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更新日:2017.06.12食トレンド

外食名人が語る! 2017年グルメトレンド予測 ~後編~

前編に引き続き、フードライターの小石原はるかさん、飲食プロデュースを手掛ける中村貞裕さん、料理家の山脇りこさんに、注目のグルメトレンドについて語っていただきました。

外食名人が語る! 2017年グルメトレンド予測 ~後編~

2017年グルメトレンド、押さえるべきキーワード

注目は国際色豊かな「錦糸町」。中目黒はどう変わるか!?

小石原(以下、小):エリアとして2017年に推していきたいのが錦糸町ですね。2016年も注目していましたが、個人的には今年も引き続き。

山脇(以下、山):錦糸町は話題ですよね。なかなか行かないけど、光るお店が増えてきていますね。

小:今までグルメな人が食指を動かさなかったエリアですが、実は世界各国の料理があるし、雰囲気も面白い。

山:隣駅ですけど、亀戸の【メゼババ】の影響もあるのかな。

    「2016年に引き続き、各国料理のレストランが揃う錦糸町エリアに注目したい」と小石原はるかさん

    「2016年に引き続き、各国料理のレストランが揃う錦糸町エリアに注目したい」と小石原はるかさん

中村(以下、中):私個人としては、中目黒に再度注目しているんです。ずいぶんと足が遠のいていたエリアでしたが、中目黒高架下ができたおかげで、出店者も増えるんじゃないかと密かに期待しています。とくに、ちょうど中目黒と池尻の間くらいのあたりは〝エアビの聖地〟として外国人旅行客からの注目度も高く、おしゃれバックパッカーのような観光客が多いんですよ。外国人比率がすごく増えてきていることからも、新たな街に生まれ変わりそうな予感がある。

小:住所で言えば、青葉台ですね。〝奥中目黒〟とか呼ばれたりして、流行りそうですね!

中: あそこら辺は、ちょうど〝目黒川沿いのおしゃれな店〟のイメージで止まっていて、自分の中では古い街のまま。それがどう変わるのかが楽しみです。

山:同じ東横線沿いのちょっと住宅街なんだけど、「中目黒も代官山も近い」街が来ているんじゃないかな。学芸大学もお店が増えてきているし、祐天寺も隠れたいい店が多く点在、住んでいる人もエンゲル係数が高い方が多いですしね。グルメ的には注目ですね。

    「【中目黒高架下】ができたおかげで、出店者も増えるんじゃないかと密かに期待しています」中村貞裕さん

    「【中目黒高架下】ができたおかげで、出店者も増えるんじゃないかと密かに期待しています」中村貞裕さん

NYで例えるなら、中目黒はブルックリン

中:海外に行くと、「この街は日本で言えばどこかな?」という話をよくするんです。たとえば、ニューヨークであれば「五番街は銀座かな」「ソーホーは表参道と代官山を足した感じ」とかね。それで、「ブルックリンは?」となった時、「清澄白河!」と思っていた時期もありましたが、最近は中目黒がその最右翼になった。まさに、自分が新店を出すときに大切にしているのがその感覚で、五番街で流行っているものを銀座でオープンすれば話題を呼び、ソーホーで人気のものを表参道に出せば注目されるんですよ。それで、2017年あたり来そうなのが中目黒。だから、ここで店を出すときは、必ずブルックリンに視察に行こうと思っています。2015年までは清澄白河に浮気しそうになっていましたけど(笑)。

山:ブルックリンも中目黒も小さな路地がいいですよね。清澄白河は路地が少ない印象です。

小:そう、道が大きいんですよね。この間、改めてみっちり清澄白河を歩いたんですけど、やはりポテンシャルは中目黒の方が断然大きいですよね。

ボーダーレスな「コラボ」はこれからも活発化

中:SNSが発達してからとくにそうですが、シェフや店、企業とのコラボ企画も増え、それはこれからも活発になっていくと思います。【傳】と【シェイクシャック】が手を組んだ【デン・シャック】が話題になりましたよね!?  今、活躍しているガストロノミーやファインダイニングのシェフたちには若い人が多く、そういう人たちはジャンルを軽々と超越してしまう柔軟性がある。たとえば、自社の【二○加屋長介】でも、うどんを愛するスターシェフがコラボしてくれても何ら不思議ではない時代。そういうシェフ達の熱量には純粋にすごく興味がありますね。

