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更新日:2024.06.13食トレンド

「この地球を、わが家の庭のように」。環境に想いを馳せるレストラン【CIMI restorant】南新宿/代々木

「日々生産者の思いのこもった食材に触れ、料理をする私たちは、この地球をひとつの庭だと考えるようになりました」。野菜とナチュラルワインを楽しめる南新宿にあるレストラン【CIMI restorant】は、このメッセージをおいしい料理とともに発信しながら、これからの地球について一緒に考えようと活動しています。この出合いは私自身に、「ちっぽけな自分に何ができるか」を前向きに考えるきっかけを与えてくれました。

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    小田急線南新宿駅から徒歩約6分。代々木駅からも10分程度の立地です

    小田急線南新宿駅から徒歩約6分。代々木駅からも10分程度の立地です

清澄白河に移転したことでも話題になった人気店【the Blind Donkey】の姉妹店でもある【CIMI restorant】は、今年3月のオープン。日中は【FarmMart & Friends】として、日本各地から厳選した素晴らしい食品とドーナツ店として営業し、夜にはレストランへと変貌します。

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    食料品はレストラン営業時にも購入することができる

    エジプト塩

    かの有名な『エジプト塩』もラインナップ。天然塩・スパイス・ナッツをミックスした万能調味料で、素材の持ち味を引き出すので、旬の野菜に合わせるのにぴったりです

そもそも【CIMI restorant】にはどんな想いが込められているのか。
「CIMI(ちみ)は日本語では“地味”と書き、その土地が持つ味わいや滋味深さの意味を込めています。またrestorantの“to”は“restore”=“回復”の意味を込めていて、人間の手によってバランスを崩してしまった地球の健康を回復させるためにはどうすべきか、ここで研究をしながら、来てくださったお客さんとも一緒に考える場所であり、プロジェクトでもあります」とは店主の向井さん。

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    店内には、大きなレッドシダーのテーブルがひとつのみ

写真のテーブルひとつをとっても意味があります。「内装は「スキーマ建築」の長坂さんにお願いしました。このテーブルはアラスカからやってきた樹齢数百年のレッドシダーですが、ねじれているので使うのが難しかったそうです。それをここに持ってきていただき、端材もスプーンに生まれ変わりました。みなさんで一つのテーブルを囲んでいただくのもいいなと感じています」。いろんな価値を見落とさないように、大切に使う姿勢がいろんな箇所から浮かび上がってきます。

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    席にはメニューと、思いの込められた冊子が

食事は19時から3皿のコースが一斉スタートとなりますが、お店のオープンは18時からなので、先にワインを飲んだり食料品を見ながらゆっくりすることもできます。店名の由来や、それに込められた思いがギュッと詰まったお店の冊子を読みながら、ワイン片手にコースの始まりを静かに待つ時間も悪くありません。

    Fattoria AL FIORE  Ohno Field Blend 2021

    1杯目に宮城県「Fattoria AL FIORE」 の『Ohno Field Blend 2021』をレコメンドいただきました

「Fattoria AL FIORE」は、宮城県で2015年からワインをつくっているFattoria(農場)です。2014年に最初の畑を開墾した時には、周囲は耕作放棄と過疎化が進んでいた場所で、そこを「人が集まる場所」にできないかと考え農園を開き、ブドウの樹を植え始めたのだそう。同店の想いに通じる部分があるようなワインを考えてセレクトしているように思います。

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    1品目『香川 小豆島 HOMEMAKERS ロメインレタスのサラダ』

ここで料理がスタートします。料理は基本的にプラントベースで構成しているそう。これは香川県・小豆島にある「HOMEMAKERS」から届いたレッドロメインレタスを使ったサラダで、レモンのドレッシングであえています。そこにオレンジを煮詰めたソースと、小さな賽の目のお野菜は紅くるり大根、ビーツのピクルス。芯まで甘いロメインレタスを箸で取り、頭からシャクっと噛み締めると喜びもひとしおです。

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    2品目『香川 小豆島 HOMEMAKERS 春の菜の花』

同じく「HOMEMAKERS」から届いた菜の花に、白インゲン豆をペーストにしたスープです。新鮮な菜の花のポリっとした食感に、スープの塩味は丸みを帯びながらもしっかりしていて、ワインが進みます。同店のお隣【パン屋塩見】のカンパーニュをつけていただいてもよし。

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    3品目『長崎 雲仙 竹田かたつむり農園 黒米と山菜のピラフ』

こちらは在来種の黒米を使ったピラフ。中にはふきのとう、こごみ、うるいと、春の山菜がふんだんに使われていて、ごまの風味が効いています。春の味覚でもあるやさしい苦味、そしてパワフルな黒米は滋味深く、ミネラル感やプチっとした食感が病みつき。

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    『“よろこぶ”(昆布)スープ』715円(一人前)

3品コース(3,960円)が終わっても、サイドメニューから好きなものをオーダー可能。私が追加で2品オーダーしたうちの一つがこちら。北海道・道東の浜中町にある「浜中漁協」の名産、昆布を使った牡蠣のスープです。昆布をひと晩水につけて翌日そのまま火にかけ、少しの塩とレモン汁のみで大変おいしかったそうで、晴れてメニューの仲間入り。たしかに、磯の香りと昆布の旨みが身体中に沁み渡る驚きのおいしさで、海や大地を感じられる一品です。

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    『徳島 祖谷 祖谷の地美栄 鹿肉のロースト』1,485円(一人前)

基本はプラントベースですが、鹿肉のメニューも。今や鹿は数が増えてしまい、農作物や人間の生活を脅かす害獣とされていますが、駆除される個体のうち食用になるのは10%程度とのこと。これらの命を無駄にしたくないと、取り組みの一つとしても提供しているそうです。部位はもも肉ですがとても柔らかくしっとりとした肉質でくさみもありません。玉ねぎとパセリのサルサが爽やか。こんなにおいしくいただけるお肉が廃棄されていると思うと、消費者側がもっと積極的に鹿肉を選ぶことも大切なのかもしれないと感じました。

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    「日本では、さまざまな環境要因から鹿が過剰に増え、森林の生態系を崩しています。鹿肉を食べることは、森林の回復につながるだけでなく、良質なタンパク源として私たちの身体も養ってくれます。」

「おいしい」ことはもちろん大切で、それだけでも幸せなことです。しかし【CIMI restorant】では、ただ「おいしい」で終わらせるのではなく、おいしさを生む素材の根源や、「おいしい」が続いていくために必要なことは何かを考える時間や機会を与えてくれる場所でもありました。つい忘れがちになってしまう大切なことについて、ゆっくり、おいしく思いを馳せるこの場所に、一度足を運んでみていただきたいです。きっとその後の日々が少しずつ変わっていくと思います。

この記事を作った人

宿坊アカリ

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