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更新日:2017.02.27グルメラボ

文学の世界の食事を楽しむ。名作小説に登場するメニューを食べられるお店

夏目漱石の「坊ちゃん」の主人公が好きな蕎麦や、「不思議の国のアリス」のお茶会など。食事のシーンの登場する名作文学を数えはじめれば限りがありません。そんな印象的な場面を彩る「文学世界に登場するメニュー」を食べられるお店を紹介します。

文学の世界の食事を楽しむ。名作小説に登場するメニューを食べられるお店

名作由来のメニューと共に、文学の世界にどっぷり浸れる都内のカフェ

 駒場東大前駅から徒歩約8分、東大キャンパス横の駒場公園内にある日本近代文学館の一角にあるユニークなカフェが、文学カフェ【BUNDAN COFFEE & BEER】です。天井までびっしりと2万冊の本で埋め尽くされた店内には、落ち着いた雰囲気の椅子とテーブルがしつらえてあります。

 古今の名作に触れられるばかりでなく、谷崎潤一郎の「蓼喰う虫」に登場する『レバーパテトーストサンドイッチ』や、梶井基次郎の「檸檬」にインスパイアされた『檸檬パフェ』など、名作小説に登場するメニューや、名作にちなんだメニューが用意されています。他にも『芥川』や『鴎外』などそれぞれゆかりの文豪の名が付けられたコーヒーなど、食事や飲み物のメニューひとつひとつが文学と関わりをもっていて、メニューにその由来が詳しく説明されています。また、店内には文学にちなんだ雑貨に加え、名作小説に登場するメニューのレシピ本なども販売されています。

蓼科で温泉旅行のついでに、名作に登場するお酒で過ごす大人の時間

 山と渓流に抱かれた長野県蓼科高原にある、露天風呂の宿【蓼科温泉ホテル親湯】には、ちょっとユニークなお酒のメニューが用意されています。

 ドリンクメニューとして、様々な名作小説に登場する12種のカクテルを、その文脈の紹介と共に楽しむ事が出来るのです。例えばサリンジャーの「The Catcher in the Rye(ライ麦畑でつかまえて)」で主人公が注文した『スコッチ・アンド・ソーダ』(小説ではウェイターに未成年と見破られ、やむなくコーラにする)をはじめとして、ヘミングウェイ、三島由紀夫、村上春樹、石田衣良など、古今東西の名作小説に登場するカクテルが、登場シーンの紹介文と共にラインナップされています。

 文学作品の世界に思いを馳せながら静かにグラスを傾けるのもよし、もしメニューの中に以前読んだ事のある作品が見つかれば、きっとお酒を飲みながらの会話もはずむ事でしょう。

初春の岡山で様々なカフェが工夫をこらした名作小説のメニューめぐり 

 岡山市で毎年初春の頃に開催されている「おかやま文学フェスティバル」では、市内の多数のカフェが参加して名作小説に登場するメニューを提供する、「おいしいおみせ」というイベントが行われています。例年2月中旬~3月下旬頃まで様々なメニューを市内各所で楽しむ事が出来ます。

 今年(2016年)提供されたメニューの一部を紹介すると、トーベ・ヤンソンの「楽しいムーミン一家」に登場する『サーモンの北欧クリームスープ』や、アニメ映画にもなった角野栄子の「魔女の宅急便」で主人公のキキが大晦日に作った『肉団子のトマト煮込み』、他にも「赤毛のアン」や「白雪姫」など様々な作品にちなんだメニューが出品されていました。

 文学に興味があって、今回ご紹介したお店に行く機会のある方は、是非これらのメニューを楽しんでみてはいかがでしょうか?

 また、残念ながらお住まいが遠くて難しいという方もいらっしゃるかと思いますが、最近では日本の各地で地元ゆかりの小説やアニメ、映画等とコラボしたメニューを出すお店も多くなってきました。自宅の近所や旅行のついでに、ネットなどでそうしたお店を探してみると意外な発見があるかも知れません。

この記事を作った人

斎藤 健(フリーライター)

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