は今年開催された「アジアのベストレストラン50」で62位を獲得したソウルにあるレストランです。朝鮮パレスホテル江南の36階にあるガーデンのような趣のレストランで、ミシュランの星も獲得しています。

シェフのソン・ジョンウォンさんはニューヨークやコペンハーゲンで修業してきた人で、予定より到着が遅れ焦っていた私を、丁寧な英語で優しく迎えて入れくれました。

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カウンターに座り、とりあえずシャンパーニュをいただき、サービスの方から説明を受けます。面白いのは食材等の説明がついた絵が料理ごとに用意されるのだそうで、シェフの絵心が感じられます。

まずはタケノコのミルキーなスープで少しお腹を少し温め、そのあとに前菜が4つ出てきました。

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チュワクという伝統菓子をアレンジした一口サイズのアミューズです。からすみやコンテチーズでつくられたモチモチのもの、チャプチェ風の野菜、揚げたじゃがいものなかにユッケ入ったもの、鶴の形をした海苔の菓子。それぞれに温度や食感が面白く、手が凝っています。

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花に囲まれたマッコリが出されます。
「コッジャムというマッコリで、花畑のなかでお眠りという意味です」と紹介してくれたのはソムリエのキムさん。「飲みやすいからつい飲みすぎちゃって、寝ちゃうくらい気持ちいいお酒です」。
確かにフレッシュなヨーグルトのような飲みやすさ。料理に入る前に出来上がってしまいそう。

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タラの芽の絵とともに2種類の料理が用意されました。手前は炭火焼きしたタラの芽の冷菜で、奥は海老がつまった天ぷらです。松の実と味噌でつくられたソースが香ばしいドレッシングになっていて、春っぽい爽やかさを感じます。

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次は豆を使った茶碗蒸し風の料理にキャビアが乗せられています。韓国でつくっているキャビアだそうです。ソムリエが合わせてくれたのは瑞雪という焼酎。ギンギンに冷やして雪を噛むような感じで合わせてほしいと。これもなかなか面白いペアリングです。

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サービスがキャビアを追加してくれ、海老風味の強い揚げた米菓子が出されます。齧るとスッキリしたあとから海老の旨みが追いかけてくるようです。

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トマトの料理です。ワインはピュイイ・フュメ。2種類のキムチが出されます。白菜キムチにはトマトやタコやナマコやヒラメがくるまれています。もう一方はトマトベースのキムチの浅漬けです。どちらもトマトの旨みがキムチの酸味と合わさって、実にいいハーモニーを奏でています。

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もうひとつ同じワインでいただくのはビビンバ。麦飯の上に9種類の野菜が綺麗に並べられていて、マハタの炭火焼や韓国味噌が入っています。おなじくマハタの骨でとった出汁でつくる味噌汁が添えられています。混ぜて食べてくださいと言われても、なかなか混ぜるのか惜しいような美しさです。

参鶏湯、焼肉、冷麺という王道

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参鶏湯が登場しました。このサイズに鶏半分を濃縮させているのだとか。そしてソムリエがオーストラリアの1850年の古木からできたというワインを用意してくれました。双方の香りのハーモニーがすばらしい。
参鶏湯の中にはもち米や銀杏、高麗人参など参鶏湯で使われる食材がぎっしり詰まっています。参鶏湯スープが添えられていますが、これはかけないで肉を食べながら少しずつ味わってほしいとのこと。

食べる箇所によってさまざまに味変するところが面白く、スープの飲み方でもそこが変わってきます。そしてそれらを後押ししてくれるような古木のワイン。ピノノワールのそれかと思いきやブドウはグルナッシュ。おそらくデカンダージュして時間がたっているのでしょう。まろやかに参鶏湯全体を包み込むようなおいしさです。

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結構満足しているとシェフが肉の皿を持ってきてソースをかけてくれます。トッカルビが最後に出てくるとは思ってもいませんでしたが、この流れではありですね。牛肉とアワビの組み合わせも伝統的なものですとシェフ。ソムリエがCh.ラフィット・ロートシルトの新ワイン「アンセイヤン」を合わせてくれました。これもおいしい。

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〆の冷麺です。チェジュの菜の花の醤油漬け、水キムチ漬けなどが乗っかっています。そして半分食べたらキムチスープを追加し、キムチシャーベットも入れて味変です。〆の冷麺はお酒で火照った体を冷ましてくれていいですね。

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デザートはユグァというお菓子とシッケという発酵米のジュースです。シッケには苺が使われています。

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そしてヨモギともち米のお菓子、それにアイスとケーキ。伝統的に箸で食べてほしいと箸が添えられます。

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最後はチェジュの麦茶をいただいて終了。遅く着いたせいか、店はもう終わりの様子です。邪魔にならないようシェフやスタッフと少しだけ話をしてお店を出ました。

カジュアルな見せ方の中に詰められた美意識と伝統。それをおいしさに包んで行う丁寧なプレゼンテーション。いやあ手ごわい。
今度ソウルへ来る機会があったら真っ先に予約したいレストランだと思いました。

【Eatanic Garden】
住所:36F Josun Palace Hotel, 231 Teheran-ro, Gangnam-gu, Seoul, 06142, 大韓民国
電話:+82 2-727-7610

この記事を作った人

小西克博/ヒトサラ編集長

北極から南極まで世界100カ国を旅してきた編集者、紀行作家。

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