ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2017.06.09グルメラボ 連載

ヴァン・ナチュールに魅せられて from「ヒトサラSpecial」

自然に作られたワイン=ヴァン・ナチュール。そんな自然派ワインにこだわった名店がそろい踏み。その中の2店をご紹介します。

アプリで見る

【organ】

まだ自然派の言葉がない時代に、出合った衝撃の味が店の原点

    右上から時計回りに大地からの前菜『新竹の子と山菜、菜の花、富山の生ほたるいかの1皿』、農場からの前菜『パテ・アンクルート・ア・ラ・メゾン』、海からの前菜『炙り鯖とじゃがいもの一皿』

 JR西荻窪駅から南へ伸びる商店街の一角。自然派ワインとビストロ料理を求めて夜な夜なゲストが集う【organ】は、オーナーシェフの紺野真さんにとって2軒目の店だ。2005年に独立開業したのが、三軒茶屋の【uguisu】。その成功が次なる店のオープンへと結びついたのは言うまでもない。

    店内に大型のワインセラーがあり、約500種類、1,000本以上の自然派ワインを揃える。なかには入手困難なお宝も

    豚の血を使った前菜『ブーダンノワール』。甘みのあるアルザスの白ワインに合わせるのがおすすめ

 紺野さんが初めて自然派ワインに出合ったのは、今から10年以上も前の修業時代のこと。
 「淡い色合いで、一見うすく見えるのに、飲むと旨みが詰まっていて、それでいて繊細で複雑。当時は自然派という言葉もない時代。衝撃でしたね」
 つくり手の顔が見える確かさ。年によって味がガラリと変わることもある。メインストリームではなく、オンリーワンを目指す紺野さんの哲学に、それはぴたりとはまったという。とはいえ独立し、自分が本当においしいと思ったワインだけで勝負するのは勇気が必要だったはず。でも、気づけば自然派ワインがもてはやされるご時世。時代の方がようやく追いついたと言うべきか。

  • インテリアはリサイクル品やアンティーク家具がほとんど。使い込まれたぬくもりが居心地のよい空間を作り出す

  • 本棚に並ぶのは、すでに読み古された本ばかり。その無造作な感じは、まるで知人の家を訪れたかのよう

 店内には手づくりのテーブルやリサイクルショップで手に入れた不揃いの椅子が並ぶ。ほかにはない、独創的なインテリア。そのスタイルは、まるで自然派ワインのつくり手のよう。空間からワインまで芯の通った世界に心地よく酔い、ゲストはまたこの店を訪れるのだろう。

【La Pioche】

優しいワインを引き立てる、シンプルかつ豪快な炭火料理

    フードも内装もすべてがナチュラル。一枚板のカウンターをはじめ、扉、椅子、棚なども大工である店主の義父や家族による手づくり

 すべてにおいて、なるべくナチュラルであること。店主・林真也さんが店を始めるにあたり、思い描いていたコンセプトだ。厳選した食材を炭火という原始的な調理法でシンプルに仕上げる料理は、豪快なボリュームがありながらも軽やかなおいしさ。気負いないサービスやハンドメイドで仕上げたウッディなインテリアも、心地良い雰囲気を演出。自然体の料理や雰囲気がゲストの心を少しだけ溶かし、心から食事を楽しむ下地をつくる。そしてその隙間に、自然な製法でつくられた優しいワインがじわりと染みこんでくるのである。

    エチケットに虫が描かれていたり、名前がユニークだったり。大量生産のワインではありえない遊び心も小規模な生産者がつくるワインの魅力

    自然派のワインと合わせるのは、原始的な調理法である炭火焼き。ソースを使わずにシンプルに仕上げられている

    「骨付きロース炭火焼き」。熟成庫でじっくり寝かせることで、肉のポテンシャルを最大限引き出す

 500種以上揃うワインは、すべて自然派のみ。かつてフランスの農場でワインづくりを経験した林さんだけに、ワインへの造詣や生産者への敬意はことさら深い。そんな林さんが伝えるワインの楽しみ方はずばり「好きなものを好きなように」。肉だから赤、魚介には白、そんなルールは一切無用。ここにもまた“自然体である”という店のコンセプトが生きているのだ。

  • 「お肉屋さんの前菜盛り」。塩を控えて素材感を際立てた手づくりシャルキュトリーがたっぷり7~8種

  • 店主の林さんはフランスの農園で自然なワインづくりを経験。知識とともに、ワインへの深い愛情も育んだ

 ワインも料理も空間も、すべてが自然体。頭では考えるのではなく、体が自然と欲するようなピュアな幸せが、この店には満ちている。

この記事を作った人

ヒトサラ編集部

この記事に関連するエリア・タグ

人気のタグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(7/12~7/18)

エリアから探す