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更新日:2017.06.19グルメラボ 連載

名店の味を気軽に from「ヒトサラspecial」

誰もが憧れる有名店での食事に気後れしている人がいるならば、おすすめしたいのが名店のガジュアルラインや姉妹店。本店よりも少し気軽な雰囲気や、価格帯の安心感が魅力だが、サービスや心意気は本店仕込みである。

名店の味を気軽に from「ヒトサラspecial」

【やきとり阿部】

日本一の名店仕込みの焼き鳥 ワインと合わせると……

 割烹料理店を思わせる凛としたカウンター。目の前の焼き台から次々と繰り出される渾身のひと串に、舌が肥えた食通も思わず顔を綻ばせる。ミシュランガイドで一つ星を獲得したこともある目黒の人気店【鳥しき】。言わずと知れた予約困難な焼き鳥店であり、その焼き鳥は日本一との呼び声も高い。

    店内は【鳥しき】同様カウンターが中心だが一部が対面式になったユニークなつくり。ダクト付きの焼き台を採用しているため、炭火による煙の匂いも気にならず、スマートに過ごすことができる

    店内は【鳥しき】同様カウンターが中心だが一部が対面式になったユニークなつくり。ダクト付きの焼き台を採用しているため、炭火による煙の匂いも気にならず、スマートに過ごすことができる

 そんな名店が2013年6月にオープンしたのが、同じ目黒にある【やきとり阿部(旧店名:焼き鳥 gallus)】。朝締めの伊達鶏を使った焼き鳥のポテンシャルは本家同様。ト体で届く鶏肉は、鮮度を損なわぬよう仕込みの段階で部位ごとにばらし、焼き鳥の命ともいうべきタレは、開店に合わせ月日をかけて本家から受け継いできたものを使う。では、本家との差別化は一体どこにあるのか? 店主の阿部友彦さんが言う。
「【鳥しき】でワインを求めるお客さんがすごく増えてきたんです。であれば、『焼き鳥とワインに特化したお店があってもいいのでは?』と、始めたのがこのお店」

  • 焼き鳥は単品での注文も可能だがおまかせコースも人気。コースには前菜盛り合わせや鶏スープも付く

    焼き鳥は単品での注文も可能だがおまかせコースも人気。コースには前菜盛り合わせや鶏スープも付く

  • 前菜盛り合わせ。通常は2人前だが、写真は1人前。この日は鶏肉のリエット、もも肉の燻製などが登場

    前菜盛り合わせ。通常は2人前だが、写真は1人前。この日は鶏肉のリエット、もも肉の燻製などが登場

  • 福島県の契約農家から届く伊達鶏は、抜群の鮮度を保ったまま紀州の備長炭で丁寧に焼き上げていく

    福島県の契約農家から届く伊達鶏は、抜群の鮮度を保ったまま紀州の備長炭で丁寧に焼き上げていく

  • 店を任されるのは【鳥しき】で1年半みっちりと研鑽を積んだ阿部友彦さん。若き焼き鳥職人だ

    店を任されるのは【鳥しき】で1年半みっちりと研鑽を積んだ阿部友彦さん。若き焼き鳥職人だ

 焼き鳥の美味しさはそのままに、合わせるワインは60種ほどをオンリスト。本家では焼き鳥ひと筋だが、前菜盛り合わせ、〆の鶏モツカレーなど、ワインと合わせたくなる洋風メニューも用意する。焼き鳥×ワイン。今では珍しくない取り合わせだが、さすがは名店仕込み。そのマリアージュには、やはり顔が綻ぶ。

【ビストロ ヌガ】

ワインと料理が奏でる パリの雰囲気を味わって

 銀座6丁目の路地裏を歩いていると、ここはパリの街角なのでは?と錯覚を覚えてしまう店がある。【ビストロ ヌガ】は、そんな本場の空気感まで届ける店。店内に一歩足を踏み込めば、心地よいシャンソン、さらには客の笑い声やおしゃべりの喧騒までも、実に心地よいBGMを奏でてくれるのだ。ここが銀座と渋谷にあるワインバー【シノワ】の姉妹店と聞けば、至極納得してしまうだろう。そう、見た目は賑やかなビストロなのだが、ふとセラーに目をやれば、レア物から年代物まで、ワインラバー垂涎の品も多数。ワイン好きが夜な夜な集うからこその楽しげな雰囲気が自然と溢れてくるのだ。

    壁に書けられた名作映画のポスターなど、パリのビストロをイメージした店内。2階席はよりシックな空間になっており、2名がけのテーブル席が中心。デートなどの際には2階席がおすすめだ

    壁に書けられた名作映画のポスターなど、パリのビストロをイメージした店内。2階席はよりシックな空間になっており、2名がけのテーブル席が中心。デートなどの際には2階席がおすすめだ

 料理もまた秀逸。3日以上かけてつくり上げる『スープ・ド・ポワソン』は、スープと魚介を別々に出すマルセイユスタイル。大ぶりの『自家製ソーセージ』は、豚のもも肉をベースに、のどや耳、豚足なども加え、ぷるぷるのゼラチン質と小気味良い食感をプラスする。
「たっぷり食べて、たっぷり飲んでがビストロの基本。だからボリュームもパリに負けないようにしたかった」と宮元一成シェフ。どのお皿も、しっかりのボリュームに加え、味への工夫こそがシェフの真骨頂なのだ。

  • 手長エビやムール貝、ホタテ、牡蠣、鮮魚などがたっぷり入った『スープ・ド・ポワソン』

    手長エビやムール貝、ホタテ、牡蠣、鮮魚などがたっぷり入った『スープ・ド・ポワソン』

  • 提供までに60分を要する『仔羊のロースト』。ゆっくりと火を通し、驚くほどジューシーに仕上げる

    提供までに60分を要する『仔羊のロースト』。ゆっくりと火を通し、驚くほどジューシーに仕上げる

  • ワインバー【シノワ】の系列店ということもあり、一部を除き、ほぼフランス産のワインを揃える

    ワインバー【シノワ】の系列店ということもあり、一部を除き、ほぼフランス産のワインを揃える

  • 「ボリュームがあるものが多いので、シェアしてもらうのがいいと思います」と宮元一成シェフ

    「ボリュームがあるものが多いので、シェアしてもらうのがいいと思います」と宮元一成シェフ

 女性同士やカップルも多いのだが、実はワイン好きの男性客や、会社の同僚であろう男性陣も気兼ねなく楽しめる骨太感も魅力。そう、酒好きが生み出す、楽しげな空気こそがこの店の最大のウリなのだ。

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ヒトサラ編集部

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