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更新日:2022.11.22食トレンド 旅グルメ

熊谷の一軒家フレンチ【ビストロ・エミュリシエ】で出会う、知られざる熊谷食材の魅力!

埼玉県・熊谷市。全国屈指の小麦の生産量を誇り、それを生かした「熊谷うどん」がご当地グルメとして有名ですが、じつはあまり知られていないだけで、ほかにもたくさんの魅力的な食材があります。そこで、今回は豊かな自然に恵まれた関東平野随一の食材の宝庫・熊谷から、地場の食材の魅力が存分に感じられる素敵な一軒家レストランをご紹介します。

熊谷,一軒家フレンチ,ビストロ・エミュリシエ

知られざる熊谷食材の
魅力が味わえるレストラン

埼玉県・熊谷市。利根川と荒川に囲まれ、その伏流水に恵まれた平野は美味しい食材が育つには好条件な土地で、県内でも有数の野菜・穀物の産地として知られています。

とくに小麦の生産量は関東一。その小麦を使った「熊谷うどん」がご当地の名物グルメとしては有名で、うどん食の文化が地域に根付いているから市内にも「名店」と呼ばれる店が多数あります。

    名物「熊谷うどん」。噛むとしっかりしたコシがあり、小麦の香りと甘みが広がる

    名物「熊谷うどん」。噛むとしっかりしたコシがあり、小麦の香りと甘みが広がる

……ですが、先ほどもお伝えしたとおり、熊谷は県内でも有数の野菜・穀物の産地。じつはうどん以外にも、さまざまな魅力を秘めた食材がたくさんあります。

そんな熊谷食材の多彩さ、美味しさを味わえるレストランを、今回は紹介していきたいと思います。

お箸で食べられるフレンチ・ジャポネーゼ
熊谷【ビストロ・エミュリシエ】

    “エミュリシエ”とは、フランス語で「感謝remercier・感動emu・ユリの花lie」の3つを合わせた造語

    “エミュリシエ”とは、フランス語で「感謝remercier・感動emu・ユリの花lie」の3つを合わせた造語

それが、こちらの【ビストロ・エミュリシエ】さん。「お箸で食べられる日本産フランス料理」をコンセプトに、旬の食材を使って丁寧に仕立てたフランス料理がいただけるお店です。

フランス料理、と聞くと肩肘を張ってしまうようなお店じゃないか気になりますが、こちらはまったくそういう感じではなく、しぜんとリラックスできるような雰囲気。絵本に登場しそうな一軒家の扉から中に入ると、まるでシェフのお宅に招かれているかのような空間が広がります。お箸でいただける、というのも「肩の力を抜いて気軽に味わってほしい」というシェフの思いからなんだとか。

じつは、これまでメディアなどの取材は依頼があっても断っていたそうですが、今回は「熊谷の食材の魅力が伝わるなら」と、ご協力していただきました。

熊谷の大地の美味しさを味わう
『熊谷食材の前菜の盛り合わせ』

    前菜は爽やかな旬の野菜の美味しさを味わう料理を中心に4種類を、彩り豊かなプレートで

    前菜は爽やかな旬の野菜の美味しさを味わう料理を中心に4種類を、彩り豊かなプレートで

まずは『熊谷食材の前菜の盛り合わせ』から。左上から時計回りに紹介します。

『彩たまごのブルイエ 自家製パンチェッタ添え』
  • ブルイエとは、スクランブルエッグのこと。熊谷米豚を使った自家製のパンチェッタと岩塩が彩たまごの美味しさを引き立てる。

『熊谷旬食材のアスピック』
  • 「アスピック」とは煮こごり料理の一つだが、今回は野菜のみで成形。熊谷の野菜の香りと苦味、甘みをダイレクトに感じられる一品。

『熊谷県産青パパイヤと人参のラペ』
  • じつは青パパイヤも、近年の熊谷の特産品。爽やかな酸味の青パパイヤと人参をスパイスを使い、軽やかにエスニック風にまとめ上げる。

『フルーツトマト“くまとま”のエスプーマ カプレーゼ仕立て』
  • トマトの酸味を際立たせたエスプーマとバジルのソースで、“くまとま”の甘さが際立つ。程よい大きさのチーズの脂肪分がいい。

前菜4種類に共通して際立っていたのが、塩加減の絶妙なバランス。たとえば彩たまごのブルイエ(左上)では、卵の中に岩塩が隠れているのですが、そのアクセントが彩たまごのさわやかな甘みと香りを一層感じさせます。

ほかの3品もその絶妙な塩梅によって、食材の甘み、風味が際立っていて、まさに「食材を味わうための料理」としてつくられているのがわかる前菜です。

やわらかくジューシーな肉質の豚と
風味豊かなもち麦の焼きリゾット

    ゆっくりと丁寧に火を入れたことが伝わってくる、きれいなピンク色の断面

    ゆっくりと丁寧に火を入れたことが伝わってくる、きれいなピンク色の断面

メインは、熊谷米豚「穀王」肩ロースのグリル、古代もち麦のリゾット はちみつとグリーンペッパーのソース、のふたつのメニューが融合した一皿です。

「穀王」とは、飼料の75%以上をお米で育てられた熊谷のブランド豚。さっぱりとした脂身と肉の風味の濃さが両立するのが特徴です。噛めば柔らかく、脂身の軽さからか見た目のボリュームよりも軽く感じるのですが、しっかりと豚肉の美味しさは感じるという、いいとこ取りのようです。

また、豚肉の奥に隠れているのが、古代もち麦を使ったリゾット。古代もち麦とは、古くから栽培されている日本在来種の系統のもち麦のこと。麦の皮ごと押し麦にしており、栄養価が非常に高い食材なんです。この古代もち麦を焼きリゾットとして仕上げているのですが、白米のみでつくるリゾットに比べて軽やかなことに加え、風味がとてもいい。

なにより豚とリゾットの相性のよさ。グリルとリゾットという形で再構築してはいますが、いってみれば豚肉と米で“豚丼”のような組み合わせ。相性が悪いはずがありません。

デザートにも熊谷食材を盛り込んで

    いずれのデザートも苦さをまとわせて大人好みの味に

    いずれのデザートも苦さをまとわせて大人好みの味に

最後のデザートは、彩たまごのクレームブリュレ、特選 生ティラミス、古代もち麦のPetitシュークリーム マロングラッセとアイスを添えて、と3種類を一つのお皿に盛り合わせた贅沢なラインナップ。

焼きリゾットにも使った、古代もち麦を粉末状にして、シュー生地としても使用するほか、熊谷で栽培がさかんな栗、彩たまごなど、デザートにも地元食材を使って仕上げています。

マロングラッセに感じる栗の自然な渋みと甘味、クレームブリュレに感じる卵の香り、風味までしっかりと味に活かされていて、甘いものばかりなのに不思議と食べていても飽きることがありません。

地域の食材を美味しく味わうなら
その土地のレストランがいちばん

食材に無理をさせない料理は、どこか軽やかで、体にもやさしい感じ。野菜の使い方も非常に多彩で、爽やかな食後感でお腹と心が満たされていくかのようなバランスのよさです。

そしてなにより、食材の魅力を一番に引き出している料理から、熊谷に対する愛、地元生産者とのつながり、多くの人に熊谷食材の魅力を伝えようというお店側の思いが感じられてきます。

「地元の食材は、その土地のレストランがいちばん美味しく料理する」。まさしくそんな思いが湧く【ビストロ・エミュリシエ】さんへ、ぜひ知られざる熊谷食材の美味しさを味わいに出かけてみてください。

この記事を作った人

撮影/中込 涼 取材・文/郡司 しう

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