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更新日:2017.08.17旅グルメ

神戸・新開地 串の名店3選 ~知る人ぞ知る、老舗焼鳥から創意あふれる串揚げまで~

かつて東の浅草と並び称された神戸・新開地は、様々な娯楽と共に、お値打ちの旨いもんが集った街。今も、こだわりの味を競う店の中でも、串カツや焼鳥などの“串もの”は名店揃い。新鮮な素材を創意工夫、独自の技で魅惑のひと串に仕上げる、職人気質の3軒へご案内します。

神戸・新開地 串の名店3選 ~知る人ぞ知る、老舗焼鳥から創意あふれる串揚げまで~

ひと串に懸ける職人技が光る、焼鳥&串揚げの名店3選

若き二代目が受け継いだ、独自の塩振りの型に注目【鳥八】

 商店街から少し外れた横丁で、創業から40年になる【鳥八】は、職人気質の変わらぬ味を若き二代目が受け継ぐ老舗焼鳥店。入口の戸を開けると、年季の入ったカウンターと、焼き台から立ち上る芳しい香りに迎えられます。

    バーテンダーのごとく塩を振る家本さん。串との距離を変えず塩を振るのが美味しさの秘訣

    バーテンダーのごとく塩を振る家本さん。串との距離を変えず塩を振るのが美味しさの秘訣

「見よう見まねで、先代のやり方を覚えました」という店主の家本さんは、弱冠23歳で店を継いで17年。注文が通るたびに、塩を手にした腕を高々と上げ、はらりと串に振る姿には、思わず目が釘付けになります。

「串との距離感が変わらないように」と、右手は常にダクトの縁に触れる位置に固定。串に刺した鶏肉へ、均等に塩を振れるよう編み出された、この独特の型が味の決め手です。

    一番人気の『だんご』やクセのない『きも』、『ねぎみ』、『砂ずり』、『かわ』。注文は3本ずつ

    一番人気の『だんご』やクセのない『きも』、『ねぎみ』、『砂ずり』、『かわ』。注文は3本ずつ

 パリッと香ばしい食感と共に肉汁があふれる『だんご』、プリッと弾ける『かわ』は、40年前の創業から変わらない看板メニュー。品書きは7種と厳選されていますが、それゆえに絶妙の塩加減が際立つ、職人技をじっくり堪能したい、知る人ぞ知る隠れ家です。

    強火の遠火で炙ることで、肉の旨味を凝縮した『手羽先』。噛みしめるほど旨みがあふれる

    強火の遠火で炙ることで、肉の旨味を凝縮した『手羽先』。噛みしめるほど旨みがあふれる

“神戸の台所”で吟味した新鮮素材が魅力【串小家のん】

 新開地の北側、“神戸の台所”として親しまれる湊川市場で、持ち帰りメインの店から始まった【串小家のん】。10年前に新開地に移転して以来、勝手知ったる市場から仕入れる新鮮な素材で、味にうるさい界隈のお客からも厚い支持を得ています。

    『おまかせ串盛り』。写真は玉ネギ、いも、豚ヘレ、ゲソ、貝柱

    『おまかせ串盛り』。写真は玉ネギ、いも、豚ヘレ、ゲソ、貝柱

「串揚げは素材の質が命。湊川市場が店の冷蔵庫のようなものです」と語る店主の坪内さん。定番の北海道産じゃがいもや、トロりと甘い淡路産玉ネギなどの野菜をはじめ、日替りの魚や肉、漬物まで、食材ごとに仕入れ先を吟味。旬の素材を“ええとこどり”できるのは、地元出身の坪内さんだからこそです。

    ジャガイモの食感を残して、ほくほくとまろやかな味わいに仕上げた、人気の『自家製ポテトサラダ』

    ジャガイモの食感を残して、ほくほくとまろやかな味わいに仕上げた、人気の『自家製ポテトサラダ』

 ひと手間かけた変わり種から、ちょっと贅沢なネタまで、メニューもバラエティ豊富。「お酒と一緒に楽しんでほしいので」と、素材の持ち味が引き立つ串が、良心価格で楽しめるうれしい一軒です。

    山小屋のような温かみのある雰囲気の店内

    山小屋のような温かみのある雰囲気の店内

細やかな仕事と、趣向に満ちた多彩な品書きは圧巻【神戸串カツくりや】

 2014年の開店以来、早くも界隈でおなじみの人気店となった【神戸串カツくりや】。きびきびと注文に応える店主の岡松さんは、三宮の人気串カツ店【鎌谷商店】をはじめ、串ものの名店で修業を経て、現店舗を開店。極細挽きのパン粉を使い、大豆とラードのブレンド油で揚げた『串カツ』は、きめ細かな薄衣の、サクッと軽やかな食感が印象的です。

    すっきりとモダンな店構え。一人客から家族連れまで幅広い客層が訪れる

    すっきりとモダンな店構え。一人客から家族連れまで幅広い客層が訪れる

 出汁が染みた『コンニャク』、はじかみに肉を巻いた『豚しょうが』など、丁寧な仕事が光る串が1本80円~は破格。季節の食材を使った串も楽しみの一つです。

    人気の『ポテサラベーコン』や、『グラタン春巻き』、『豚しょうが』など、多彩な串は食べ飽きることがない

    人気の『ポテサラベーコン』や、『グラタン春巻き』、『豚しょうが』など、多彩な串は食べ飽きることがない

 品書きにびっしりと並ぶ串揚げは、およそ50~60種。岡松さんが修行した【鎌谷商店】譲りの名物『ポテサラベーコン』をはじめ、マカロニグラタンを包んだ『グラタン春巻き』、はじかみに肉を巻いた『豚しょうが』など、創意が光る一品に、次へ次へと手が伸びます。

    さっぱりした酸味が口直しにぴったりの『土佐酢トマト』

    さっぱりした酸味が口直しにぴったりの『土佐酢トマト』

 2日かけて煮込む『牛スジ』や、蒸してから揚げる『新じゃが』など、手間を惜しまない仕事ぶりも随所に見られます。「自分がお客ならどんな串を食べたいか常に考えています」と岡松さん。近頃は、季節ものの串も加わって、メニューがさらに充実。次なる新作が楽しみです。

この記事を作った人

取材・文/田中慶一(フリーライター)

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