<タイ・ローカルフード紀行 VOL.03> 肉とハーブの旨辛サラダ『ラープ』
日本人にもファンの多い、人気のタイ料理『ラープ』。肉の旨みとハーブの香りが調和した、タイのソウルフードのひとつといえるメニューです。そんなラープはやっぱり、ローカルなレストランでタイの庶民に混じって食べたいものです。
口のなかに放り込むと、まずミントのさわやかさがぱっと広がるんです。じんわりと湧き上がる食欲。かみしめてみれば、エシャロットの食感と、ひき肉と肉汁の味わい。思わず目を閉じ、うなってしまう。すぐにチリの刺激がやってきて、ライムとパクチーが涼やかに香っていきます。
カオニャオ(もち米)で追いかけましょう。甘みのある、そしてかみごたえ十分のもち米が、肉とハーブとに絡み合っていきます。さまざまな味と香りが一体になって胃に流れ込んでいくとき、幸せを感じるのです。
こちらは豚ひき肉の『ラープ』。肉といっても、ハーブと一緒に食べれば、さっぱりさわやかな味わい
タイ料理のなかでも、僕がとくに好きなメニューが、この『ラープ』。日本では「肉とハーブのサラダ」と訳されることが多いようです。タイは日本と同様、地域によって料理にも文化の違いがありますが、ラープはイサーン(東北地方)が本場。
使う肉はさまざまです。ポピュラーなのは鳥か豚のひき肉でしょう。個人的には、あひるのねっとりとした食感がハーブに合うと思っています。変わったところでは、なまずや雷魚を使うこともあります。
肉やハーブの新鮮さがラープのおいしさの条件ですが、隠し味はカオクア、炒った米を挽いた粉。これを混ぜ合わせることで、独特の舌触りと深い味わいが出るんです。まさしくイサーンの恵みが渾然一体になった料理、おふくろの味。イサーンの女性は、家庭ごとに受け継がれたラープのレシピをマスターして一人前、なのだとか。
そんなラープの名店が、バンコク南部にあります。
【イサーン・ドゥーム】はバンコク中心部、日本人観光客も多いシーロムからはタクシーで15分ほど
首都バンコクでは、たくさんのイサーンの人々が出稼ぎとして働いており、彼らが訪れるレストランもまた多いのです。そんな店のひとつ「イサーン・ドゥーム」は、バンコクにいながらにして本場イサーンの料理を食べられると評判なんです。もちろん、ラープも種類豊富。
夕方に店が開くと、すぐに近隣のオフィスから仕事を終えた人々がやってきて、あっという間の大混雑。テーブルはやっぱり、屋外のテラスがいいでしょう。まだ日もあるうちから、空の下でビールを飲むこの快感。ラープとビール、これがまた合うんです。
歯ごたえも楽しい『リン・ムーヤーン』はチリソースにつけて。カオニャオにも合う
ほかにもオーダーしてみましょう。やっぱりビールのアテにぴったりな『リン・ムーヤーン』は、いわゆるタン。豚の舌を炭火で焼いたもので、こりこりとした歯ごたえと、ほのかな甘みがたまりません。
こちらは『トム・セープ』。料理はいずれも一品100バーツ(約330円)と手ごろだ
辛いモノ好きなら『トム・セープ』なんてどうでしょう。生姜やレモングラス、コブミカンの葉などたっぷりのハーブと唐辛子を使った香草スープで、あとをひく旨辛。具のスペアリブやモツにもしっかり味が染みています。
こんな料理をいただきながら、広い空を見上げて、つくづく思うのです。
やっぱりタイの夜は、これだよなあ。
開放感たっぷりの、オープンエアのレストラン。昼の暑さがやわらぎ、いくらか涼しい風が吹き渡る夜。タイ人に混じって屋外で飲んでいると、本当にいい気分になってきます。
お店には宝くじ売りまでやってくる。バンコク庶民の憩いの場だ
タイ旅行ではおしゃれな店もいいですが、ときにはこんなローカルところに入ってみて、どっぷりとタイの情緒に触れてみてはどうでしょうか。
【Issan Derm(イサーン・ドゥーム)】
☎081-919-8297
住所:413 Nanglinchi,Chong Nonsi,Yan Nawa,Bangkok
営業時間:17:00~24:00
この記事を作った人
取材・文/室橋裕和(フリーライター)
タイに10年在住し、現地日本語情報誌を中心に活動。帰国後は雑誌や書籍、ウェブなどの執筆・編集にあたり「アジアのいま」を発信している。タイ料理ではラープ・ペット(アヒル肉とハーブのサラダ)をカオニャオ(もち米)と一緒に食べるのが大好き。
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