山:確かに、今は昔のシェフみたいにヒエラルキーにこだわっていない。

小:横の広がりを大切にしていたり、同世代同士の結束感の強さは感じますね。

    「ソーシャルの力が大きい反面、ノンソーシャルな店にも魅力を感じます」と山脇りこさん

    「ソーシャルの力が大きい反面、ノンソーシャルな店にも魅力を感じます」と山脇りこさん

中:「ダイニングアウト」などのイベントなんかもそう。代々木ビレッジの【コードクルック】を会場に、【傳】の長谷川さんを招き、フラワーアーティストの赤井勝さんとのコラボイベントがあったり。

山:【スガラボ】の須賀さんも、東京ミッドタウンのグランピングイベントでシェフをされましたね。ただ、こういうコラボが実現するのも、人が集まるのも、ソーシャルの力が大きい反面、ノンソーシャルな店にも魅力を感じます。好きなお店でHPもFBもやらず、写真もNG、ミシュラン掲載も断った店があります。でも味も確かで素晴らしい。そんな店があっても面白いし、魅力があればかえって気持ちいい。

小:中途半端に更新もしないソーシャルならいっそ無い方がいい。ソーシャル系はこれから二極化を迎えていくのかもしれませんね。

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Pick Up キーワード

3人の座談会から見えてきた、次なるトレンドの方向性、そして時代の潮流。そのポイントとなるであろう6つのキーワードをピックアップしました。

  • 山脇さんが昨年最も感動したというレストランが、ニューヨークの【インディアン・アクセント】というモダン・インディアン。中村さんも、大きなブームとはならないかもしれないが、「これから日本にも増えてくるはず」と太鼓判を押しています。日本でモダン・インディアンといえば、【ニルヴァーナ ニューヨーク】などが有名どころ

  • 「昨今のクラフトビールのブームの次はこれ!」と、3人が口を揃えるのがクラフトジン。京都の蒸溜所からは昨秋に京都初のクラフトジンが誕生したばかり。個性溢れる味わいと香りで魅了するクラフトジンは、2017年に大ブレークの予感! ライススピリッツ、山椒や柚子、また伏見の水など厳選した「和」の素材を使用した「季の美 京都ドライジン」https://kyotodistillery.jp/

  • 小石原さんが昨年あたりから注目するエリアとして挙げたのが錦糸町。「JR総武線沿線の小岩、亀戸と合わせ、通称〝3K″ と名付けさせて頂きました」。ディープな下町に異国文化が交錯するカオスな街が、新たな美食エリアとして成長しつつあります

  • SNSの普及にともない、さまざまな人との繋がりが密になってきた昨今。それは料理の世界でも同様で、若きシェフたちはヒエラルキーにとらわれず、ジャンルを超えたボーダーレスなコラボレーションを活発に行なってきています

  • SNSがグルメシーンの新たな可能性を広げる一方で、HPも持たない、FBのアカウントも作っていない、ノンソーシャルを貫く名店も少なくありません。それは「地方でも同様」だと山脇さん。SNSのあり方は二極化の道を歩んでいるのかもしれません

  • 小石原さんが錦糸町を注目エリアとした一方で、中村さんは中目黒推し。青葉台付近の目黒川あたりは”エアビの聖地” として外国人観光客からの注目度が高く、おしゃれバックパッカーが集まるエリア。中目黒の次なる可能性がここにあると言います


<Profile> 中村貞裕さん(飲食プロデューサー)
  • 「TRANSIT GENERAL OFFICE」代表取締役社長。【sign】をはじめ多くの店を手がけたカフェブームの立役者。モダンギリシャレストラン【THE APOLLO】などのレストラン運営、ホテルなどのプロデュースも行い、話題のスポットを次々に生み出す

小石原はるかさん(フードライター)
  • 好きなものはとことん突き詰める偏愛系フードライター。これまでにも発酵食品、讃岐うどん、ホルモンなどの世界にどっぷりとハマってきた。近著に『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)などがある

山脇りこさん(料理家)
  • 東京・代官山の料理教室「リコズキッチン」主宰の料理家。伝統にモダンなエッセンスを加えた、”今日の家庭料理” を提案。著書に『ノンオイル&10分でできる昆布レシピ95』(JTBパブリッシング)がある

この記事を作った人

撮影/佐藤顕子 取材・文/吉田慎治

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