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ヒトサラChef’s Table ダイジェスト vol.3 ゲスト・山本秀正シェフ3話『大統領の料理人』 - シェフの本音と食のネクストトレンドが聞けるトーク番組

プロとして料理をこよなく愛する人々(dish artist)をゲストに、食のネクスト・トレンドを語るトーク番組「ヒトサラ シェフズ・テーブル」。ここでしか聞けない本音トーク、飲食業界の未来など、旬な情報をお届けする美味しい時間をお楽しみください。

ヒトサラChef’s Table ダイジェスト vol.3 ゲスト・山本秀正シェフ3話『大統領の料理人』 - シェフの本音と食のネクストトレンドが聞けるトーク番組

ビバリーヒルズで人気を博した店に、一本の電話がかかってくる。それはホテル【リッツカールトン・ワシントンD.C.】から、山本シェフを総料理長として迎えたい、という内容だった――。格式高く、伝統あるレストランの総料理長に着任するやいなや、マネージャーからは、「大統領就任式の晩餐会の料理を任せる」と言われる。何度も試食会を重ね、山本シェフが晩餐会で出した料理とは。大統領の料理の好みからちょっとした裏話も交えつつ、シェフが当時の思いと出来事を語り出す。

第3回:大統領の料理人

【リッツカールトン・ワシントンD.C.】へ

山本:当時の【リッツカールトン・ワシントンD.C.】は、こぢんまりとしたホテルでレストランがひとつ、バーがふたつ。レストランはケネディ大統領の就任式でも使われたことから、政治に関わる方が利用する場所になった。オーナーは、このワシントンD.C.のコテコテのフランス料理を変えたいと言うんです。

――どんな料理だったんですか。

山本:メニューを見てびっくりしました。僕の2世代くらい前の料理かと思うようなメニューがいくつも並んでいて。しかも、パブかバーだと思っていた場所がレストランだった。窓がひとつもなくて真っ暗で、テーブルクロスが赤と白のギンガムチェックで。すごくかっこ悪い。でも、とにかくここで総料理長をやってくれと。本人は正直そこまでエキサイトしていなかったんです。

大統領就任式の晩餐会

――【リッツカールトン・ワシントンD.C.】の総料理長として、1985年にレーガン大統領の晩餐会を仕切ります。

山本:僕が入ったのが9月で、11月の末に選挙があるんですね。で、次の大統領が決まったときに、ジェネラルマネージャーが「うちで就任式晩餐会やるから。料理をやってね」と。これは躊躇しますよね。「メニューはどうするの?」ともうパニック状態で。

――いきなりメニューを決めるんですか?

山本:ホワイトハウスからメニュープランナーが来るんです。うちにもプランナーがいて、試食会でもとにかく言い合いましたね。全員女性でしたが、言い方もめちゃくちゃ厳しいんです。試食会も6回目にはもう、顔が引きつっていました。

――何を出せばいいんだと。

250人分のコース料理

大統領就任式の晩餐会で出さなければいけないのは、ゲスト250人分の料理を一気につくる宴会料理。経験したことのない状況ながら、考えを張り巡らし、攻め方を構築していく。「正直、その頃のアメリカは焼き加減はうるさくありませんでした。でも僕はそこが一番大事なところだと思っていたんです」と、全員分の魚の火の入れ方には、こだわりを貫いた。その結果、晩餐会は大成功。そこから山本シェフは、レーガン大統領、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領、クリントン大統領と3代にわたって、晩餐会を歴任することとなる。

ゲストプロフィール

山本 秀正 氏

1956年、東京都生まれ。84年【リッツカールトン・ワシントンD.C.】総料理長に就任。米国レーガン大統領晩餐会総料理長を経て、ブッシュ氏、クリントン氏と3代にわたり米国大統領の晩餐会総料理長を務める。2005年には【マンダリンオリエンタル東京】初代総料理長に就任。現在、シンガポール【マリーナベイ・サンズ】をはじめ、国内外のレストラン監修などインターナショナルに活躍する。

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ヒトサラ編集部

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